第019話 戦闘開始
サクラ達の前にワープホールが現れ、中からアレク達3人が出て来た。
「アレク様!」
サクラが何かあったのかと驚いた様子で問いかけて来た。
「みんないるな。よく聞いてくれ。
賊が3人、ここに近づいている。
今は500mほど離れた場所にいる。
直接ここを目指していないが、万が一があり得る。
これから戦ってくる」
「!!」
アレクはアイテムボックスから特別なアイテムを取り出すと
巫女鈴をイヴに、先ほど試した魔導書をリーシャに渡した。
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★ 巫女鈴 【聖鈴・神楽】
└外練+100 / 魔法+40 / ☆魔法(音)+80 / ★魔法(癒)+100
★ 魔導書 【八咫の記】
└効果:外練+100 / 魔導+80 / ☆詠唱速度:大↑↑↑ / ★神使
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「イヴ。使い方はわかるな?回復を頼む」
「はい」
※シャン※
※パァァァアア※
全員に浄化と回復の魔法がかかる。
MPがグングン回復していくのが分かる。
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名前:アレク Lv.156
HP:1992↑ / 2360 MP:1652↑ / 2360
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「リーシャ、
これは大量の生物を操ることができる本だ。
名を【八咫の記】という。
これを持って、あっちの方に意識を向けながら
"神使"と念じてみろ」
リーシャはアレクが指さした方向に向かって
"神使"と念じる。
「うぅ!!!」
すぐにリーシャが苦しそうな声を上げた。
「慌てるな。リーシャ。
今リーシャは大量の生物を支配下に置いたんだ。
解放もできる。1体を除いて解放してみろ」
「はい。…うぅ…
一羽の鳥を除いて…解放できたようです。
…ふぅ。だいぶ楽になりました。
空からの景色が見えます。
私は今、コマドリに乗り移っているようです」
「よし。三人の賊が見えるか?」
「えっと…ちょっと待ってください…
あ!見つけました!!」
「よし、よくやった。
これからそいつらと戦ってくるが、俺に万が一があれば
みんなと一緒に逃げろ。わかったな」
「イヴ。リーシャは魔法を行使し続けることになる。
定期的に巫女鈴を頼む。
リーシャ。苦しいと思えばすぐに"神使"を解け。
二人ともわかったか」
「「はい!」」
「イヴ。もういっちょ巫女鈴を頼む」
※シャン※
※パァァァアア※
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名前:アレク Lv.156
HP:2210↑ / 2360 MP:1822↑ / 2360
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「よし。では行ってくる」
3人から100m程離れた先をイメージし、
ワープホールを作成した。
「お気をつけて!」
「おう!」
イヴと言葉を交わすと、
ワープホールへ飛び込んだ。
「いてっ!」
まったく、イメージできない場所は
地面から離れた場所に設置されやがる。
何とかならんか・・・
そんなことをぼやきながら
先程試そうとしていた弓を構える。
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★ 魔法弓 【夢弦むげん・オロチ】
└突撃+80 / 貫通+50 / ☆属性魔法+50 / ★追尾+100
・弓矢 ×20
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続いて使用条件と自分の能力を確認する。
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使用条件:
└制御力:Lv.90 / 遠隔:Lv.70 / 魔法(無):Lv.80
アレク:
└制御力:Lv.50 / 遠隔:Lv.60 / 魔法(無):Lv.70
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アイテムの使用条件と自分の能力レベルとで大きな開きがある。
装備欄では※下降補正:大↓↓↓がついている。
「まぁこんなもんか」
少しガクッとすると、賊の方に意識を向ける。
ここから直接賊は視認できない。
探知魔法で賊の居場所を捉える。
林の向こう側にいるようだ。
(属性魔法か。何を込めようか…
距離があるので風が必要だろう。後は対人間だし、雷がいいだろう。
…よし。風と雷で行こう。)
アレクは"ジグス・マギア"と"ウェン・マギア"を念じると
賊の方角斜め上に向かって3本矢を放った。
※シュパン…シュパン…シュパン※
初めて矢を射たが、うまく飛んで行ってくれたみたいだ。
すぐに弓をアイテムボックスに仕舞い
今度は賊のすぐそばをイメージし
再度ワープホールを念じると、その中に飛び込んだ。
「うおっと!」
今度は何とかこけずに着地した。
リーシャが見てるからな。
ダサいところは見せられんのだ。フフン。
3人の賊は突如現れたアレクを見てかなり驚いていた。
「うお!?」
「な、なんだお前!!?」
「今、空中から現れなかったか?」
