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夜明けの星の黙示録  作者: アレクサンドル・スケベスキ
第五章 vs赤竜編

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第083話 VS 赤竜Ⅲ

「昨日はツイてたニャ♪」

「女神様の思召(おぼしめ)しに違いニャい♪」


昨日、猫耳探検隊の二人は逃亡の最中、

偶然にも自分たちがギリギリ入れるような小さな洞穴を見つけた。

その洞穴は思いのほか奥深く、魔獣から身を守るには十分な隠れ家だった。


そして――

もともと生命反応の薄い二人が、さらに深い洞穴へ潜んだことで、

アレクの探知魔法さえ掻い潜っていた。


そうして危機をやり過ごした彼女たちが、

再び行動を開始したのは、朝日が森を照らし始めた頃だった。


未踏の地に足を踏み入れたという高揚感。

神に愛されているのだという無敵の錯覚。

そして、冒険譚を持って帰りたいという欲望。


そんな冒険者としての矜持(きょうじ)が、

二人をさらに危険な道へと駆り立てていた。


「あれは何ニャ?」

「でっかいニャ…神話の獣じゃニャいか?」


■"赤竜"アルバストラス

―――――――――――――――――――

名前:アルバストラス Lv.151

HP:5380 / 6030 MP:4328 / 5520

種類:神獣類 種族:竜(神獣種) 種別:ドラゴン

性別:ー 年齢:346歳 身長:21m

ジョブ:ー

スキル:

 ・【無詠唱】

 ・《五重奏》

称号:《赤竜》

状態:

 ・睡眠

―――――――――――――――――――


まさしく"大当たり"であった。

あろうことか、猫耳探検隊の二人は眠る赤竜にちょっかいをかけ始める。

距離を取っていれば安全だろうと、

軽い気持ちで石を投げ始めたのだ。


そして、その行動は当然、

虎の―――いや、竜の尾を踏んだ。


※グォォォォォォォォォ!!※


大気を震わせる咆哮が轟き渡る。

黄金の瞳がゆっくりと開き、二人を射抜いた。

眠りを妨げられた神獣が、いま目覚めたのだ。


「ニャ!ニャ!?」


赤竜が"風の魔法(ウェン・マギア)"と共に空へ舞い上がると、

その突風に煽られ、二人は無残にも吹っ飛ばされる。


「ちんだ」


猫耳探検隊の二人が死を覚悟したその瞬間――


"王級の(レガーリス・)雷の光線(ジグス・デル・レイ)"


雷の閃光が天を裂き、赤竜の巨体を貫いた。

轟音とともに赤竜は墜ち、地面へと叩き落とされる。


「アレクニャ!」


猫耳探検隊の二人が叫ぶ。

その声の先には、いつの間にか姿を現したアレクが居た。


赤竜とアレクが相対する中、ネイは必死に駆け寄る。

吹き飛ばされていた二人を抱き起こし、肩を支える。


「二人とも、もう大丈夫。

 あの赤竜はアレクがやっつけてくれる」


「ネイー!」


安堵の色が猫耳探検隊の顔に広がる。

アレクは振り返り、短く告げた。


「離れていろ。ここからは俺に任せておけ」

「うん!」


アレクとネイの間に生じる謎の信頼関係に疑問を覚えつつも、

猫耳探検隊の二人は率直に従うことにした。


赤竜のトカゲのような黄金の瞳が、アレクを捉える。


(一先ずヘイトはこちらに向いたな…

 任せろなんて言っちゃったケド…)


■アルバストラス:身体

挿絵(By みてみん)


■アルバストラス:魔法

挿絵(By みてみん)


心の奥で、冷ややかな汗が滲む。

まったくもって大丈夫ではない。


相手は、能力Lv.にして自分の五倍は離れているバケモノなのだ。

普通に戦えば、勝てるはずのない存在だ。


それでも、背後には女がいる。

引けない時がある。今がその時なのだ。


「よう、久しぶりだな。アルバ――」


そう言い終える前に、赤竜の"火の魔法(イグノ・マギア)"が飛んできた。


"空間魔法(ワープ)"


即座に赤竜の足元へ移動し、

★ 大金棒 【大激震(だいげきしん)】 を叩き込む。


「フンッ!!」

★衝撃波+100

※ドゴオオオオオッ!※

衝撃波を足元に叩き込んだ。


■アレク

―――――――――――――――――――

HP:1873 / 2390 MP:895 / 2390

―――――――――――――――――――

俺のMPは1000を切った。


■アルバストラス

―――――――――――――――――――

HP:4738 / 6030 MP:4166 / 5520

―――――――――――――――――――

今の雷+大激震で600位のダメージ。

足はダメージの通りが悪いか?次は腹にぶち込む。


赤竜が体を捻る。来た。あの薙ぎ払いだ。

すかさず"ワープ"で距離を取る。


"王級の(レガーリス・)雷の光線(ジグス・デル・レイ)"

そして雷の光線を叩き込む。


■アルバストラス

―――――――――――――――――――

HP:4453 / 6030 MP:4166 / 5520

―――――――――――――――――――


事前の準備通り、ヒット&アウェーで戦う。

大激震に魔力を込め、そして――


"ワープ"


「フンッ!!」

★衝撃波+100

※ドゴオオオオオッ!※


"ワープ"


腹にぶち込んだ。どうだ?

