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夜明けの星の黙示録  作者: 妖怪サトリ
第三章 ガルフ・バウ編

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第030話 はじめてのおつかい

―――よし、行くか。

アレク一行は海の眺めに満足すると、町を散策し始めた。


まずはショッピングだ。

ある程度の物の相場を知っておきたい。

この町の営みも見ておきたいしな。

今日はボラれても勉強代ということにしよう。


町を散策してすぐ、武器の紋章の看板が目についた。

武器屋だろうか?結構大きい店に見える。


「まずはここに入ってみるか!」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「いらっしゃい」


店の扉をくぐると、目の前に広がるのは武器と防具の山。

壁際から中央の棚まで、所狭しと並べられたそれらは、

まさに男心をくすぐる光景だった。


所々に"☆良質"、稀に"☆☆[精良]"の装備も混じっている。


「おお~」


アレクは目を輝かせながら、

初めて訪れた武器屋の中をキョロキョロと見渡す。

その様子を、カウンター奥のウェアドッグの店主が冷ややかな目で見ていた。


(なんだ、人間族か。しかもこいつら田舎者だな)


アレクは"詳細解析"のスキルで店主の

"武器商人"のジョブと、"武器鑑定"のスキルを確認すると、

ノーマル品質のダガーを指さして訪ねた。


「店主、あれはいくらだ?」

「…50 Rbだ」

(5千円か)


今度は☆良質のダガーを指さして訪ねる。

「そうか、あれは?」

「100 Rbだ」

(1万円ね)


今度は☆☆[精良]のダガーを指さした。

「おおそうか、あれはいくらになる?」

「あれは高いよ。600 Rbだ」

(6万円か。一気に跳ね上がったな)


"武器鑑定"のスキルがどのような物かは分からないが、

正確に武器の品質を見定めている様だ。


「そうか。やはりあれはいい物か。

 ところで店主、ここは買い取りもやってるのか?」


「あ~いい品は値を付けてやるよ。何を売りに来たんだい?」


アレクはこそっとアイテムボックスからダガーを3本取り出すと、

店主の前に差し出した。


「この品を見てほしいんだが」

―――――――――――――――――――

[武器]

・☆良質な ダガー ×1

・ダガー ×2

―――――――――――――――――――


店主はちらりと目を通すと、鼻で笑った。


「あ~、こりゃ粗悪品だね。

 他の店なら値はつかないよ。

 でもまあ、初見さんへのご祝儀ってことで

 3本まとめて5Rb出してやるよ。

 それで飯でも食いな」


「む?これはいい物ではないか?」


アレクは"☆良質"の1本を指さしてそう言うと、

店主は肩をすくめ、呆れたように言い返す。


「はぁ~、兄ちゃん素人だろう。

 ちょっと被り物がいいだけで中身はてんでダメ。

 粗悪品だよ。素人はすぐ見た目で騙されるんだ。

 プロの目は誤魔化せないよ」


なるほど、適正な評価を受けていないことが分かった。


「そうか。すまんが売れないな」

アレクはそう言って店を後にした。


「ちっ!なんだ冷やかしかよ」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


気を取り直してマッピングがてらに店を探す。

すると今度はベッドのマークの看板の店を見つけた。


寝具(しんぐ)屋さんですね!」

「わぁー!」


女性陣のテンションが一気に上がる


「うむ。サクラからベッドの上に敷く

 藁と布を頼まれていたな。入ってみるか」

「いらっしゃいませ」


ウェアカウルの女店主は早速アレクを品定めする

―――――――――――――――――――

[アレク]

・胴体:☆☆精良な [レザーアーマー]

・腕:レザーグローブ

・上衣:リネンチュニック

・下衣:リネンパンツ

・足:レザーブーツ

―――――――――――――――――――

(なかなかいい装備をしてらっしゃるわね)


