第082話 ☆【愛奴】ネイ
性描写があるため、改変しています。
改変前はミッドナイトノベルズへ↓ m(_ _)m
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ガルフ・バウの冒険者ギルドへ帰還すると、
獣人たちが何やら集まっているのが目に入った。
その中心にはイヴがいて、
★ 巫女鈴 【聖鈴・神楽】で回復を施している。
「ありがとうございます…」
「聖女様…」
獣人たちは、まるでイヴを崇拝しているかの様だ。
以前絡んてきたチンピラでさえ、アヘ顔で回復を受けてやがる。
やがて俺の姿を見つけたイヴは、心配そうに駆け寄ってきた。
「旦那様!ご無事でしたか!」
澄み切った光のような声が響き渡る。
あまりにも純粋無垢なその姿に、俺は思わず目を逸らした。
(……しっぽりと楽しんで来たとは言えんな)
急に後ろめたくなってしまったのだ。
「お…おう。
ルベル=オーガとは"平和的な会議"で話がついてな、
うむ。実に有意義な会議であったぞ」
その言葉に、イヴはほっと腕を撫で下ろす。
だが、他の愛奴たちには見抜かれていたのだろう。
彼女たちの視線は冷ややかで、どこか蔑むように俺を射抜いてくる。
特にフィズル、そのジト目は癖になるからヤメてくれ。
居心地の悪さに耐えかねて、俺は慌てて話題を変えた。
「それより賑やかだな。何の騒ぎだ?」
愛奴たち曰く、
猫耳探検隊二名の行方不明を報告したところ、
"黒狼の牙"は緊急クエストを発行。
現在はフェンリカが旗を振り、
捜索隊を編成している所らしい。
それでこの獣人たちの集まり様か。
フェンリカの統率力はさすがだな。
"黒狼の牙"は700人規模らしいし、
ここから先、俺達の出番はなさそうだ。
腹も減ったし、家に帰って飯にするかと思っていた所に、
フェンリカに声を掛けられた。
「おお、アレク!
ウチの者がすまなかったな。
またペンドラゴンに借りが出来ちまった」
「なに、いいってことよ」
フェンリカにエールを送って退散しようとしたその時、
イヴが誇らしげに言い放った。
「旦那様が戻られたので、もう安心です」
!?
どうしたんだ?イヴ。
そんなにハードル上げちゃって……
「おお、そうだな。アレクなら問題ないだろう。
実は本命の最深層方面に不安があってな」
!?
フェンリカまでどうした?
俺は無敵超人じゃないぞ。
ふぅ。やれやれ。
夢見がちな子猫ちゃん達に、
ここは一つ、ガツンと言ってやる必要があるな。
"現実"ってやつをな。
「おう。俺が来たからにはもう安心だ。
最深層…?俺の庭だな。任せておけ。
ガハハハ!」
またやってしまった……
どうしても女の前では見栄をはってしまう。
それが男の悲しいサガなのだ。
イヴは尊敬の眼差しが突き刺さる。
獣人たちも"アレクさんパネェ"なんて言ってやがるし、
もう後には引けない。
イヴ以外の愛奴達は戦々恐々としている。
それもそうだろう。夜の最深層は俺でもきつい。
行動するだけでままならないだろう。
まずは愛奴達を安心させてやるか。
「安心しろ。捜索には俺一人で出る。
お前らはカナンで待機だ」
それを伝えると、愛奴達はほっと胸を撫で下ろした。
ところが…
「私はアレクについて行く!」
ネイが立候補してきた。
が、すぐにフェンリカが咎める。
「ダメだ。これ以上、アレクに迷惑を掛けるな」
「これがあれば私だって戦えるもん」
そういって貸し出した短刀を見せる。
―――――――――――――――――――
★ 短刀 【地獄痺刃じごくびじん】
└突撃+80 / 斬撃+50 / ☆貫通+80 / ★麻痺+100
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その武器はお守り程度だ。過信されても困る。
…イヤ、過信しているということでもないか。
逆の立場だったら。
イヴたちが行方不明になっているとして、
俺は寝つけないだろう。
北の深層方面に向かったと聞いている。
勝手に最深層まで入り込み、二重遭難になりかねん。
フェンリカにこそっと相談する。
「待機を言いつけたところで、
勝手に飛び出しかねん。そうなるよりかは、
俺の目の届く範囲で行動を共にした方がいいだろう」
「それもそうかもしれんが…
分かった。ネイをよろしく頼む」
こうして、役割分担は以下の通り決まった。
〇ドラコニス山脈
・表層:黒狼の牙
・中層:黒狼の牙(戦闘員)
・深層:黒狼の牙(精鋭)
・最深層:アレク(ネイ)
(この分担おかしいだろ!)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
"ワープ"でイヴ達をサクラの家まで送り届けた後、
