第002話 賽の目
夢と現の境目が曖昧なまま、ふと気づくと
目の前に、白く発光する画面が浮かんでいた。
??? Lv.2 《保有ポイント:7777p》
……なんだこれは?
それに、“金星に勝利”とは一体どういう…
ダメだ。何もわからない…
画面には、いくつかの項目が並んでいた。
・[ステータス]
・[ジョブ]
・[スキル]
・[称号]
・[アイテム]
そして、一番下には「OK」と書かれたボタンが、静かに待っている。
ぼんやりとした意識の中、目に留まった
[ステータス]欄に意識を向けると、
画面が遷移した。
[ステータス]欄
■ステータス:身体
■ステータス:道具
■ステータス:魔法
■ステータス:生殖
数字が沢山並んでいるのがわかるが、全て"1"だ。
次の項目を見てみる。
[ジョブ]欄
・【アドニス】
…アドニス??念じてみても何も反応はなく、
ただ赤色の背景に白色の文字で【アドニス】と書いてあるのみ。
…
次の項目へ進めてみる。
[スキル]欄
・空欄
[称号]欄
・空欄
[アイテム]欄
・空欄
全て空欄だ。保有ポイントとやらを使うのだろうか。
そう思ったら、大量の候補が出てきた。
(おぉ!?)
武器/防具/装飾があり、
武器は短柄/中柄/長柄
など様々な分類があり、
適当に選択してみると等級が出てきた。
・ 1等級 【特別】 ★
・ 2等級 《神話》 ☆☆☆☆☆☆
・ 3等級 『伝説』 ☆☆☆☆☆
・ 4等級 〈奇跡〉 ☆☆☆☆
・ 5等級 「希少」 ☆☆☆
・ 6等級 [精良] ☆☆
・ 7等級 良質 ☆
・ 8等級 普通
・ 9等級 粗悪 ▽
・10等級 劣悪 ▽▽
試しに短柄 → 短刀 → "劣悪" を選んでみる。
1pだ。
選択を外し、次は"普通"を選んでみる。
3p。
…見えてきた。
つまり1等級は10pか。
短柄 → 短刀 → "特別":100p
(なぜポイントが跳ね上がる!)
ちなみに2等級:神話は90pだった。
ポイントが跳ね上がるのが逆に気になる。
等級間ですごく性能に差がありそうだ。
というわけで、1等級武器をまばらに7つほどピックアップしてみた。
・短柄 → 短刀 → ★特別
・短柄 → 巫女鈴 → ★特別
・中柄 → 妖刀 → ★特別
・長柄 → 大金棒 → ★特別
・長柄 → グランドスタッフ → ★特別
・遠隔 → 魔法弓 → ★特別
・遠隔 → 魔導書 → ★特別
計700p
《保有ポイント:7077p》
当然、今までの人生で武器を触れたことなど無い。
見慣れない武器を中心に、
何だか過剰に選んでしまった気がする。
次は、ひとつ前の[称号]欄に戻る
アイテムと違い、ここは4種で分かれているらしい。
・コモン
・「レア」
・『伝説』
・【特別】
(ふ~ん…)
ひとます、特別を見てみる。
・【剣聖】
・【聖杖】
・【弓聖】
・【槍聖】
・【盾聖】
・【拳聖】
・【叡聖】
・【聖女】
・【魔女】
…
(あれ?)
赤色の背景に白色の文字で浮かび上がってはいるが、
どこか暗み掛かっている。
試しに目についた【剣聖】を選ぶ。
・【剣聖】:ラガン村のレイフ
(え…?人の名前?)
ぼやけた頭が一気に覚醒する。
そして【剣聖】は選べなかった。
すでに取られているから、選べないのか?
他のも選択してみる。
・【聖杖】:"イス"ラエルノア
・【槍聖】:"破滅"のセラフ
・【叡聖】:ルシエン・バエル
・【聖女】:カナンの集落のイヴ
・【魔女】:"大淫婦"エヴァ
やはり全て選べなかった。
(…というか、これって人の名前だよな?)
胸が高鳴る。
未知の世界が、確かにそこにある。
そして、自分はその扉の前に立っている――
そんな予感がした。
[称号]欄では何も取らず、次へ。
《保有ポイント:7077p》
[スキル]欄
称号と同じく、コモン/レア/伝説/特別 の
4つに分かれているようだ。
一応、ざっと眺める。
・コモン ー 闘争心
・レア ー 「一心」
・伝説 ー 『一心不乱』
効果は分からないが、コストが破格な
【特別】から選んだほうがいいのだろう。
(お!空きがある!)
