2-22
言い訳したいけどやめておきます。
よかったら読んでください。
ベコウに着いたテオは少し気が重いが、アレックスの元を訪ねた。
「アレックス、今いいか?」
ノックをしても返事を待たずに入ってきたテオに、机で書類仕事をしていたアレックスが顔を上げる。
「ええ、もちろん。少しだけ座って待ってください。」
机前の応接用ソファーにテオは座り、アレックスの仕事ぶりを眺める。
『よくやるよなぁ。』
仕事量は減っているが、それでもアレックスは夕方遅くまで仕事をしている。
「どうかされたんですか?」
書類を終わらせ、アレックスが聞きながらソファーに座る。
「それなんだが。多分、アレックスの親父さんが早く帰国しようとした理由がわかったんだ。」
「え!? 何があったんですか?」
「今、メリカ国から武装船がここに向かっている。この国の軍船より大きく、武器もすごかったな。大砲を積んでたし。」
「タイホウ?タイホウとは何です?」
「えーと。簡単に言うと、おっきい鉄製のコップ考えてくれ。その内径と大きさと同じ鉄の玉を入れる。その玉がコップに向けた方向に飛ぶと言うものだ。」
少し考え込むアレックス。ハッと顔を上げる。
「危ないじゃないですか!人に当たったら死んじゃいますよ!」
「まあ、そうだろうな。多分、アレックスの想像より大きいものなんで、家もひとたまりもないな。」
「ええ!なんですか、その軍船は!」
話しを進める前に軍船の説明をアレックスに行い、やっと本題にはいる。
ここの執事になったドクはその間に、茶を入れて二人の前においてくる。
テオはすこしだけ笑顔になるのだった。
「そんな軍船がベコウに向かう情報をえたんだろうな。だからアレックスの親父さんは急いでここに向かってたんだと思う。」
「父さんが…。」
「その後のシードラに襲われたのは、メリカ国がやったことかは分からない。海の魔物を従える技術があるかどうかはしらないからな。」
「そうですか…。」
テオはそれから言葉を切って、アレックスの感情や考えが落ち着くのを待った。
「テオさんは、彼らが何をしに来ると思うんです?」
「まあ、普通に考えれば…。このベコウの占領、かな。」
「ですよね。交易は普通にやってますからね。」
「それからこの国を植民地にする気だろうな。」
「ショクミンチってなんです?」
「国同士の戦いで、勝った国が負けた国のほぼすべての国民を奴隷にすることだ。」
「なんですか、それ!」
アレックスが思わず立ち上がって叫ぶ。
「落ち着けって。最悪はそこまであるって話だ。武器のレベルが違いすぎるからな。」
「そんなに違いますか?」
座りながらアレックスが聞く。
「奴らは、さっき説明した大砲の小型版を兵士一人に一つは持たせてるだろうしな。」
「そんな人たちが何人くらいくるんですか?」
「そうだな…。船の維持に2,30人残したとして。鳥さん、あの船は何人くらい乗っていた?」
「364人でした。」
「やる気満々じゃないですか!」
またアレックスが立ち上がって叫ぶ。
「まあぁ、そうだよなぁ。」
テオはため息をつく。
アレックスもため息をつきながらまた、ソファーに座り、ジト目でテオを見る。
「話を聞いてて思ったんですが。テオさん、その船にいったんですね?」
「あ、まあ、そうだな。」
「見に行ったんですか?」
「いや、ベコウにこないようにお願いしにな…。」
「え?じゃあ、話にいったんですか?」
「まあ、それで結局、喧嘩して帰ってきた…。」
「なにやってんですか!印象最悪じゃないですか!」
三度アレックスが立ち上がって叫ぶ。
「落ち着け、アレックス!頼むから!」
少し間をおいて、アレックスがさらに深いため息をついてから、ソファーに座った。
「とりあえず、国に報告して兵を派遣してもらうほうがよさそうですね。」
「ああ、そうだな。」
そういったテオをアレックスが睨みつける。
「なに他人事みたいに言ってるんですか?テオさんが報告するんですよ。私か誰かが付き添うようにしますが。」
「え、おれ?」
「お願いですから、真面目に考えてください。他に適任者はいないじゃないですか。」
『怒りを抑えて新人を指導してる上司みたいな言い方だな。』
そう考えるテオをよそに、アレックスの話しが続く。
「いいですかテオさん。今、この国でこのことを知っているのはテオさんと私だけですよね。鳥さんも知ってるとして、鳥さんに話をさせるのですか?」
「ああ、まあ、それは無いわなぁ…。」
「それで、私が報告するったって…。そんな話を聞きましたと言うしかないじゃないですか。」
「まあ、そうだわなぁ…。」
「ツガイと言う国は共和国ですから王はいません。小さな国の国主が集まった合議制です。」
「まあ、そうだろうなぁ…。」
「お願いですから真面目に聞いてください。
そのなかの誰かに報告して、救援を求めるしかありません。
数カ月しかここで生活していないテオさんには申し訳ないのですが…。」
「普通にそれだけ聞くと、無理そうじゃないか?」
「でも、それでもやらないと。その船は確実にここに来るんですよね?」
テオとしても、ここで仲良くなった住人、それにアレックス達がいる。見捨てる気もないのだが。
とは言え、戦争という殺し合いに率先して出る気はない。
正直、テオにとってメリカ国の人間を殺したいほど憎んではいない。
それを言えばアレックスもそうであろうが、標的にされているのであればやるしかないと考える。
テオも色々悩んでいるが、ここは基本的に、部外者と当事者の違いでしかない。
テオが頭を抱えて話す。
「取り合えず、やってみるよ。
でも、いきなり議会の場に行くとか誰か国主?貴族?に言えってことだよな。
いきなり話しかけれるものではないんじゃないか?」
「それはそうですよ。とりあえずこの街の町長に話しをして紹介状や面会を取り付けましょう。」
「ああ、この街の北にある、あの大きな屋敷なんだろう、多分。」
「ええ、そうです。ベニート町長です。会われたことは…。ないんですね?」
「ああ。今名前を聞いたほどだ。」
「じゃあ、先ぶれを出して、それから向かいましょう。ドクさん!」
アレックスが大きな声で呼ぶと、執事ドクが入ってくる。
「お呼びでしょうか。」
「ああ。今からベニート町長の所に行って、緊急の話しがあると言って来てくれ。僕たちはドクが帰ってきてからむかう。」
「分かりました。不在である場合はどこに行っているのかも確認してきます。」
「頼むよ。」
そう言われたドクは頭を下げてから出て行った。
「ドクも執事然となったね。」
テオがそう言うと、アレックスは嬉しそうに答える。
「ええ。とても頼れる執事になってくれています。」