■アルバストラス

―――――――――――――――――――

HP:3885 / 6030 MP:4166 / 5520

―――――――――――――――――――


来た。500越えのダメージ。

これを繰り返せば―――


勝利が見えて来たと思ったその時、

赤竜は新しいパターンを見せた。


"焔の魔法(アルデンス・マギア)"


自分の周囲を焼き払い始めたのだ。

灼熱の奔流が地を走り、空気を焦がす。

逃げ場のない炎の檻が、丘を覆い尽くしていった。


「なっ!?」


ヒット&アウェー戦法を封じに来た。

まずい、今すぐ止めなくては―――


辛うじて残っている足元に"ワープ"し、

腹に大激震を叩き込んだ。


※ドゴオオオオオッ!※


■アルバストラス

―――――――――――――――――――

HP:3320 / 6030 MP:3925 / 5520

―――――――――――――――――――


赤竜はダメージを受けながらも空に舞い、

足元を焼き払い始めた。


止めれなかった。

まずい、まずい、まずい―――


"ワープ"


慌てて移動したその先は、赤竜の背中。

そして雷を纏いながら、

その背中に大激震を叩き込む。


「オラァアア!!」

※ドゴオオオオオッ!※


赤竜とともに、轟音を立てて地面へと落下する。


足元には、地獄の業火が広がっていた。

燃え盛る炎が空気を裂き、熱風が肌を焼く。


"偉大なる水の(イス・アクア・)広域の雫の魔法(ラトゥス・デル・ロス)"


瞬く間に水の雫が生成されると、

戦場の丘は白い水蒸気の煙に包まれていく。


「うっ!」


俺は赤竜とともに地面へ叩きつけられる。

衝撃に息を詰まらせながら顔を上げると、

水蒸気の先に、僅かに見えたのは赤竜の喉元。


■アルバストラス

―――――――――――――――――――

HP:2268 / 6030 MP:3785 / 5520

―――――――――――――――――――


ありったけの魔力を込め、

その喉元目掛け、大激震を叩き込む。


"逃げろ"


第六感が働いたのは、大激震を振りかざした時だった。

—――遅いよ、もう。


※ドゴオオオオオッ!※


衝撃波が赤竜の喉元を貫く。

同時に、白い(もや)が揺れ、

僅かに見えたのは、凶器ともいえる赤竜の尾だった。


回避不可能。

咄嗟に、左手に魔力を込める。

―――――――――――――――――――

☆☆☆☆☆☆ 指輪 《エルネード・リング》

└打撃+50 / ☆破砕+50 / ☆衝撃波+50

―――――――――――――――――――


※ドゴオオオオオッ!※



◇ ◇ ◇ ◇ ◇


――ズン、と大地を揺らす震動とともに、意識が覚醒した。

赤竜の尾に吹き飛ばされ、木に激突した衝撃で気を失っていたらしい。


■アレク

―――――――――――――――――――

HP:273 / 2390 MP:112 / 2390

―――――――――――――――――――


白い靄の中から、赤竜が姿を現す。

死が目の前に迫っていた。


全身が痛みに軋む。

だが、不思議と頭は冴え渡り、心は晴れやかだった。


■アルバストラス

―――――――――――――――――――

HP:185 / 6030 MP:3718 / 5520

―――――――――――――――――――


「なんだよ。俺より瀕死じゃねーか」


思わず笑ってしまった。

先程の喉元への攻撃が2000程通っている。

喉元が弱点だったのだ。最初にそう言ってくれよな。


―――完敗だ。

自らの拠点を焼き払うなんて、何事かと思ったが、

俺が消火することを見越していたわけだ。

そのパターンは最初の戦闘で見せたしな。


こいつ、頭がいいんだ。

思えば、盾の魔法を角度をつけて突破したり、

杖で戦えば接近戦に切り替えて来た。


俺が赤竜の対策を練っていたように、

赤竜も俺の対策を講じていたわけか。


「悪かったな」

そう言って、"癒しの魔法(エイル・マギア)"を赤竜に掛けた。


これまで三度赤竜に戦いを挑んだが、

赤竜からすれば、俺は庭を荒らす害虫以外の何物でもない。

さぞ迷惑だっただろう。


今の俺の魔力では、

高い癒しの効果は期待できないが、それは許してくれ。


黄金の瞳が俺を見返す。

その視線に射抜かれながら、心の奥で静かに呟いた。


―――父さん、母さん

俺はこの世界で精一杯生きたぞ。

うんと我儘(わがまま)にな。

敗れはしたが、それが自然というものなんだろう。

悔いはない―――


死の直前に感じたのは、畏敬の念だった。

大自然を勝ち抜いた者への惜しみない賞賛と、心からの敬意。


「……」


俺と赤竜は、しばらく見つめ合っていた。

言葉にならない会話を、いくつも交わした気がする。


そして、ふと、それを唱えた。

"アミクス(友よ)"—――

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