特別の中から、
暗み掛かっていないスキルを見つけて選択した。
・【無詠唱】:100p
・【精密解析】:100p
計200p
《保有ポイント:6877p》
そして[ジョブ]欄へ
この欄も、コモン/レア/伝説/特別 の4階級だ。
すでに【アドニス】が選択されているのが確認できる。
まずは特別を確認する。
・【皇帝】
・【教皇】
・【将星】
・【賢者】
・【グランドマスター】
・【巫女】
…
やはり、いくつか暗み掛かっている。
試しに一つ選択する。
・【皇帝】:不在
”取得資格を満たしていないため、選択できません”
(む!不在?初めてのパターンだ。
しかし取得資格ってなんだ…)
他を選択する。
・【教皇】:キアン・オブライエン
・【将星】:アーサー・ロードゲイン
・【賢者】:シルヴァリア
(やはり選択できんか…)
・【グランドマスター】:"イス"ラエルノア
・【巫女】:カナンの集落のイヴ
(お!称号欄でも同じ名前を見たぞ!)
一通り確認した後、空いていた【英雄】を選択する。
・【アドニス】
・【英雄】:100p
計100p
《保有ポイント:6777p》
ふぅ。ひとまず、ここまで《1000p》の消費だ。
最後の[ステータス]欄へ
この項目は最も重要な予感がある。
項目が多く難解の為、時間をかけて検証していく。
■ステータス:身体
まずは数字の意味についてだ。
Lv.は何となく理解できる。各能力のレベルだろう。
分からないのがGp./Tp.だ。
それぞれギフト、才能のポイントのようだが、
Lv.の基礎になるポイントだろうか。
試しに"体力"のLv.を選択してみる。
・Lv.1 → Lv.2
・保有ポイント:6777p → 6776p
1p消費し、1Lv上がった。
上限まで上げてみようとするも、Lv.3で止まってしまった。
…1Gp:1TpではLv.3が上限値か。
では、試しに"体力"のTpを選択してみる。
・Tp.1 → Tp.2
保有ポイントはレベルと同じく1消費した。
この状態でLvを伸ばすと…
結果、1Gp:2Tp = Lv.7が上限値だった。
やはりレベルが底上げされるようだ。
それでは1Gp:10Tpでは?
→Lv.35が限界だった。
値をリセットし、今度はギフトの検証だ。
”活性”のGpをあげてみる。
1Gpは、記載の通り3p消費するようで、
2Gp:1TpでのLv上限はLv.7だった。
しかし、同行の"持久力"、"剛力"、"瞬発力"、"回復力"も
同時にLv.7まで上げることができた。
ギフトは同行の全てのLv上限に影響があるようだ。
(ギフトは重要な要素だな)
また、いろいろ実験してステータスの割り振り方がつかめてきた。
・10Gp:10Tp の上限値は Lv.100であること
・レア/伝説/特別の能力も取得できること
・レア/伝説/特別のTp消費ポイントは順に2p/3p/4pであること
よし。それでは割り振るか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
…そして格闘の末
■ステータス:身体
1番ポイントを割り振った項目だ。
頑丈で健康面な体を第一に。
また、魅力の要素を兼ねているようなのでそこにも投資した。
…オレも人から愛されてみたいからな。
■ステータス:道具
あまり重要に感じず、
ポイントは一番低く割り振った。
竜騎は惹かれたので入れてしまった。
(無駄遣いかも)
■ステータス:魔法
2番目に投資した項目となる。
何が待ち受けているのかわからないので、
全体的に高めで。
■ステータス:生殖
よく見ると伸ばしたくない項目もあったので、
3番目に投資した項目となった。
…
…童貞を卒業してみたいものだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
さてと、ここまで6499pを使い、
キャラクターLv.156、保有ポイント:278p となった。
保有ポイントは使い切るか迷ったが、残しておくことにした。
もしかしたら後続で利用できるかもしれず、
準備が異なった際に対応できるかもしれないと思ったからだ。
この値はかなり高いものだと考えている。
女神は賽の目を最初に3つ投げ、全て一番高い"7"の値がでた。
その後賽をもう一つ投げた。
あれは、保有ポイントを4桁まで伸ばしてくれたんじゃなかろうか。
今まで惨めな人生を送ってきた自分に対する
ボーナスだったに違いない。
というかそうであってほしい。
(よーし…これで満足だ)
意を決して画面一番下の「OK」ボタンを押下した。
すると画面が切り替わり、
「名前」と書いてある項目欄が出現した。
項目内は空欄となっている。
(!?名前を決めろということか?)
少し迷い、何かいい名前は無いかと記憶を辿る。
思い起こすのは、病院で見たマンガ世界史:"アレクサンダー"の物語。
何度、偉人達のように世界駆け抜けてみたいと妄想したことか。
…俺は、かつての偉人の名前にあやかることにした。
(名前は"アレク"っと)
再度「OK」ボタンを押下すると、今度は目の前が暗転した。
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