「ベッドフレームの上に敷く布団が欲しいのだが」


「左様でございますか。

 それではこちらなどいかがでしょう。

 羊の毛をふんだんに使ったウールの敷き布団でございます」


「わぁ~ふかふか~」

「ご主人様ー!これ欲しいですー!」


布団に触れた女性陣のテンションが爆上がりする。


スキルで"解析"すると、☆☆☆が確認できる。

希少品のようだ。


「いくらになる?」

「こちらのキングサイズが1,000Rb、

 こちらのクイーンサイズが800Rbでございます」


キングサイズが10万円、クイーンサイズが8万円か

「それではキングサイズを1つと、クイーンサイズを3つくれ」

「かしこまりました」


ウェアカウルの女店主は顔色こそ変えないが、

内心かなり驚いていた。


(即決!?ご主人様と呼ばれていたし、高貴な方なのかしら)


その他に☆☆精良品の毛布、掛け布団、枕を選んでお会計へ。


主人が計算中、アレクはこそっと

アイテムボックスから財布を取り出し、

硬貨を詰め込んだ。


「合わせて7,180 Rbとなりますが

 お客様はお初の方かとお見受けいたしますので

 割引させていただいて7,000 Rbとさせていただきます」


「おお、助かる」


財布から大銀貨7枚を取り出し、支払いを済ませた。


「確かに受け取りました。

 配達はどうなさいましょう?

 よろしければ当店から冒険者ギルドへ依頼を出させていただきますが」


(ほう、冒険者は配達の仕事もやっているのか)


「そうだな。配達先はここから半日の距離なんだが、

 相場はどれくらいになるんだ?」


「そうですね…

 馬車1台で相乗りが可能ですと100Rb程かと。

 人の手で運ぶとなると、7名で拘束1日として…

 1,000~3,000Rb程かと存じます。

 道の状況と人数にもよるので何とも言えませんが…」


(配達料は1万~30万円と随分開きがあるな。

 配達の仕事はギルドの依頼料を抜くと

 日当1万~3万円位か?

 それで馬車が通れると安く済むと)


「そうか、今回は大丈夫だ。

 色々とありがとう。世話になった」


(配達がいらないということは、

 使いの者がいるということね。やはり高貴な方だわ)


「今後もご贔屓(ひいき)にお願いいたします」


アレクは買った商品をアイテムボックスに詰めると、その場を後にした。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「夢のようでした」

「寝るのが楽しみだね!」


いい寝具を揃えて、女性陣は上機嫌のようだ。


「ちょっと小道に入ってみるか!」


アレクたちは大通りを外れ、

ひっそりとした小道へと足を踏み入れた。


しばらく進むと、

壁に掛けられた液状の四角い看板が目に留まる。


(これは何のマークだろう?動物の皮か?)


※カラン※

扉を開けて中へ入ると、そこには帽子を目深にかぶり、

パイプをくゆらせるウェアラビットの老人がいた。

どうやら、この店の主らしい。

だが、こちらに目もくれず、黙々と何かの作業に没頭している。


「・・・」


「やってるかい?」

「ああ、やってるよ」


ぶっきらぼうな返事が返ってきた。

(むむ?不愛想だな。外れか?)


すかさず店主に解析をかける。

"解析"

―――――――――――――――――――

ジョブ:

・『名匠革職人』 Lv.28

・『名匠細工職人』 Lv.25

・『名匠仕立人』 Lv.22

―――――――――――――――――――


ジョブは全て金色の『』付き、名匠が付いてるよ…

店主は商人というより、職人のようだ。

それも、かなり凄腕の。


「お兄さん、そのレザーアーマー、サイズが合っていないね」


今着ているレザーアーマーは賊から奪ったものだ。

自分からすればちょうど良い着心地なのだが、

職人の目から見れば、どうやらサイズが合っていないらしい。


「む。そうか。今日は小物が欲しくてな。

 ちょっと見ていいかい?」

「ああ、適当に見てみな」


店を見渡すと革製品が並んでいる。どれも

・☆☆精良 [ ]

