第006話 森の中
山を下るのはいいが、裸足である為足の裏がやや痛い。
痛みをそんなに感じないのは
アドレナリンが出ているせいだろうか。
"エイル・マギア"
一応、足に癒しの魔法をかけながら歩き始めた。
少し楽になった気がする。
魔法で生成した水を飲み、喉を潤すと
太陽の位置を確認してみる。
太陽は先ほどより真上にある気がする。
「今は正午くらいか?」
転生した時は午前だったようだ。
体に目を向ける。相変わらず全裸である。
服を作成した方がいいだろうが、服の作り方が分からない。
ゆえに今必要なものは、飯と寝床の確保だろう。
寝床は最悪土魔法で用意するとして、
問題は飯だ。こればかりは魔法で生成できない。
自分で何とか調達する必要がある。
そんな思いにふけていると
※ガサ※
20m程先で音がした。何かいる・・・
音のあたりをよく観察する。
※ガサガサ※
複数いるっぽいぞ!?そしてこちらに近づいてきているようだ。
"収納"と念じ、アイテムボックスに手を伸ばす。
★特別な ”天界を貫く” 妖刀 【冥狂血吸】
うまく扱えるか分からんが、刀を握りしめて警戒する。
直後、目の前に獣が飛び出してきた
「うお!」
3匹いる!先頭の1匹はかなりデカい。軽自動車位あるのではないか。
獣を視認すると情報が飛び込んできた。
・猪(上位種):ゴールデンボア Lv.55
・猪(中位種):ワイルドボア Lv.23
・猪(中位種):ワイルドボア Lv.31
ゴールデンボアと目が合い、勢いよく突っ込んできた。
ぶつかる!!と思った時、イメージが降りてきた。
"クロノス・マギア"
魔法を念じると、目の前の光景がスローモーションになった。
時がゆっくりと進みだのだ。
(おお、これはすごい)
それ程余裕があるわけではないのだが、
思考する冷静さはある。
ゴールデンボアの首元に妖刀を突き刺すと、
するりと刃が入っていった。
「!?」
手ごたえの無さに驚き、思わず魔力を切ってしまった。
(しまった!!)
時は動き出し、ゴールデンボアと衝突し共に転倒した。
慌ててゴールデンボアの方を振り返ると
ゴールデンボアは転倒したまま静止していた。
(え?)
そしてもう、動かなくなっていた。
※ガサガサ※
他のワイルドボア2匹はお構いなしにそのまま駆け抜けていってた。
恐る恐るゴールデンボアに解析をかけると、
HPが0になっていることが確認できた。
体に手をかけると体温を確認できる。
ぬるま湯に手を突っ込んだようだ。
「フーッ!、フーッ!」
大した運動はしていないはずだが、息が上がっている。
身を守る為とはいえ、初めて生き物の命を奪ったのだ。
この体温はゴールデンボアが生きていた証なのだ。
※バクン・バクン・バクン※
鼓動が高鳴る。
命は尊いものだと学習してきた。
今そこにあった命と、あっけない死について
整理をつけることができないのだ。
この命を無駄にしてはならないという強烈な使命感に襲われた。
だが、解体の知識がなく保存の仕方が分からない。
"収納"
そのままの状態で、アイテムボックスに格納を試みる。
…必死にゴールデンボアの死体を押し入れ、
格闘の末なんとか格納できた。
(ふぅ)
体の方に目をかける。大きな傷は見当たらない。
収納に手間取ったせいか、体が汚れている。
ひとまず、水の魔法で汚れを落とした。
が、まだ獣臭い。匂いを気にしているとイメージが湧いてきたので念じる。
"ルクス・マギア"
体が光につつまれ、清潔になった気がする。
光の魔法は浄化の効果があるのか。
…魔法って便利だな。
森の中は人間のテリトリーではないと分からされた。
警戒しなくては。
★妖刀【冥狂血吸】はボックスに格納した。
鞘がついておらず刃がむき出しで、危なっかしくて仕方がないのだ。
代わりに★グランドスタッフ 【第六天魔王】 を取り出す。
森の中はこれで行く。
周りを警戒し始めると、早速情報が飛び込んできた。
「お!」
―――――――――――――――――――
・☆☆☆希少な 「蝋色椎茸」
―――――――――――――――――――
地面にキノコが生えているのが確認ができるが、
レア度が高いものらしい。
(猪たちはコレを追いかけていたのか?)
