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白衣の男の正体は  作者: 烏川 ハル


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第1話

   

 せっかくの日曜日なのに、早朝から休日出勤だ。家を出たところでふと空を見上げれば、もくもくと入道雲が浮かんでいた。

 入道雲といえば夏の風物詩だが、午後によく見られるイメージだろう。確か、地表と上空との温度差で上昇気流が生じて、それが発生原因になる……みたいな理屈だったはず。

 それがこの時間から出ているのは、それだけ今日が暑い一日になるという(あかし)に違いない。


「はあ……」

 なんだか憂鬱な気分になり、自然に口から溜め息が漏れた。

 三日前に私は、三年間付き合った彼氏と別れたばかり。今日は気分転換の意味で、パーッと一人で遊びに行きたかったのだが……。

 プライベートを理由に、会社を休むわけにもいかない。むしろ逆に、今まで以上に仕事に没頭すれば、男のことなんて考える暇もなくなるかもしれない。

 無理矢理プラス思考に頭を切り替えて、駅までの道を歩いていく。


 私が住んでいる近所には、有名な国立大学がある。附属病院も併設しているような大きな大学なので、当然のように敷地も広い。

 ちょうど家と駅までの間に位置しているため、大学を迂回すると遠回り。だから私は毎朝、大学の構内を突っ切って通ることにしていた。厳密には不法侵入に当たるかもしれないが、この程度ならば大丈夫だろう、と軽く考えながら。


 そんなわけで、いつものように今日も、大学の敷地内に足を踏み入れた。私が通過するのは病院と医学部がある辺りであり、まずは病院の中庭を歩くことになる。

 クリーンなイメージの真っ白な建物を背景にして、石畳で舗装された通路の左右には、街路樹よりも少し低い木々の植え込み。小洒落た木製のベンチも置かれており、ここを歩くたびに私は「まるで公園か遊歩道みたいな空間だ」と感嘆してしまう。

 大袈裟にいえば、ちょっとした森林浴みたいな気分だ。家を出た時に感じた憂鬱さも、少しは軽減されたのだが……。

 私は突然その場に立ち止まり、(やわ)らいだはずの表情も再び暗くなる。

 妙な悪寒を感じて、体が震え始めたのだ。

   

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