第033話 個別練習
「よし!依頼も終わったし、ブドウ園に行くか!」
依頼のヒースの花を収穫し終えたアレクは
ブドウ園をイメージしてワープホールを作り、
みんなと一緒に移動した。
「わわ!わわわ!
これ全部ルビー・ブドウなの!?」
「フフン。驚いたかアウラ。
ここは俺様の秘密の花園だ。
さあ、みんな。昼飯がてら収穫するぞ!
種を残せるようにまばらに収穫するんだ!」
「「はい!」」
アイテムボックスから今日買ったばかりのアミ籠を取り出すと。
それぞれ手分けして収穫を始めた。
これで昨日より効率よく収穫できるはずだ。
※ワイワイ※
女性陣はブドウを食べつつ、楽しそうに収穫している。
(さて、皆の役割は決まった。俺はどうしようか?)
アイテムボックスにある特別なアイテムを確認する。
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★ 短刀 【地獄痺刃】
効果:
└突撃+80 / 斬撃+50 / ☆貫通+80 / ★麻痺+100
使用条件:
└器用:Lv.90 / 短柄:Lv.70 / 魔法(麻痺):Lv.80
★ 妖刀 【冥狂血吸】
効果:
└斬撃+100 / ☆切断+80 / ★MP吸収+50 / ★HP吸収+50
使用条件:
└精神力:Lv.90 / 中柄:Lv.70 / 魔法(闇):Lv.80
★ 大金棒 【大激震】
効果:
└打撃+100 / ☆破砕+80 / ★衝撃波+100
使用条件:
└剛力:Lv.90 / 中柄:Lv.70 / 魔法(無):Lv.80
★ グランドスタッフ 【第六天魔王】
効果:
└外練+100 / 魔術+80 / ☆詠唱速度:大↑↑↑ / ★六重奏
使用条件:
└知力:Lv.90 / 魔力(量):Lv.70 / 魔法(無):Lv.80
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特別なアイテムの内、
地獄痺刃、冥狂血吸、第六天魔王は
使用条件に"集中"項目の能力レベルを90要求されるが、
自分の能力レベルは軒並Lv.50だ。全く届いていない。
装備すると下降補正:大↓↓↓がついてしまう。
大激震のみが
使用条件が"活性"項目の剛力:Lv.90であり、
自分は今Lv.80と後わずかだ。
唯一、下降補正:中↓↓となる武器となっている。
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★ 大金棒 【大激震】
使用条件:
└剛力:Lv.90 / 中柄:Lv.70 / 魔法(無):Lv.80
アレク:
└剛力:Lv.80 / 中柄:Lv.60 / 魔法(無):Lv.70
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全然足りない"集中"項目を強化するとして、
目先の目標はこの大激震を
下降補正無しで使いこなせることにしよう。
あとはそうだな、これまでの戦闘で
魔法がかなり強力だということが分かった。
魔法も強化しておきたい。
取っておいた《保有ポイント:278p》を使う時が来たか。
転生前のポイント割り振りと、これまでの経験で、
保有ポイントのことも段々と分かって来た。
整理すると↓の通り。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
・保有ポイントは転生前は能力レベルを直接上げれたが、
転生後は能力レベルを上げることはできない。
・ギフトポイント = Gp か
才能ポイント = Tpを上げる為に利用できることが分かっている。
・Gp / Tp を上げることで、能力レベルの上限が上がる。
Gp:10 / Tp:10 =能力Lv.100が上限だ。
・能力Lvが合計30上がると、キャラクターレベルが1上がる。
・Gp / Tpを1上げる為のポイントはグレードによって必要量が異なり、
Gp:通常3p、レア=5p、伝説=7p、特別=10p
Tp*通常1p、レア=2p、伝説=3p、特別=4pである。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
こうして、転生後初めて自分にポイントを割り振った。
■アレク_身体(割り振り前)
↓
■アレク_身体(割り振り後)
■アレク_道具(割り振り前)
↓
■アレク_道具(割り振り後)
■アレク_魔法(割り振り前)
↓
■アレク_魔法(割り振り後)
計:69p使用した。
これで《保有ポイント:278p → 209》だ。
ちょっと使い過ぎちまったか?