キノコを採ると"収納"でボックスに格納した。
周りにもいくつか同じキノコが生えているので
収穫する。
キノコを追いかけていると別のキノコも発見できた。
―――――――――――――――――――
・☆☆☆☆☆伝説の 『夢幻マツタケ』
・☆☆☆☆奇跡の 〈燻製トリュフ〉
―――――――――――――――――――
さらにレアリティの高いキノコだ。
「うひょー!」
当然これらも収穫する。
キノコ採りに夢中になっているうちに
岩肌にぶち当たった。
―――――――――――――――――――
・☆☆☆☆☆☆神話の 《アダマンタイト》
―――――――――――――――――――
「なんだこれは?」
むき出しになった鉱床のようだ。
この黒い石がアダマンタイトなのか?
他に目を向けると黄金の鉱床も見えてきた。
―――――――――――――――――――
・☆☆☆希少な 「金」
―――――――――――――――――――
「金!」
初めて見た黄金に興奮したが、
今は採掘手段がない。口惜しいが去るしかできない。
「むぅ」
黄金を目の前にして、落ち込んでいると
突如背後から気配・・・慌てて振り向くと
信じがたい光景を目にした。
・幻獣種:デーモン Lv.66
3mはあろうかという怪物が目の前に立っているのだ。
両手には槍を握りしめている。
「っ!!」
驚きのあまり言葉がでない。
デーモン何らかの魔法を行使している様子だった。
降りてきた魔法のイメージを念じる。
"ノブレス・イグノ・ランケア"
火の槍の魔法がデーモン突き刺さると、少し驚いた様子だ。
デーモンは少し距離を取った。
その直後、デーモンの他に3体の怪物が現れた。
・悪魔(上位種):ガーゴイル Lv.48
・悪魔(上位種):ガーゴイル Lv.42
・悪魔(上位種):ガーゴイル Lv.51
「なんだと!!」
"まずい"
反射的に魔法を念じる。
"イス・ジグス・マギア"
周りに電撃が発生し、3体の悪魔は直撃を受けると
塵となって消滅した。
だが、デーモンは消えていない。
ダメージは受けたものの、まだ生きている。
"レガーリス・ルクス・デル・レイ"
デーモンに光が突き刺ささった。
かなり苦しんでいるようだ。膝をついてダウンしている。
"収納"
(力でねじ伏せるっ)
反射的に金棒を取り出していた。
―――――――――――――――――――
★ 大金棒 【大激震】
└打撃+100 / ☆破砕+80 / ★衝撃波+100
―――――――――――――――――――
(重っ!!)
両手で持つと魔力を放出するイメージが降りてきた。
ありったけの魔力を込める。
ふらつきながらも、何とか大金棒を一回転させて
デーモンに向けてブチかます。
「おらぁぁぁあ!!!」
★【衝撃波】
※ドゴォォォオン!!※
魔力の解放と共に、とてつもない衝撃波が発生した。
空間で地震が発生したかのようだ。
「痛っ!」
手が痺れている。両手もダメージを受けたようだ。
そして目の前を見て驚く。
木々が薙ぎ払われており、道が開けているのだ。
10m程先にデーモンの下半身が横たわっているのが見える。
上半身は確認できない。吹っ飛んだんだろう。
そのうち、デーモンの下半身は塵となって消えた。
「ハァッ、ハァッ」
目の前の脅威は去ったようだ。
装備を
★グランドスタッフ 【第六天魔王】
に切り替えて自身に治療を施す。
"ヒール"をかけながら、今起こったことについて考える。
(デーモンは音もなく接近してきた。
どこから現れ、どのように近づいたのか…)
全く油断ならない。
気を引き締め直し、移動を再開する。
この森は安全ではない。早く脱出しなければ。
一体、この森はどうなってやがる―――
ブクマ・評価いただけると大変助かります(>ㅅ<)




