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夜明けの星の黙示録  作者: 妖怪サトリ
第四章 魔法教団編

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第053話 VS 赤竜Ⅱ

"赤竜"の咆哮が、

意識を闇の底から引き戻すように鼓膜を震わせた。


「……赤竜……」

記憶が断片的に蘇る。

ワープゲートへ向かう途中、突如として吹き荒れた突風。

その一撃をまともに食らい、岩壁へと叩きつけられてしまったのだ。


(くそ…頭が痛てえ…

 体は無事か?どうなっている?)

自分のステータスを確認する


■アレク

―――――――――――――――――――

名前:アレク Lv.157

HP:1204↑ / 2380 MP:815↑ / 2380

種類:亜人類 種族:人間 種別:イーシス

性別:♂ 年齢:16歳 身長:186cm

ジョブ:

 ・戦士 Lv.21

 ・魔法使い Lv.25

 ・冒険者見習い Lv.8

 ・狩人 Lv.23

 ・野草採集者 Lv.2

 ・【アドニス】

 ・【英雄】

スキル:

 ・闘争心

 ・二重奏

 ・察知

 ・狩り

 ・採集

 ・【ポイント付与】

 ・◆【任命:愛奴】(4)

 ・【無詠唱】

 ・【精密解析】

―――――――――――――――――――


イヴの回復が持続中とはいえ、

体力は半分、魔力は1/3しかない。


一方、トカゲ野郎はどうか?


■赤竜

―――――――――――――――――――

名前:アルバストラス Lv.151

HP:4598 / 6030 MP:4428 / 5520

種類:神獣類 種族:竜(神獣種) 種別:ドラゴン

性別:ー 年齢:346歳 身長:21m

ジョブ:ー

スキル:

 ・【無詠唱】

 ・《五重奏》

称号:《赤竜》

―――――――――――――――――――


■アルバストラス_身体

挿絵(By みてみん)


■アルバストラス_魔法

挿絵(By みてみん)


相変わらずイカれたステータスをしてらっしゃる…

まともに戦えば死が待っていることは明白だ。


(だが、俺様の辞書に"逃げる"という文字は

 …

 …めっちゃあるな)


逃亡、逃走、退却、撤退、脱出、逸出。

あらゆる手段を使ってカナンへ帰りたい。


だがしかし、

万が一カナンまで追い掛け回されたら集落は全滅だ。

何より"赤竜"の目が"もう逃がさんぞ"と言っている。


長杖を握りしめ、覚悟を決める。

―――――――――――――――――――

★ グランドスタッフ 【第六天魔王(だいろくてんまおう)

└外練+100 / 魔術+80 / ☆詠唱速度:大↑↑↑ / ★六重奏

―――――――――――――――――――


最初に仕掛けたのは赤竜の方だった。

"王の焔の魔法"


レガーリス級:王の位を冠する業火が、

周囲一帯を焼き尽くさんと迫る。


直感に従い、上位のイス級の魔法で対抗する

"土+水+無:偉大な盾の魔法"


「三重奏」魔法による堅牢な障壁を生成し、

焔の魔法を受けるが…

(突破される……!)


第六感が絶え間なく警笛を鳴らす。

(離れろ)


ダメだ。やはり受け切れない。

第六感に従い、空間魔法で脱出する。

"ワープ"


アレクの姿は業火の中から消え去ると

次の瞬間には赤竜の背後に現れていた。


(なんだこりゃ…まるで地獄じゃねえか)


周囲一帯は地獄の業火に焼き尽くされ、

景色は一変していた。


殺らなければ、殺られる。

今度はこちらがレガーリス級の魔法を叩き込む。


"麻痺+雷+水+無:王の広域の矢の魔法"


背後から大量の矢の魔法を受けた赤竜は振り返ると

アレクをギロリと睨みつけ、

そして怒り狂ったように向かって来た。


肉弾戦か!?

それならばと、急いで武器を切り替える。

―――――――――――――――――――

★ 大金棒 【大激震(だいげきしん)

└打撃+100 / ☆破砕+80 / ★衝撃波+100

―――――――――――――――――――

出し惜しみ無し。フルスロットルだ。


「オラァアア!!」

★衝撃波+100

※ドゴオオオオオッ!※


大気を揺るがす衝撃波が赤竜を襲う。

まともに食らった赤竜はたまらず怯み、

進撃が止まった。


(効いている…!)


間を開けず連撃を叩き込む。


「オッシャァアア!!」

※ドゴオオオオオッ!※

※ドゴオオオオオッッ!!※

※ドゴオオオオオッッッ!!!※


イケる!このまま押し切ればあるいは!