もし、後天的に能力を取得するなどできた場合、
必要になるかもしれん。
ポイントはどうしても残しておきたくなる。
とはいえ、自分が用意したアイテムが使えないのは情けない。
これは仕方ない。割り切ろう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
・・・2時間後
「ふう。今日のところはこれくらいでいいだろう」
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・☆☆☆希少な 「ルビー・ブドウ」 ×2548
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自分だけでも1000房以上収穫したつもりだが、
まだまだブドウが尽きる様子はない。
冬になると駄目になってしまうだろうから
その前にあらかた収穫しておきたい。
日を刻んで収穫するとしよう。
「では魔法の訓練に移るか」
イヴ、リーシャ共に訓練したおかげか
火の魔法はLv.2に上がっている。その他魔法はLv.1だ。
さて、アウラはどうだったか・・・?
■アウラ:魔法
火の魔法はLv.1。まずは火からだな。
川にたどり着くと魔法の訓練を始めた。
「イヴ、リーシャ、まずは昨日教えた火の魔法だ。
やってみよう」
「はい」
2人共まだまだ時間がかかるが、
小さな火を生成することができた。
「うわーいいな~いいな~」
アウラが羨ましそうにその様子を見ている。
「アウラは探知魔法を使えるよな?
集落では火の魔法を教わらないのか?」
「うん。魔法の先生がいないんだ。
探知魔法はクロエお姉ちゃんから教えてもらったんだ。
でもみんなできる訳じゃなくってね。
探知魔法を使えるのは数人だけなんだよ!」
「そうか。ではアウラにも教えてやる。手を握れ」
イヴ達と同様、仕組み説明した後実際にやってみる。
「小さな火をイメージできたか?
詠唱は"イグノ・マギア"だ。さあ、詠唱してみろ」
「うん!なんだかできそう…"イグノ・マギア"!」
アウラの目の前にライター程の火が一瞬発現した。
成功だ。
「やったぁ!アレク!できた!できたよ!」
「おめでとうございます!」
イヴ達も祝福する。
これで全員が火の魔法を使えるようになった。
「よし。次は水の魔法"アクア・マギア"だ
みんな、俺の手に触れてくれ」
そして説明しながら、ゆっくりと水の魔法練っていく。
「…よし、次は詠唱だ。
イメージできたら詠唱してみろ」
「「"アクア・マギア"」」
3人の前に小さな水が生成される。一発で成功だ!
「やったぁ!」
3人共大喜びで魔法の成功をたたえ合う。
俺自身も魔法を教えるのが上手いのではないかと自信が付く。
「よし!いいぞ!よくやった!
次は補助輪無しだ。
今の感覚を忘れないうちにもう一度やってみよう」
三人共集中して取り掛かる。
いいぞ。全員水の魔法を練れている気配がする。
火と水の魔法を習得すれば
危機に陥っても生存率がぐっと上がるはずだ。
後は回復する癒しの魔法、身を清める光の魔法も覚えさせよう。
それとは別に、
各々武器に会った個別練習もしないとな。
■イヴ
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★ 巫女鈴 【聖鈴・神楽】
使用条件:
└精神力:Lv.90 / 魔法(量):Lv.70 / 魔法(光):Lv.80
イヴ:
└精神力:Lv.56 / 魔法(量):Lv.3 / 魔法(光):Lv.1
※下降補正:特大↓↓↓↓
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精神力のレベルの上げ方は不明だが、
イヴの魔導はGpが10、光の魔法のTpが10で最高値だ。
"聖女"の称号が関係しているのだろうか、
イヴは光の魔法に関してとてつもない才能を秘めている。
ガンガンレベルが上がるはずだ。
光の魔法を個別練習としよう。
■リーシャ
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★ 魔導書 【八咫の記】
使用条件:
└気配:Lv.90 / 魔力(量):Lv.70 / 魔法(使役):Lv.80
リーシャ:
└気配:Lv.15 / 魔力(量):Lv.2 / 魔法(使役):Lv.1
※下降補正:特大↓↓↓↓
―――――――――――――――――――
リーシャの個別練習は使役魔法だな。
魔法を使えば魔力(量)も付いてくるだろう。
だが、使役魔法は俺もまだ使ったことがないな。
教えるために試してみるか。
■アウラ
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★ 魔法弓 【夢弦・オロチ】
使用条件:
└制御力:Lv.90 / 遠隔:Lv.70 / 魔法(無):Lv.80
アウラ:
└制御力:Lv.40 / 遠隔:Lv.32 / 魔法(無):Lv.3
※下降補正:特大↓↓↓↓
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アウラの身体/道具方面は
弓を使っていけば自ずと成長していくだろう。
無属性魔法を個別練習とするか。
そんなことを考えていると3人から歓声が上がる。
全員自力で水の魔法を成功させたようだ。
「3人共おめでとう。よくやった!