俺とネイは夜の最深層に踏み込んでいた。
常に"探知魔法"と"光の魔法"の
二重奏を展開しながら、
魔獣の居ない場所を見つけては、"空間魔法"で移動する。
「この辺りにもおらんか…」
"探知魔法"の精査を終えて、
ネイに告げる。
「フゥーフゥー」
まだ捜索を始めて30分も経っていないが、
ネイの方は随分息が荒くなっている。
無理もない。
夜の森というのは、完全に獣の領域だ。
光で切り開いた視界はそれでも狭く、
絶え間なく響く自然の音が神経を削る。
風のせせらぎでさえ、
まるで自分を狙う気配のように錯覚してしまう。
いや、実際狙われているのだ。
ドラコニス山脈:最深層における最大の懸念―――
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・悪魔(幻獣種):デーモン Lv.65
・悪魔(上位種):ガーゴイル Lv.58
・悪魔(上位種):ガーゴイル Lv.49
・悪魔(上位種):ガーゴイル Lv.42
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現れやがった。
音も無く、突如召喚される"幻獣種"デーモン。
問答無用で大激震をブチかます。
―――――――――――――――――――
★ 大金棒 【大激震】
└打撃+100 / ☆破砕+80 / ★衝撃波+100
―――――――――――――――――――
「オラァアア!!」
※ドゴオオオオオ!※
ガーゴイルが一体残った。
具合が悪いことにネイの方に向かっている。
「ネイ!」
※グサッ!※
―――――――――――――――――――
★ 短刀 【地獄痺刃】
└突撃+80 / 斬撃+50 / ☆貫通+80 / ★麻痺+100
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何とかガーゴイルに短刀を突き刺し、動きを止めた。
この隙を逃さず、大激震をぶち込む。
「大丈夫か?ネイ?」
「フゥー、フゥー…うんっ」
身体的には問題ないが、精神的にかなり苦しそうだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
あれから、デーモンを何度か退けた。
捜索を始めてからどれだけの時が経ったのだろうか?
「ハァッハァッ」
いつの間にか俺の方も息が上がって来た。
この森にやられつつあるようだ。
いい感じの洞穴を見つけたので、
そこでいったん休むことにした。
簡素な焚火を用意し、簡素な調理をする。
―――――――――――――――――――
・☆☆☆希少な スクヴェイダーの「丸焼き」 ×2
・☆☆☆希少な 「ルビー・ブドウ」 ×4
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「ありがとう。いただきます」
「おう」
食い物を腹に入れ、何とか腹を満たす。
調理器具が無いので、満足に料理はできなかったが、
素材は良かったので旨かった。
自分の状態を確認する。
■アレク
―――――――――――――――――――
名前:アレク Lv.158
HP:1858↑ / 2390 MP:1153↑ / 2390
状態:
・▽『呪い:災禍級』
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HPはまだ問題ない。
ずっと魔法を展開し続けたせいで、
MPが半分位になっている。
そして、また呪いに掛かったようだ。
"解析"
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・▽『呪い:災禍級』
└効果:病弱・魔力減衰・体力減衰
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呪の効果は、持続性はあるが、即効性は無い。
今すぐ慌てる必要はないだろう。
帰ったらイヴに解いてもらおう。
"探索魔法"で中層方面を確認する。
"黒狼の牙"の連中はまだ探索を続けているようだ。
まだ見つからないか…
"探索魔法"を使えば、すぐに見つかると思っていたが、
考えが甘かった。いよいよ終わりが見えなくなってきた。
こんなことになるなら、
ルベル=オーガとしっぽりと楽しまずに、
すぐに捜索していればよかった。
自分の撒いた種ではあるが、
今更ながら、後悔が押し寄せて来た。
―――もう死んでるのかもな。
ふと、考えないようにしてきた言葉が頭に浮かぶ。
ダメだ、気が滅入っている証拠だ。
その時、ネイがポツリと呟く。
「もう死んでいるのかな」
ネイも随分やられている様だ。
無理はないか…
「アホか!
