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転移者という存在

翌週、カズキは仕事の昼休みにニュースを見ていた。


「近年、異世界からの『転移者』とみられる人物が国内で確認されるケースが増加しています。内閣府・異常現象対策本部によると、正式に『転移者』として認定された人数は過去2年でおよそ340名。彼らの社会復帰支援と受け入れ体制の整備が、急務となっています」


スマホの画面越しに映る女性アナウンサーは、真面目な表情で続けた。


「なお、転移者のうち、約3割が定職に就いておらず、7割は自営業やフリーランスとしての働き方を選んでいるとのことです。専門家によれば、『集団行動や企業文化になじまず、独立傾向が強い』という意見も」


カズキは画面を見つめながら、無言で唐揚げを咀嚼した。


(そりゃあ、コロシテ君がスーツ着て会社行くとか、無理あるもんな……)


追いレモンをし、麦茶をあおる。


「なお、異世界からの転移者および、転移者に触発された日本人の起業が近年急増。昨年度は前年比204%と倍増し、過去10年で最大の伸び率を記録しました。背景には、常識にとらわれない自由な価値観や、既存制度への違和感があるとの分析もあります」


「……へえ」


カズキは唐揚げを飲み込み、口の中の油をペットボトルの麦茶で流した。

思えば、自分が関わった「異物たち」は、確かにそういう匂いがあった。



帰宅後、カズキは市役所から届いていた封筒を開けた。


『転移者仮保護制度についてのお知らせ』


封筒には、コロシテ君およびブリュンヒルデの現状に関する簡単な報告書と、面談希望日程の連絡が入っていた。


──現代社会に適応するための準備が、着々と進みつつあった。


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