火と水の魔法はこれからも
各々安全な場所で練習するように。
そうだな。皆で朝に練習しよう。朝練だ」
「はい。わかりました!」
「それと、各自武器に応じた個別練習もしていこうと思う。
みんなに渡している武器は強力だが、使用条件がある。
能力レベルってやつだ。
俺も含めてだが、今は武器の使用条件にレベルが達していないので、
まだ武器を全力で使いこなせていないんだ」
「そんな…アレク様でも?」
「うむ。だが大丈夫だ。
みんなに任命した【愛奴】は特別なジョブでな。
能力レベルが上がりやすくなる効果がある。
必ずみんな使いこなせるようになるさ。
それで、強化すべき能力だが、
イヴは光の魔法、リーシャは使役魔法、アウラは無属性魔法だ。
個別練習に移る前に、イヴ、回復を頼む」
イヴの聖鈴・神楽で
全員の魔力を回復してもらった後、個別練習に取り掛かった。
「イヴ、手をこちらに。
光の魔法は"ルクス・マギア"という」
初回は魔力はこちらで生成し、イヴに放出してもらう。
イヴは元々才能があるせいか、難なく成功させた。
「よ~し、今の感じを忘れないうちに練習だ。
リーシャは使役魔法だな。ちょっと待ってろ」
丁度川に魚が確認できる。
使役魔法を使おうとすると、イメージが降りて来る。
"アミクス"
イメージ通り魚に向かって念じてみる。
するとすぐに、魚を自由自在に動かせるような感覚を得た。
近づいて欲しいと思えば近づいてくれるし、
離れて欲しいと思えば離れてくれる。
(おお、このまま捕獲するか。)
【八咫の記】のように、
短刀を出してそこに魚を突っ込ませようとすると
突如使役魔法は解かれてしまった。
(む?…敵対心や危険を感じると
魔法が解かれてしまうのか?フーム。
八咫の記が強力なのか。)
「リーシャ、手を。使役魔法は"アミクス"だ」
魔力を込めてリーシャに放出させる。
「"アミクス"」
気配で発動は分かったが、リーシャは困り顔だ。
う~んこれは?成功・・・か?
「どうだ、リーシャ。
魚をコントロールできているか?」
「う…ん…すみません。
効いている感覚はあるのですが、
まだうまくコントロールできません」
「そうか。まだLv.1だしな。
焦らなくていい。じっくりとやってみよう。
それと、敵対心や危険を感じると
解かれてしまうようだ。
何度か繰り返してコツを掴もう」
「はい。わかりました」
よし、次はアウラだ。
「アウラは無属性魔法だな。
"ノドス・マギア"という。手をこちらに」
…
「できたぁー!」
透明のエネルギーが生成される。難なく成功だな。
アウラは直後、自力でもあっさりと成功させて見せた。
何というかアウラは飲み込みが早い感じがする。
「よし、皆うまくいったな。
個別練習をしていてくれ。
イヴ、適時回復を頼むぞ。
俺は俺で修行してくる」
「わかりました」
"探知魔法"で周りを確認すると、
この周辺の安全だとわかるのだが、
川の向こう側、《赤龍》が居る方向に強い反応を感じる。
それも大量にいる。
★【大激震】 の練習だ。
「無茶はしない。1時間で戻る」
そう伝えるとイヴ達は不安そうに見送ってくれた。
「いってらっしゃいませ」
「気を付けてね」
本当に無茶はしないさ。
まだ全員、一度しか抱いてないからな。
これから抱きまくる予定なんだ。
今夜も覚悟しておけよ!
"ワープ"
こうしてアレクは下半身を膨らませたまま、
単身、川の向こう側へ渡った。
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