表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜明けの星の黙示録  作者: 妖怪サトリ
第一章 賽は投げられた

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/80

第004話 VS 赤竜

周囲が一瞬で昼間から夜へと変わった。

直感で分かる。何か巨大な影に覆われたのだ。


直後、空から轟音のような風切り音が響き渡る。

慌てて空を見上げると、見たこともない巨大な“羽根つきトカゲ”が視界に飛び込んできた。

そして頭の中に情報が流れ込んでくる。


・神獣種:ドラゴン "赤竜"《アルバストラス》 Lv.151


「ドラゴン!?」


思わず声が漏れるが、すぐに冷静さを取り戻す。

俺のレベルは156。あいつは151。

つまり――俺の方が上だ。

俺の方が強いに決まっている。

……たぶん。


"収納"


急いで道具を取り出す。

あの巨体相手に、近接武器なんて役に立つはずがない。


ここは魔法で勝負するしかない!

魔法に関連していそうな武器を探し、

アイテムボックスから取り出す。


―――――――――――――――――――

★ グランドスタッフ 【第六天魔王(だいろくてんまおう)

└外練+100 / 魔術+80 / ☆詠唱速度:大↑↑↑ / ★六重奏

―――――――――――――――――――


"赤竜"は上空をぐるりと旋回した後、

こちらの20メートルほど先に、向かい合う形で着陸した。


そして目が合った。

爬虫類特有の鋭い目で、じっとこちらを睨んでいる。


「グォォォォォォォォォ!!」


轟音のような咆哮が辺りに響き渡る。

その声、どこかで聞いたことがある……

そうだ、昔見たゴジラの鳴き声にそっくりだ。


"立ち去れ"


直感で警告を発したと理解できた。


"逃げろ"

"早く"

"今すぐに"

"死"


危険信号も止まらない。


(イヤだ…逃げたくねぇ!)


何も成せなかった、前の人生。

でも今度こそ――我がままに生きてやる。

名前を借りた偉人なら、きっと逃げたりしない

……たぶん。


腹の底から増幅する恐怖心を打ち消すように、己を奮い立たせた。

赤竜は、こちらが一歩も引かないのを見て、

ついに攻撃態勢に入ったようだ。

その瞬間、頭の中に信号が流れ込んでくる。


"来る"

"強力な火の魔法"


(やばい…ッ!!)


同時に頭の中にイメージが湧き上がってくる


"強力な土の盾の魔法"

"強力な水の魔法"


瞬時にグランドスタッフを掲げ、念じる。


"ヴァリドゥス・テラ・バ(強力な土の盾の魔法)リス"


魔法を唱えた瞬間、目の前の地面が轟音とともに盛り上がり、勢いよく土の盾が形成された。

だが、その直後――盾の周囲が炎に包まれる。

赤竜の火の魔法だ。

熱気が一気に押し寄せ、空気が震える。


「うおおお!」


防御と攻撃が交錯する、瞬きすら許されない一瞬だった。


しかし熱い。

単発的な火の攻撃というより、

継続的な火炎放射を食らっているのが分かる。

そして土の盾の魔力を切るとすぐに破られることも直感でわかる。


!!

一方、赤竜は驚いていた。

火の魔法が土の盾で塞がれたのだ。

これを見た赤竜は風の魔法を重ね掛けした。


(まずい!まずい!まずい!)


火の威力が増し、土の盾が削られ始めた。


"ヴァリドゥス・アクア・(強力な水の魔法)マギア"


イメージした通り、土の盾に水を重ね掛けした。


"ジュアァァァァァ"


火と水がぶつかり合い、大量の水蒸気が立ち込める。

水はすぐに蒸発してしまうが、それでも絶え間なく生成し続けている。

そのおかげか、土の盾が徐々に強固になっていく感覚がある。

今のうちに、さらに補強しておくべきだ。


だが、火の魔法が止む気配がない。


まずい。俺自身が熱い。

この火炎放射は一体いつ終わるのか。


土も水も、魔力を切るわけにはいかない。

もし魔力の供給を止めれば、盾は一瞬で崩れ落ち、

その先に"死"が待っていることが分かる。

まさに必死だ。


しかし、どこかで攻勢に転じなければならない。

このままだとジリ貧になる。

終わりが見えず魔力を流し続けるのは辛いものがある。


赤竜は水蒸気によって目標を見失うとようやく火の魔法を解いた。


(今だ!)


攻勢のイメージがわいてきた。

流し続けていた魔力を一旦切り、土の盾から身を乗り出す。

そして視界の先に"赤竜"を捉えた。


"レガーリス・ジグス・デル・(王の雷の光線)レイ"


呪文を念じると、一本の雷が赤竜の体を貫いた。


「ギャォォォ!!」


咆哮が響き渡る。

よし、効いてる!……ように見える!


……でも、どれくらい効いてる?

