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21話

約束したデートの当日、私は駅の改札口で雪が来るのを待っていた。


私デートってしたことないから緊張するなぁ…。


そう考えていると、リボンが付いた帽子(キャペリン)を押さえながら雪が改札口の方へ走ってくる。


「お、王子様…お待たせしてすみません…!」


「ううん、私も来たところだから気にしないで」


雪と合流し、ふと思ったことを口にしてみた。


「雪の服装って、似合っててかわいいよねぇ」


「え、そ、そんな……かわいくなんて…ないです…」


うーん、そうかなぁと思いもう一度見る。


白いワンピースに黒いリボンが付いている服。


それに帽子も相まって本の中の少女の様だった。


「やっぱりかわいいよー!雪がかわいいからっていうのもあるけど」


「お、王子様…!それ以上はだめです…!やめてください…!」


褒めたのになぜか怒られた…。


「王子様にこれ以上褒められたら嬉しすぎて、おかしくなっちゃいます…」


私がしょんぼりしてると照れながら雪がそう言った。


一応喜んでくれてたのかなと思い、さっそく遊園地へと電車で向かうことにする。


そして、遊園地に着くと受付でチケットの意味を知ることになった。


係の人が一枚の地図を渡してきて、説明をする。


内容はこうだった。


ルール? 園内では絶対にカップル繋ぎで手を繋ぐこと。


ルール? 地図に記されたルートを通ること。


ルール? 全五ヶ所のアトラクションで遊び、スタンプを集めること。


ルール? 最後に記念撮影をすること。


見事クリアすれば豪華商品が貰える。


尚、ルールが破られた場合は即退園となる。


以上をご了承いただけた方のみ無料チケットをご利用ください。



説明を聞き終えると雪と相談することにした。


「なんだかすごいことになったね…。どうしようか…」


「ですね…。でも、私は王子様が良ければ入りたいです…」


私も同じ考えだったので係の人に了承を伝えた。


さっそく手を繋ぐよう言われ、雪と指を絡ませ手を繋ぐ。


他の人に見られながら繋ぐのって照れるなぁ、と思っていると雪も恥ずかしそうに照れていたけど少し嬉しそうでもあった。


雪と手を繋ぐと、係の人に繋いだ手の上からリボンを巻かれ、離そうとすると千切れるみたいで、不正が出来ないようになった。


これで、園内に入ることが出来るようになったので、中へと歩きながら雪と話す。


「なんだか緊張するねぇ…」


「で、ですね…緊張しちゃいます…」


遊びに来たのに楽しみよりも、緊張の方が強かった。


だけど中に入ると数々のアトラクションが見え、私達はワクワクしていた。


「せっかく遊園地に来たんだし楽しもー!」


「はい…!楽しみましょう!」


さっそく地図を確認し、最初のアトラクションへとルート通りに向かった。


初めのアトラクションはジェットコースター。


「いきなりジェットコースターなんだね…」


「そ、そうですね…」


そう言う雪の手が少し震えていたので聞いてみる。


「大丈夫?怖かったら言ってね」


「が、頑張ります…!それにせっかくの王子様とのデートをまだ終わらせたくないです…」


雪のその気持ちが私はなんだか嬉しかった。


しばらくすると雪の覚悟が決まったようなので、ジェットコースターへと乗り込む。


高いところまで登ると雪が震えていたので、少しでも元気付けられればと思い、私がついてるからねと言った。


すると、少し安心したみたいで私にお礼を言い微笑んだ。


だけど、いざ落ちると私と雪はきゃああああと叫んでいた。


何回かの回転をし、猛スピードで進むジェットコースターがやっと終わる。


ジェットコースターから降りると、雪が涙目になり震えていたので、落ち着くまでしばらく片手で抱きしめた。


すると、落ち着いてきた雪が言う。


「怖かったけど…王子様のおかげで落ち着きました…ありがとうございます…!」


「それならよかった。それによく頑張ったね!」


本当に頑張っていた雪の頭を撫でてあげると、えへへ…と嬉しそうにしていた。


これで、まずは一つ目のアトラクションが終わり、スタンプを押してもらった。



そして、次のアトラクションへと向かうことにする。


二つ目のアトラクションは落下式の絶叫系…。


ではなく、その隣のメリーゴーランドだった。


二人で落下式の方じゃなくてよかったね…と安心するとさっそく乗ることにした。


ここのメリーゴーランドは馬車になっていて二人で後ろの部分に座る。


横に座っている雪が嬉しそうだったので聞いてみることにした。


「雪、なんだか嬉しそうだね」


「はい…!まるでお姫様になったようで嬉しいです…!ほんとは王子様が馬に乗っているところも見たかったですけど…」


雪がそう言うとこちらを見たので、それはまた今度ね!と伝えた。


「はい!でも、王子様が隣にいるのも幸せです…!」


雪が私の肩に頭を寄せながら幸せそうにしている。


そんな雪を見てなんだか私も幸せな気分になっていた。


こうして、二つ目のアトラクションも無事クリアとなり、スタンプを押してもらう。


残すところあと三ヶ所となっていたのだけど…。


この内の一ヶ所がジェットコースター以上に辛いことになるのだった…。

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