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夜明けの星の黙示録  作者: アレクサンドル・スケベスキ
第六章 ロスデア動乱編

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99/122

第093話 ☆観戦隊

性描写があるため、改変しています。

改変前はミッドナイトノベルズへ↓ m(_ _)m

https://novel18.syosetu.com/n7662kr/99/

「カナン星約機構(ステラパクト)?」


フィズルからその話を聞いたのは、皆で晩飯を終え、

食後の紅茶『プリンス・オブ・ウェルス』で一息ついていた時だった。


カナン、魔法教団、ガルフ・バウでの軍事同盟…

それに盟主って……俺に何かできることなんてあるのか。


ラエルノアとタイラスの顔が脳裏に浮かぶ。

せいぜい俺にできる事と言えば、

あの二人の掌の上で踊る事くらいだろう。


「それほど教皇暗殺はヤバいことなのか?」


フィズルは真剣な面持ちで頷いた。


「ええ。ラエルノア様もタイラス様も、

 今回のロザリの動乱はロスデア全土へ

 広がる恐れがあると懸念していました」


なんてこった……


以前フィズルには、

教皇暗殺は"神の秩序の揺らぎ"だと教えられたが、

いまいちピンと来なかった。


この世界に来て3か月あまり。

宗教が、歴史や文化、道徳観と深く結びついていることは

肌で理解してきたつもりだった。


だが――

教皇暗殺という教会勢力の出来事が、

ロスデア全土へ影響を及ぼすなど考えもしなかった。


フィズルは続ける。


「既にガルフ・バウには、

 ロザリからの難民がたどり着いたみたいです。

 どうやら、ここから50Km東―――

 ロザリ最西端のクルキスという城塞で、

 戦闘が発生しているのだとか」


■地図:クルキス

挿絵(By みてみん)


紅茶の香りが、急に遠く感じられた。

嘘だろ……戦火はそんな目の前に迫ってるのかよ


「それと、クルキスの件で、

 タイラス様から言伝を預かっています」


「?」


フィズル曰く、

ガルフ・バウは戦況の確認と難民の保護を目的に、

クルキス城塞へ観戦武官の派遣を決定したらしい。


タイラスより選任されたのは"黒狼の牙"フェンリカ。

話というのは、フェンリカの観戦隊として参加しないか、

という誘いだった。


「新婚なのにフェンリカも大変だな。

 戦況の確認ってのは分かるが…

 難民の保護までやるのか?」


カナンの(あるじ)になってから、

人を食わせることがどれほど大変か、

少しは理解してきたつもりだ。


それを、わざわざ50km離れた場所まで出向いて保護するなんて…

タイラスが慈善事業をやるとは思えない。


「ええ、難民はどこも頭を抱える問題ですね。

 放っておけば、治安の悪化を招きますので」


まぁ、言われてみればそうか。

この辺りの感覚は、俺が平和ボケしているのだろう。


対岸で火事が起きているからといって、

ただ眺めているだけでは済まない。


起こった出来事から、人が逃れて来ることを予測し、

後手に回る前に備えておかなければならないのだ。

俺も、こういう所まで考えが及ぶようにならなければ。


「よし、観戦隊に参加しようと思うが――」


胸にざわつくものを感じながらも、

合意を取るべく皆の方を見る。


すると、イヴとリーシャの顔が暗くなっていることに気付く。

そう言えば、2人は戦火のあおりを受けて、

ここに逃れて来たんだったな…


「……いいか、皆。

 もし脅威がここへ迫るなら、俺様がまとめて叩き潰す。

 逃げ回る日々はもう終わりだ。

 観戦隊は、いつか来る脅威の下準備だ。

 心配すんな、全て俺様に任せておけ!

 ガッハッハッハ!」


――ただの強がりだった。

その日の晩は、生きている事を確かめるようにイヴと抱き合った。


胸がざわつく…

俺達が豊かになるのは、これからだってのによ…


戦争だと……

俺の可愛い愛奴達に手を出させてたまるかっ!


しかし、今日のイヴはやけに積極的だな……


くらえぃっ!これでトドメだっ!!


…え?まだ許されない……?


もう…出ないヨ………

タスケテ……タスケテ……


結局、イヴから解放されたのは朝日が昇る頃であった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


―――翌日、ガルフ・バウにて


俺は愛馬ヘングローエンに跨り、

愛奴たちもそれぞれ馬に乗ると、

ワープで冒険者ギルドへ跳んだ。


戦闘も考えられる。

念のため赤竜も連れてきてはいるが、

あの巨体では町の中には入れない。今は町の外で待機させている。


そんな俺達ペンドラゴンを出迎えたのは

観戦隊のリーダー、フェンリカだった。


「おいアレク!なんだその顔は!

 ゲッソリしてるぞ、もっとシャキッとしろ!」


つやつやの肌をこれでもかと輝かせながら、

朝から全力で檄を飛ばしてくる。


「お…おう…

 昨日ちょっと寝付けなくって……」


「子供かお前は!!

 まったく、しっかりしてくれよなっ!!」


いつものテンション3割増しのフェンリカは、

朝っぱらからエンジン全開だ。


周りを見ると、獣人族で埋め尽くされていた。

すでに"黒狼の牙"の冒険者達は準備万端のようだ。

遠征に行くだけあり、装備も入念に整えている。

観戦隊は俺達を含めて100人程度のようだ。


フェンリカが声を上げる。


「よ~し、それでは確認するぞ、

 目標はここから東へ50km地点、クルキス城塞。

 10km間隔で補給テントを設置しながら移動する」


補給テントは難民を誘導する為のテントなんだろう。


「今日は目標の2km手前で野営する。

 行動予定は8時間。

 明朝、クルキス城塞へ到達する」


フェンリカは一拍置き、声を低くした。


「最後に……戦闘になる覚悟だけはしておけ。

 ……それでは、出発っ!」


――こうして、冒険者100人と馬車10台、

俺たち観戦隊は、戦闘が起こっていると噂される

クルキス城塞へ向けて進軍を開始した。

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