あの巨体、まだまだ余裕がありそうな気もする。

奴のステータスを覗いてみる。


"解析:赤竜アルバストラス"

―――――――――――――――――――

名前:アルバストラス Lv.151

HP:4324 / 6030 MP:4116 / 5520

種類:神獣類 種族:竜(神獣種) 種別:ドラゴン

性別:ー 年齢:346歳 身長:21m

ジョブ:ー

スキル:

 ・【無詠唱】

 ・《五重奏》

称号:《赤竜》

装備:ー

―――――――――――――――――――


「な…なんだこのステータスは…」


俺よりレベルが低いのにHPとMPが俺の倍以上ある。

…ただ性別、ジョブ、装備が無い。


能力の方は…どうだ…?


"解析:能力"


■赤竜_身体

挿絵(By みてみん)


■赤竜_魔法

挿絵(By みてみん)


「何だと!!!」


能力のレベルが…100を越えている!?


最大値はギフト10×才能10=能力Lv.100だったはずだ。

ただし、分類は身体・魔法のみで、道具・生殖が無い。


…もしかして種族によって、最大値は異なるのか?

そして自分が赤竜よりLv.が高いのは

分類数の差によるものなのか?


だとしたら勝てる相手じゃない。

奴は、能力Lv.が5倍以上あるバケモノだ。


「っし…逃げるか…」


そう呟いた瞬間、赤竜が大きく羽ばたき、空へと舞い上がった。


"来る"

"焔の魔法"


まずい。また攻撃が来る――!


急いで土の盾の裏に身を隠す。

だが、今回は相手が上空。上からの攻撃だ。

盾だけでは、完全に身を守りきれない。


"離れろ"

"急げ"

"空間魔法"

考えている暇なんてない。イメージ即行動。


"ウラノス(ワープ)・マギア"


目の前に現れた空間に迷わず飛び込む。

その直後、何かに激突した。


「いてっ!?」


どうやら地面にぶつかって、派手に転んでしまったらしい。


痛みをこらえながら周囲を見渡すと、

100メートルほど先に土の盾が見える。

そして、上空には今まさに攻撃を始めようとしている赤竜の姿。


どうやら、近くにワープできたようだ。

ここはまだ、戦場のど真ん中だ。


赤竜は土の盾に向かって、

先ほどよりもさらに強烈な火の魔法を放っていた。


……あれ、本当に“火”なのか?

もはやマグマの放射に近い。


土の盾は瞬く間に溶けていく。

もし、あそこに身を隠したままだったら確実に死んでいた。

目の前の現実にぞっとする。


さっきは周囲が見えていなかったが、

どうやら土の盾の周りでは火災が発生していたようだ。

というか、炎が森林にまで飛び火しているような…?


…まずいぞ…これ。


このまま撤退したいが、赤竜が上空にいる状態では動きづらい。

それに、森林火災も厄介すぎる。

どうする?

何か突破口はないか――思考が高速で回転する。


"水"

"雷"

"麻痺"

"水"

"空間"


瞬時にイメージが湧いてくる。即実行。


"アクア・ラトゥス・サギッ(水の広域な矢)タ"


赤竜に向かって大量の水の矢を放った。

赤竜は被弾するが、ダメージを受けているようには見えない。

それよりも別方向から攻撃をもらい、面食らっているようだ。


今のうちに叩き込む。


"レガーリス・ジグス・デル・(王の雷の光線)レイ"


濡れた体に雷の魔法を叩き込む。

「ギャォォォオオオ!!」


やはりこちらは通るようだ。

赤竜は一瞬体を硬直させると、そのまま地面に落下した。

かなりの高さから落下したんだ。

ダメージ入ったんじゃないか?


さらに叩きこむ。


"レガーリス・ヴィム・ラトゥス・(王の麻痺の広域な矢)サギッタ"


赤竜に向かって大量の麻痺の矢を浴びせる。


「ガァァァアッ!」


咆哮とともに、赤竜の動きが硬直した。

麻痺が効いている!

すかさず、空に向かって水の魔法を展開する。


"イス・アクア・ラトゥス・(偉大なる水の広域な雫)デル・ロス"


空気が震え、水の気配が広がっていく。

そのまま、丘の上から遠くの山の尾根へと視線を向ける。

距離は……おそらく2kmほどか?


(いけるか?、届いてくれ――!)


"ウラノス(ワープ)・マギア"


空間に飛び込もうとしたとき、

またしても危険信号が流れ込んできた。


"致命的"


次の瞬間、背中に焼けるような激痛が走る。


「痛っ!!」


炎に背中を焼かれながらも、なんとか空間へ飛び込む。

そして、着地…いや、地面に激突。


痛みをこらえつつ、這いつくばりながら周囲を確認する。

2kmほど先の丘から煙が立ち上っているのが見える。

その近くには小さく赤竜の姿、そしてその上空には雨が降っているようだ。


ここは……イメージ通りの山の尾根。

ワープ成功だ…


だが背中が激しく痛む。

特に足の感覚がない。これはかなり致命的かもしれない。


近くに、身を隠せそうな茂みを見つける。

激痛を堪えながら、匍匐(ほふく)前進でそこまで這っていき

なんとか身を隠すことに成功した。

ブクマ・評価いただけると大変助かります(>ㅅ<)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