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斎場の思い出
詞書:ミニマリスト
かの曲に
かの花添えて
見送りし
焼かるるものは
喪服の中の身
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公式企画「俳人・歌人になろう!2023」参加作品です。
▼小説家になろう 公式企画サイト
https://syosetu.com/event/haikutanka2023/
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夫の好きだったアルヴォ・ペルト作曲『Spiegel im Spiegel(鏡の中の鏡)』を流して。
私がアレンジしたオレンジ色主体の盛花を棺の上に。
焼かれたのは遺体ではなくこちら。
結句の字余りは「今も引きずっている」ことを暗に伝えたいから。
「喪服のわが身」とすれば破調せずに済む。
こちらのほうがいいと仰る方もおられるでしょう。
でも私の実感は「着なれない喪服の中に頼りなく留まっている身体」、そしてそれが今も続いている。
字足らず、字余りにも意味が乗せられる例でした。




