生活感
市役所での手続きから数日後。
コロシテ君とブリュンヒルデには、それぞれ一時的な宿が用意された。
とはいえ、公営住宅の空き部屋を転移者向けに整えたもので、家具も最低限。
テレビや洗濯機はなく、風呂もユニットバスだった。
カズキはふと気になって、コロシテ君の部屋を訪ねてみた。
「……コンニチハ」
ドアを開けたコロシテ君は、洗濯ネットを肩にかけていた。
「洗濯すんの?」
「洗ウ。衣、整ウ。安心」
「近くにコインランドリーあるけど、やり方わかる?」
「……見タ。人、入レル。銀ノ円、回ル。乾ク」
「……わかってんだか、わかってないんだか」
カズキは苦笑しながら、一緒にコインランドリーへ向かった。
ドラム式洗濯機の前に立つコロシテ君は、神妙な顔で手順を真似していた。
カズキが説明しようとすると、先に行動に移される。
「洗剤、入レル。服、入レル。回ス。音、鳴ル。ヨシ」
完璧な手順だった。
「……なんか、妙に慣れてるな」
「前、似タ 箱、使ッテタ。衣、毎日、整ウ」
「やっぱりそういう施設出身なんか~」
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