・☆☆☆希少「 」

といった品がずらりと並ぶ。


中には☆☆☆☆奇跡〈 〉まである。

どうやらかなり質の高い店のようだ。


まずは財布が欲しい。

いつまでも賊から奪った物を使い続けるのは、さすがに気が引ける。


それから、イヴとリーシャの武器を収めるための小物も必要だ。

良いものがあれば、まとめて買っておこう。


アウラはどうしようか。弓は背負えるしな。

フーム


「お、アウラ、この矢筒なんてどうだ?」

「うわー、いいの?いっぱい入りそう!」

アレクは目についた矢筒を手に取ると、アウラに勧めた。


「お嬢ちゃんが背負うのかい?

 やめといたほうがいい。ちょっと待ってな」


店主はよっこらせと立ち上がると

矢筒の商品を散策し始めた。


「その矢筒はお兄さん位の体格だとちょうどいいけどね、

 お嬢ちゃん位の体格だと矢を取る時に手間取るだろう」


む。そうか。

大きければ矢を沢山持てていいかと思いきや

そういう訳でもないのか。


「お嬢ちゃん右利きだろう。これなんてどうだい?」


先ほどより短く、小さめの矢筒を勧めて来た。

そうしてアウラに矢筒を充てると、

傍から見てもぴったり納まっている。


「うわー!ぴったり!ちょうどいいかも!」


アウラの僅かな所作から

右利きであることを見抜いたのか。よく見ている。

矢筒もぴったりじゃないか。さすが職人だ。

…この人は信頼できる。


「ありがたい。これを頂こう。

 それと店主、相談があるんだが…」


アレクは店主に財布が欲しい事と

巫女鈴と魔導書を収める装備が欲しいことを伝えた。


実際にアイテムを取り出し、店主と相談した結果、

女性陣からも好評だったので

勧められたものを買うことにした。

・☆☆精良な [本革の財布] ×4

・☆☆☆希少な 「本革の矢筒」 ×1

・☆☆☆希少な 「本革のベルトポーチ」 ×1

・☆☆☆希少な 「本革のショルダーバッグ」 ×1


「しめて3,500 Rbになるよ」

(35万円か。高いがいい買い物をしたな)


アレクは大銀貨5枚と銀貨5枚を支払った。


「あーお兄さんせっかくいい装備しているのにね。

 もったいないね。ちょっと待ってな」


やはり今装備しているレザーアーマーの

サイズが合っていないのが気になるようだ。

店主はぺたぺたと体を触って来た後

店の奥に引っ込んで装備一式を引っ張って来た。


・胴体:黒革のアーマー

・ボトム:黒革のグリーヴ

・腕:本革のガントレット

・足:本革のブーツ


「ちょうどお兄さんが着ている色に似た

 装備一式を新調していてね。

 後はサイズを微調整するだけなんだが…」


うお!かっこええ!


「…今着ている装備は買い取りできるか?」

「ああ、買い取り含めて2,000 Rbとさせていただこう。…どうする?」

「では頼む!支払いは銀貨でいいか?」

「ああ、構わんさ。明日までに用意しておくから、また来なよ」


こうして銀貨20枚で支払いを済ませた。


「あ!そうだ!猪の皮とかも買取してるかい?」

「ああ、動物の皮の買い取りもやってるよ」


(そうか。ゴールデンボアの皮も売れるのか。

 これはいい情報を聞いたぞ)


「ありがとう。いい買い物ができた。明日また来る!」


そう言って、アレクは満足げな笑みを浮かべながら店を後にした。

新しい装備を手に入れたイヴたちも、嬉しそうにはしゃいでいる。


やはり町はいいな。品も揃っているし、

情報も手に入る。学びの多い一日だった。


最後に家具屋を見つけると

ブドウを収穫するアミ籠や調理器具などを揃えて

500 Rb支払った。


―――本日の支払い:13,000 Rb(円換算=130万円程)


では、そろそろ冒険者ギルドを探すか!

ブクマ・評価いただけると大変助かります(>ㅅ<)

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