アレクは何も持ってませんよと手を挙げながら
賊達に近づいていく。
「あ~君たち、後ろ、危ないぞ?」
「おい!止ま!!ガッ!!」
抑止しかけた賊が突然倒れた。
背後上空から飛んできた矢が背中に突き刺さったのだ。
「グッ!!」
※トスン※
もう1本の矢は1人のふくらはぎに、そして最後の矢は外れた。
突然背後を攻撃された賊達は慌てて振り向いたが、
そこには何もない。
アレクはアイテムボックスから刀を取り出すと
背中を向けた賊達に襲い掛かった。
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★ 妖刀 【冥狂血吸】
└斬撃+100 / ☆切断+80 / ★MP吸収+50 / ★HP吸収+50
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「おらぁあ!!」
※スパッ※
※スパン※
※ドサッ※
残り二人を切り捨てた。
やはり決闘というものは背後から襲い掛かるに限るな。
"解析"して3人の死亡を確認し後、装備品を漁る。
銀貨を1枚と、青銅貨と銅貨いくらかアイテムボックスに回収した。
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[武器]
・弓矢 ×60
[ルビー]
・大銀貨 ×1
・銀貨 ×6
・青銅貨 ×41
・銅貨 ×69
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「ちっ。しけてんな」
―――そのころ、リーシャ達
鳥を介して空から戦闘を見ていたリーシャが状況を伝える。
「ご主人様が3人を倒しました!ご主人様は無傷です!」
3人撃破の一報を聞いたサクラ達から歓声が上がる
「アレク兄ちゃんすげー!!」
ちびっこの少年レイは人一倍興奮している様子だ。
「あ!帰ってきます!」
リーシャがそういった直後、ワープホールが出現し、
中からアレクが現れた。
「おう。倒してきたぞ。変わりないな?」
「お帰りなさいませ。変わりありません」
サクラが3つ指をついてアレクを出迎えた。
こっぱずかしい…
何も言わずとも、イヴは【聖鈴・神楽】を振りかざして
回復してくれた。
※シャン※
※パァァァアア※
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名前:アレク Lv.156
HP:2360 / 2360 MP:2285↑ / 2360
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HPは満タンだ。
MPの回復が緩やかになっている気がする。
イヴは使用条件を大きく満たしておらず、
下降補正:特大↓↓↓↓がついている。
連続で使用したせいもあってか、威力が弱まっているようだ。
空を見上げる。まもなく正午に差し掛かろうという所か。
次は北方、30人の方だ。長い戦いになる可能性がある。
最悪、死ぬ可能性も。
■【地図】カナン周辺_奴隷商3人撃破
魔法で水を生成して、一補給する。
「お前らも飲め」
噴水のように6口分の水を打ち上げると、各々口に含んだ。
イヴたちに伝えた。
「次は北方、里に向かった30人をやる。
誰かどっちの里か分かるか?」
アレクが指をさして方向を確認すると、サクラが答える。
「ダークエルフの里です」
「そうか。今朝渡した食材はまだあるな。
今度は長い戦いになるかもしれん。
俺に何かあってもしばらく凌げる様、
今のうちに腹いっぱいにしておけ」
アレクはそう言って収穫したブドウと魚を取り出して
食材を追加した。
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・☆☆☆希少な 「蝋色椎茸しいたけ」 ×10
・☆☆☆希少な 「霜降り鮎」 ×20
・☆☆☆希少な 「ルビー・ブドウ」 ×20
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「イヴ、リーシャ。さっき覚えた火の魔法で
調理を手伝ってくれ」
「「はい!」」
「え、2人共魔法を・・・?」
サクラが驚く。
そして別れ際にイヴとリーシャに伝える。
「リーシャ、今度は1kmほど北方に向かう。
長い戦いになるかもしれん。
"神使"を使いすぎるな。
定期的に使用して、情報を拾うようにしろ」
「は、はい。わかりました」
「イヴ、"神楽"の力が弱まっている。
まだ慣れていないんだ。連続で使用しすぎるな」
「わかりました」
伝えるべきことを伝えたのち、
意識を北方に向ける。飛ぶべき場所を探す。
(敵は先頭5、真ん中20、後衛5の構成か。
ん?先頭付近の近くに一つ反応があるな。
里の関係者か?まずいな…賊と近い…)
アレクは感知した一つの反応の近くに
ワープホールを設置すると、
入る前にイヴとリーシャの方をちらっと見る。
(2人共今にも泣きだしそうな顔をしているな。
"俺に何かあっても"は余計な一言だったか。
これを潜れば30人と戦いになる。死ぬかもしれん…)
急に弱気になってきた。
(いかん!弱気になるな!俺様は英雄アレク。
何のためにここにいる?自分の力を信じろ!)
自分を鼓舞し、2人に別れの言葉を伝える。
「では行ってくる」
「ご武運をっ!!」
アレクは気合いを入れなおすと、ワープホールの中に飛び込んだ。
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