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目が覚めると  作者:
8/30

side 尚輝


「どこ行きたい?」


「うーん………」


「逢いたかっただけなんだ?そんなに逢いたかった?」


「ち、違うもん」


チラッと助手席に座る香織を見ると顔を赤くさせて俯いていた。


「違うんだ……俺は逢いたかったけど」


「え、あ。………」


「クスッ………行きたい所無いんならドライブでもする?」


「うん!」


俯いてた香織は勢いよく顔を上げ頷いた。



車を走らせ夜には帰れる距離で遠出をした



日が沈みかけた頃尚輝は夜の夜景が見渡すことが出来る静かな場所で車を停め2人はボンネットに腰かけた


「尚くん……………いつ見てもここからの景色は綺麗だね…」


「そーだな…」


「ねぇ……」


「何?」


「……」


ほんと、香織は可愛いよな……。いまだって俯いてこっちをチラチラ見てるし


「香織……香織は本当に逢いたくなかったの?」


「えっ。…………逢いたかったよ」


「俺に逢えなくて寂しかった?」


「うん…寂しかった…」

そう言って上目使いする香織の頭に手を乗せて優しく撫でた


「…けど、仕事のお手伝いだったんでしょ?」


「あぁー。急に父さんの手伝いをやらされて、いずれはこの会社に入るんだからって大学生の俺に仕事を押し付けてきたしな…それもやっとこの間終わったよ」

苦笑いをしながら遠くの夜空を眺めた


「尚くん、今日逢っても大丈夫だったの?無理してたら…」


「大丈夫。無理してないよ」


「なら良かった……」


「そろそろ冷えてきたし帰るか」


「………うん」


「香織?」

呼び掛けると俺の方にコテッと体を預けてきた


「尚くん……ううん。いいや帰ろ?」


「香織言って?」

俺を見上げるようにして顔を上げ視線を合わせてきた


「帰りたくないって言ったらだめ?」


突然の言葉に時が止まったように感じた。そんな事を言うような事は思ってもみなかった。両親を大切に思って心配させたくない香織だからこそ返答に戸惑った


「それは……」


「だめだよね…………困らせてごめんね。帰ろ?」


「香織……」


香織が俺に顔を向けた時俺の唇と彼女のそれを重ね合わせた。


「…その意味わかってる?」


「う、うん……」

一瞬の出来事を理解したのか彼女は顔を真っ赤にさせて返事をしながら俯いた


「けど、さすがに今日は無理かな……親父さんに何も言わずにお泊まりはな…初めては記念に残るところがいいだろ?」


「う、うん……そーだね」


彼女は未だに俯いたまま返事をした。


さすがに今日は無理だよ・・・。昨日今日と香織を裏切るような行為をしてんだから。それなのに香織も・・・ってのは虫が良すぎるよな。



ごめんな・・・香織・・・。

逢えないことで寂しい思いさせてるのに・・・。

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