必ず探し出してやるから、安心しろ」
根拠のない、その場しのぎの言葉を吐くと、
ネイを抱き寄せた。
その時だった。
ネイの中の"発情"のスイッチが入った。
瞳は蕩けたように揺らぎ、
吐き出す息には艶めいた熱を帯びる。
「ハァー♡」
……そこからは言葉はいらなかった。
狭い洞窟で身を寄せ合った雄と雌。
むき出しの生存本能が、強烈にお互いを求める。
…そこからの記憶は薄い。
俺達は一心不乱に、獣のような交尾をし続けた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「もうすぐ日が昇っちゃうね……」
「ああ…そうだな……」
久しぶりに、人間らしい言葉を交わした気がする。
「ネイ……俺の女になれ」
もう、ネイが"黒狼の牙"だとか関係ない。
力ずくでも、俺の女にする。
返事を聞く前に、【アドニス】のスキルで任命する。
"任命:【愛奴】"
・任命:◆【愛奴】(3)→(2)
ネイに首輪が装着されると、
"エヘヘ♡"と照れ笑いしてきた。
この天使は俺のものだ。
■ネイ:ステータス
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名前:ネイ Lv.29
HP:312 / 640 MP:272 / 340
種類:亜人類 種族:獣人 種族:ウェアキャット
性別:♀ 年齢:14歳 身長:135cm
ジョブ:
・「山菜採集士」 Lv.2
・斥候 Lv.6
・戦士 Lv.5
・◆【愛奴】
スキル:
・「希少採集」
・感知
・闘争心
称号:
・カッパー級:冒険者
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"光の魔法"で身を綺麗にして、身支度整えた。
「おし、気合いを入れなおして、捜索を再開しよう」
そう言った瞬間――。
耳をつんざく咆哮が森を震わせた。
※グォォォォォォォォォ!!※
「っ……!?この咆哮は…まさか!?」
すぐさま"探知魔法"を展開する。
この山脈の神――”赤竜”の居る場所へ。
予想通り、強力な反応が一つ……
そして近くに、弱い反応が二つ。
「嘘だろ!?」
胸の奥に冷たいものが走る。
まさか、最深層を突破し、"赤竜"までたどり着いたのか?
「アレク…」
ネイが不安そうにこちらを見つめてきた。
「大丈夫だ。全て俺に任せておけ」
男には、引けない時ってもんがある。
女に不安そうに見つめられた時は
その一つだ。
MPは半分、さらに呪いか…
……最高のコンディションだ。
”ワープ”
移転先は、"赤竜"《アルバストラス》
光が収束し、空間が歪むと、
戦場への扉が静かに開かれた―――
丁度、今日(11/15)は狩猟解禁日ですね。
書きながら、ふと二十年前の今日を思い出していました。
まだ十代だった頃、夜の山へ猪狩りに出かけた時の記憶です。
自分は狩る側のつもりで山に入ったのですが、
・自分の掌より大きい熊の足跡。
・破壊された民家。
・ねじ曲がった鉄格子の罠。
これらを見て目が覚めました。
自然の中では人は狩られる側なんですね…
ブクマ・評価いただけると大変助かります(>ㅅ<)




