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「姉のアウロラから、敵の事を皆さんに報告します。」
「クモ商会のアウロラだ。
弟のアレックスが戦うと決めた。私もそれに賛成だ。
だから、戦うために敵の事は知っておくべきだ。
まず敵は武装艦1隻のみ。
搭乗員は300名以上。
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近接戦闘では、あまり武器の違いはないようだ。
そして、ここに現れるまでには2か月くらいかかるそうだ。」
ゆっくりとだが、一気に敵の情報を話した。
「遠距離攻撃は、ここにいるガタン国の大使がなんとかするそうだ。
我々は近接戦闘を行う。
ただ我々は治安維持隊も併せても60人程だ。
一緒に戦う意思のあるものは、この後に広場に来てくれ。
作戦を伝える。
時間がある者、時間を作れるものは、これから2か月の間、訓練をしようと思う。
これは今決めなくてもいいが、希望者には明日から始める。
私からは以上だ。」
アウロラが短く話をすると、一歩下がってテオに目を向ける。
テオがうなづいて、少し前に出て話し始める。
「この街では何人か知っている人もいるが、初めに自己紹介をしよう。
ジャカン王国、外交大使のテオスト=ゴグールだ。
外交大使と言うことは黙っていた。無駄に騒がれたくないからだ。」
すっかり自分が外交大使だと忘れていたテオがすまし顔で話す。
「俺はこの街、ベコウが好きだ。」
そう言って、何人か知り合いの顔を見つけてみる。
「この街の人たちは、よそ者の俺に優しく接してくれた。
アレックスは俺の宿泊場所を提供してくれて、孤児院の人たちは子供達への手助けを手伝ってくれた。
そして、この街の人は、俺に同じ町に住む者同士という感じで接してもらっている。」
「だが、大変申し訳ないんだが。
俺はこの戦いに参加できない。
俺が参加することで、ジャカン王国がメリカ国との戦争に巻き込まれるかもしれないからだ。
この街は、この街の人たちの手で。この国の人たちの手で守って欲しい。」
何人かの人間が失望を顔に浮かべる
「ただ、遠距離攻撃に対しては、俺で対処しよう。」
そう言うと、少しうつむいていた数人が顔を上げてテオを見る。
「遠距離攻撃と言うのは、簡単に言うと大きな鉄球をこの街に落とせる兵器を使うことだ。
そんな理不尽なものをこの街に落とさせるのは許せない。
だから、それは俺が何とかしよう。
今みなに俺の声を届けている魔法みたいなものを使えばなんとかできる。
あとはアウロラたちと一緒に、上陸するやつらを撃退してほしい。」
「さていま、これを聞いてくれている人の中には。逃げようと考えてる者もいるかもしれない。
戦えるかどうか迷っている者もいるかもしてない。
戦う決意をまだ持てない者もいるだろう。
こんなことを突然はなしているからな。」
「もし、みんなが逃げる決断をするなら、俺もこの街から去ろう。
みんながいるから、この街が好きなんだら。
でもまあ、この潮の香りがする、この街並みは好きだ。
冬を終えた春の、街一杯の子供たちが好きだ。
あまり働かない旦那をほっておいて、子供世話しながら働く、女性たちも好きだ。
夕方から飲み始める、どうしょうもない男どもに交じってくだらない話をするもの好きだ。
だから、他国の人間である俺でも、この街を奪おうとする奴らは許せないと思っちまうんだ。」
「なあ、みんな。
生きてれば何とかなるって思って逃げてもさ。
逃げた先にも奴らが来たら、また逃げるのか?
奴らからしたら、こんな楽な相手はいないさ。
襲えば逃げるんだから。
でも、なんか悔しくないか?」
「この街を守るために戦おうと思った人。
この後でも、明日ででも、明後日でもいい。
クモ商会のアウロラの所に来て欲しい。
武器と訓練、それと上陸するやつらに対抗する作戦を共有しよう。」
「この街を守る戦いに参加してくれる人が、今以上にいるんなら。
最初に言った街への攻撃は俺が防ごう。
この国の上の人たちへの助成願いに、俺も行こう。
子供達や戦えない人たちを一カ所にまとめてくれるなら、俺がこの人たちを守ろう。」
テオとしては助成願いはもう予定していたが、子供たちを守るというのは勢いでこの場で決めた。
手を貸さないつもりだったが、情に動かされた。
鳥さんがため息をつく。
「他国の、ただこの街が好きなだけの俺からの話しはこれで終わりだ。
あとは行動してくれ。
アレックスやアウロラから、今日はもう言うことはないらしいから、これで終わる。」
そう言ってテオは全てのドローンを上昇させて、演説を終えた。
後日、アウロラのもとに防衛参加希望者が続々集まったという。
ただ武器が足りないので、テオはツバメに数百の槍を作らせて、クモ商会に持ってきたりした。
槍の初歩的な使い方は、多少の訓練でも覚えられる、数に頼るぶきでもあるからだった。
好きな句があります。
小林一茶だとおもったけど。
雪解けや
村いっぱいの
子どもかな