勝利が見えて来たその刹那——


視界に巨大な影が横薙ぎに迫っていた。

(――しまっ)


それは赤竜の尾だった。

ただし、鋼鉄をも砕く質量と、風を切る速度を併せ持つ凶器だ。

そんな“凶器”にアレクは叩きつけられた。


「がぁっ!!!!」

容赦なく一撃を受けると、軽々と吹き飛ばされ、

強烈な勢いで木に叩きつけられた。


・・・息ができない。

衝撃が全身を貫き、骨が軋み、視界は揺れる。

だが、何とかまだ生きている。


■アレク

―――――――――――――――――――

HP:495 / 2380 MP:302 / 2380

―――――――――――――――――――


瀕死のアレクの前に赤竜が姿を現した。


姿を見て気づいたが、相手も必死だ。

何とか気力を振り絞り、焔の魔力を生成している。


…これはもう避けれないな。

正面突破しかない。


最後の力を振り絞り、

ありったけの力を込めて【大激震(だいげきしん)】 を振るう。


「オラァアア!!」

※ドゴオオオオオッッッ!!!※


衝撃波の直撃と同時に、灼熱の炎に包まれた。


"王の焔の魔法"


「があああああ!!」


遂にアレクは地獄の業火に捕らえた。


アレクは火達磨になりながらもアイテムボックスを開き、

長杖を取りよせると、水の魔法を生成して水を被った。

―――――――――――――――――――

★ グランドスタッフ 【第六天魔王(だいろくてんまおう)

└外練+100 / 魔術+80 / ☆詠唱速度:大↑↑↑ / ★六重奏

―――――――――――――――――――


※ジュワアアア※


何とか消火したものの、そこで力尽きる。

地面に倒れ込み、そのまま這いつくばる格好となった。

全身に大火傷を負い、もう立てる気力もない。


(もう無理だ…また死がやってくる…

 2度目の死が…)


死を覚悟して、赤竜の方に目を向けると、

赤竜も地面に伏していた。


!?


■赤竜

―――――――――――――――――――

HP:2020 / 6030 MP:3881 / 5520

―――――――――――――――――――

だがまだHPはある。

どうやら失神している様だ。


(…今だ!ここしかない!)


最後の気力を振り絞り、

ワープホールを作りカナンへつなぐと、

這いつくばりながらワープホールへ向かった。


目を覚ましたら殺される。

音も立てたくない。

(ゆーっくりやでぇ!そーっとやでぇ!)


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


―――その頃のカナン


「見ろ!ワープホールだ!」


突如現れたワープホールに皆が駆け寄ると、

中から手が現れた。…だがそれだけだ。

アレクが勢いよく飛び出して来ない。


瀕死の状況を察した

フェンリカとタリオンがワープホールの中へ身を乗り出すと、

目の前の光景にギョッとする。


先程までいた鉱脈の周りは火に包まれ、

足元にはアレク、そしてすぐ目の前には赤竜が倒れているのだ。


2人で何とかアレクを引っ張り出すと、

すぐさまイヴの【聖鈴・神楽(せいれい・かぐら)】による治癒が施された。


他の者達も癒の魔法をかけて集中治療を施すと、

アレクは何とか一命を取り留めることができた。


危険な状況を脱し、緊張が和らぐ。


「助かったぞ!」


「まったく、ドラゴンが倒れていた時は

 心臓が止まりかけたぞ。無茶しやがって…」


「今日はあれくらいで許してやったのだ。

 次は勝つ!ガハハハ!」


調子のいいアレクだが、まだ立ち上がれないようで、

地面にうつ伏せになりながら、フカしていた。

しかし奇妙なことにケツが浮き上がっている。


そんな様子にフェンリカが心配そうに声をかける。

「おい、ケツが浮き上がっているぞ。大丈夫か?」


「ああ、息子だけは元気になってな。

 その気になれば、息子だけで全身を持ちあげれるかもしれん。

 そんな気がする」


よく見るとアレクはフル勃起していたのである。


「お前…こんな時に…」


「うむ。今さっきまで死にかけてたからな。

 次世代を残そうと奮起しておるのだ。

 まったく恐ろしい息子よのう」


アレクはダンゴムシのような格好で

"ヤレヤレ"と言った様子で講釈を垂れる。


「…」


こんな(あるじ)で大丈夫かという空気が流れると、

ラグナルがフォローするように言葉を駆ける。


「皆、今日は見事な戦い振りじゃった!

 おかげ様で希少な鉱石を手に入れる事が出来た。

 この利益は必ず皆に還元する!

 フェンリカよ、今日の戦い振りには"偉大な牙"の姿を見たぞ

 『星天牙戟(せいてんがげき)』を頼むぞ。」


ラグナルに褒められたフェンリカの顔は瞬く間に赤面となり、

耳がぴょんぴょんと跳ねだした。

「う…うん」


そして蚊が泣く声で返事をすると、

チラチラとラグナルに熱い眼差しを向けて始める。


(・・・っ!!

 姉御が!!!女になってる~~~っ!!)


この日、黒狼の牙達に二度目の衝撃が走る。


周りの皆もフェンリカの好意に気づくが、

心の中に押しとどめていると

ノンデリの化身、アレクは鋭く指摘する。


「一体どうしたんだフェンリカ!!

 メスの顔をしとるじゃないか!!」


((あっ!))


フェンリカに思いっきり蹴りを食らったアレクは

地面をのたうち回った。


「痛てええええええ!」

くっつきかけていた骨は再びサヨナラバイバイした。


「イヴ!回復だ!エイル!エイル!」

「…もう知りません」


!?


イヴにまで見捨てられたアレクは芋虫のように

地べたを這いずり回るのであった。

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