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誠の草たち

作者: 湯好き御幸
掲載日:2025/12/28

プランターのすみっこで、朝の光をあびながら、

草たちはのんびり立っていました。

「うーん今日もあったかいねえ」

いちばん背の低い草が、葉っぱをゆらしながら言いました。

「うむ、昨日の雨のおかげで、根っこが気持ちいい」

少し背の高い草が、土の中をくすぐったそうに答えます。

「ぼくたちのこと“雑草”って呼ぶけどさ」

別の草が、ひそひそ声で続けました。

「名前がないって、自由ってことじゃない?」

「たしかに」

みんなでくすっと笑います。

風が吹いて、葉っぱ同士がカサカサと触れ合いました。

「今日はどんな一日になるかな」

「鳥が来るかも知れぬな。」

「それとも、また水をもらえるかな〜」

そんなことを話しながら、

草たちは急ぐこともなく、競うこともなく、

ただ同じプランターの中で並んで立っている。

人には聞こえないけれど、土と光と風のあいだで、

今日も雑草たちのおしゃべりは、ゆっくり続いているのでした。


冬の朝。プランターの土はひんやりして、霜が白く光っていました。

「冬だねえ……」

「うむ、 冬だ」

葉っぱが少し茶色くなった草が、小さく息をはきます。

すると、静かな声がしました。

「あー、僕、またお別れかも。」

まわりの草たちが、そっと揺れました。

「でも、」

その草は、土の下を感じるように、ゆっくり続けます。

「まだ、根っこ生きてるから。」

風が吹いて、残った葉がかさりと鳴りました。

「春になったら、また、新しい葉っぱがでてくるよ。」

「うむ」

「じゃあ、僕さきに眠るね」

「土の中で、あったかくしてさ」

「今生は穏やかでよかったな」

「嫌だな 斎藤くん 僕たち 

春にまた会えるんじゃないかな」

「うむ、 定めはわからぬが、 そうであればいい」

「違ったら、そのとき! じゃあ、さようならだね」

「うむ」


冷たい土の中で、根っこたちは静かにねむる

光の記憶を抱えたまま、

春の足音を、のんびり待ちながら。

        

            ーおしまい➖



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