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回生の檻〜どうしても死ねないデスゲーム〜  作者: 太田コウスケ
第一章『罪の意識』
2/3

第一章2「リーダーシップの使い方」

——ピロン


「ゲーム"ケイドロ"。」


無感情な機械音がショッピングモール中に響き渡る。

聞き馴染みのある、ゲーム名。

(ケイドロか…懐かしすぎだろ!)

今まで人生というゲームから逃げてきた永遠。

逃げ足だけは自信がある。


モニターの声が続く。

「ルール。

プレイヤーは赤チームと青チームに分かれます。

ラウンド毎に客側と店員側は交代します。

1ラウンド15分、合計4ラウンド行います。

客側は、ショッピングモール中の商品を盗むことができます。

盗んだ商品を客側陣地まで運ぶことでポイントを獲得できます。

商品の値段が個人のポイントとなります。」


永遠は、顔を顰めた。

(ポイント?僕の知っている"ケイドロ"じゃない…)

永遠の想像していたゲーム内容ではなく、少し自信をなくした。

逃げ足だけではクリアできないことを悟る。


まるでジェットコースターのような感情の浮き沈みの永遠とは、裏腹にマイペースにモニターの声が続く。


「店員側は、アイテムやカメラを駆使して、客側が陣地に運ぶ前に捕まえてください。

捕まえられたプレイヤーは電撃により、一定時間気絶します。

なお、捕まえたプレイヤーが商品を盗んでいない場合、電撃は起きず、ペナルティーとして店員側の個人ポイントがマイナス100ポイントになります。」


周辺のプレイヤー達のざわめきがショッピングモールにこだまする。

(むやみに捕まえれないじゃん…)

永遠は"電撃"、"気絶"と徐々にゲームの理不尽さに呑まれていく。

なぜここにいるのか、なぜゲームをさせられているのか全く分からない。

しかし、なぜかそれが当たり前のように身体はお利口に従う。


「クリア条件。

ゲーム終了時、個人ポイントが条件を満たす者。条件に満たないプレイヤーは“消去”となります。」


(「消去」?……死、ではない?それなら、どうなる?体が消えるのか?記憶が消えるのか?どっちにしても、ろくなことにならない気がする——。)

自分が“消去”される想像に頭が支配された。


突然、真後ろの金髪の強面のプレイヤーが舌打ちをしながら唸った。


「とりあえず盗りまくればいいんだよな!」

永遠は急に喋り出した強面にビビった。

(怖ぁ…なんで、金髪強面キャラはみんな脳筋なんだよ…。)

臆病者特有の頭の中で強面をあざけだす。


「——な、なんだ!?」

突然、数人のプレイヤーの服装がスーツに変化した。

(一瞬でスーツに着替わるなんてあり得ないでしょ…。まるでゲームのキャラ変更じゃん…。)

現実では起こり得ない速度の着替えを目の当たりにした永遠はゲーム世界に迷い込んだかと錯覚した。

咄嗟に自身のほっぺをつねったが現実の痛みであった。

(どういう原理だよ!スーツの人達は店員側ってこと?…てことは僕は客側かよ)


マイペースに無慈悲なモニターの声が続く。

「店員側のプレイヤーは持ち場へ移動してください。」


「お、おい!行くぞ!」

スーツのプレイヤー達はとりあえず持ち場らしき場所まで掛けて行った。


「お、おい!オレたちはどうすんだよ!」

「と、とりあえず高額の商品を盗めばいいんだよな。」

「とりあえずやるしかねぇだろ!」

怯える者、ゲームに憤る者、残ったプレイヤー達は一斉に騒ぎだす。

「——みなさん!これは団体戦です!協力しましょう!」

インテリメガネでいかにも生徒会長らしき人が主導権を握るようにまとめだした。

「これは、ただのゲームです!“電撃”なんて、せいぜいビリッとくる程度でしょう!気絶なんて、大げさですよ!!」

「そ、そうだよな…アハハハ、なんだよ、ドッキリかよ…」

恐怖と、混乱の中に力強く発言したインテリメガネは、たちまちチームのリーダーになった。

(やっぱり、テレビのドッキリなのか…いや、YouTubeの可能性もあるか…それにしてもこのセットいくらかけてんだよ。)


インテリメガネは意気揚々に続ける。

「このゲームに勝つためにはポイントが必要です!高額商品を狙いましょう!1人だとリスクがある。でも、複数人なら盗める可能性がぐっと上がる。皆で協力すれば、成功率は100%に近づくんです!チーム分けを行います!5人づつ2チームに分かれましょう!それではあなたと、そこのあなた、それと…」

インテリメガネの指は永遠に向いている。

「君、足速そうだね。一緒に行きましょう」

(僕があのインテリさんのチームに選ばれた…)

遊びのチーム分けでは毎回最後まで残る永遠。

選ばれたことが純粋に嬉しく感じた。

「ありがとうございます!!

と、とりあえずどこから盗みま——。」


「——ゲームスタート。」

永遠の話をわざと遮ったかのようにゲームがスタートした。


「とりあえず、高額商品を狙いましょう!

みなさん行きますよ!」

「そ、そうだ!一気にポイント稼げばいいんだよな!」


インテリメガネは一目散にエスカレーター横のマップを確認した。

「このモールのブランドフロアは5階です!」


インテリメガネの指示に従い、永遠達はショッピングモール5階までかけて行った。


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