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2-20

ウィンチでテオが下りてゆくと白い気体が切れて、急に視界が開ける。

目視で船を見ると、甲板上は20~30人程の人が集まっていた。

ほぼ全員武器、剣やら槍、そして2名ほどがピストルを持って待ち受けている。

「光着!」

宇宙からテオに光があたり、黒光りする鎧がテオの全身を包んだ。

「まあ、これで大丈夫だろう。」

そう独り言ちるテオの肩に鳥さんがとまる。

「テオ様。本当にフィーを連れて行かないのですか?テオ様の安全を考えると連れて行かないと言う選択肢はないのですが…。」

「男共の集まりがこれからも何か月も続くところに連れて行くなんて、争いの種の一つになるだけだろう。

ましてやフィーは美人だし、目の毒だ。」

「普通は目の保養では?」

「この場合は目の毒なのさ。船のこんな環境じゃあ、ちょっかいを出してくる輩もいるかもしれないしな。」

「ちょっかいを出すような人たちくらい、フィーは叩きのめすか投げ飛ばしますよ?」

「それじゃあ、話し合いもすすまないだろ。」

そんな会話をしていると、テオたちは甲板の上に到着するのだった。


周囲を見渡すテオに鳥さんがささやく。

「周りを囲む方たちは23名。拳銃を持つ方が2名。船内に入る出入り口に4名。甲板の下にも人が配置されています。熱源探知なので15名ほどとしかわかりません。」

「わかった。」

テオも見てみると、やはり剣や槍が多い。拳銃はあれかと目ぼしをつける。

「俺の名はテオだ。この船の責任者と話しをしたい。」

目の前の男に、メリカ国語で話してみた、

男はかなり驚いた顔をして、周りの男たちと相談する。もちろん誰も武器をおろさない。

相談がすんだのか、その男が後ろの半そでシャツの男に歩いて行き、話しを始める。

声は聞こえないが、シャツの男は頷いてから、テオに向かってきた。

「俺がこの船の船長だ。何の用だ、」

不機嫌そうに、ぶっきらぼうに話し始める。

テオからしたら、突然のアポなし訪問だからしょうがないと思っている。

武器を持つ周りの男共はいつでもテオに襲い掛かれる状況にまで緊張が広がっている。

「一応言っておくが。こちらから攻撃の意図はない。そんなに気負わないでくれ。」

もちろん、そう言われても周りは緊張を緩めない。いや、何人かは肩の力を抜いてたようだが。

テオは大げさに肩をすくめる。テオの顔も表情も兜で分からないのでジェスチャーを大きめにする。

「まあ、いい。船長、単刀直入に聞きたいんだが。この船はベコウに向かっている。違うか?」

「ふん、それに答える必要はない。が、もしそうだと言うなら何だというんだ?」

「俺はベコウに住んでいるんでな。そこに、この船に積まれている大砲を打ち込まれたら困るんだ。」

「ほう…。」

船長と呼ばれた男の目が鋭くなった。

「いま、大砲と言ったな?お前にはそれが何をするものかわかるのか?」

「なんとなくだが予想はつく。火薬を使って鉄の弾なんかをぶっぱなすものだろう?」

テオが臆面もなく答える。

「ふん、摩訶不思議な力でここに来たお前も困るんだな。」

方唇を吊り上げて船長が言う。

「ああ、困る。俺だけではお前たちを殺さずに戦闘不能にさせるのが難しい。多分、何十人か殺してしまうからな。」

キョトン、という言葉がぴったりな顔を船長はしたあと、大笑いをはじめる。

「ははは、お前ひとりで俺たち全員を殺れるのか?ふざけたことを言う!」

周りの緊張はもう限界にきているだろう。もう、船員の誰の目も殺気立っている。

「別にふざけていない。」

テオは普通のトーンで話しを続ける。

「なあ、頼むからメリカ国に帰ってくれないか?お前たちも死にたくは…。」

テオが離してる途中に、船長の右ストレートが飛ぶ。

テオはその右腕を利用して、船長を投げ飛ばす。意外なことに船長は受け身をとった。

「!?」

これに少し驚いたテオに船員4名が武器を捨てて、テオの両腕をとる。

よく訓練をしている動きであり、判断だ。殺せの命令がないので拘束してきたのだから。

船長も驚いていたのか、テオを見ていた。

「やるじゃないか…。」

少し恥ずかしそうにして立ち上がる船長。

「しかし、な。それじゃあ少し檻にでも入ってもらお…。」

船長の見ている前で、テオが右手から左手にブレイクダンスの波を起こすような動きで拘束していた4人を、文字どうり、弾き飛ばした。

これにも船長は目をしばたかせた。

「もう、なんだお前は。何がしたいんだ…。」

「だから、メリカ国に帰ってほしいと言っているだろ。」

うんざりとした口調で船長が言うと、テオもうんざりとしたジェスチャーで答える。

「我々の行先も目的も言う気はない。が、国に引き返すことはできない。王からの命令で行動しているのだからな。」

「どしてもか?」

「たとえ私が死んでも次の者が同じ指示を出す。その者も死んだとしても同じ指示を出す。軍とはそういうものだ。」

『敗退っていうわけでなければそうだろうな。』

実際、1や2人死んでも命令は遂行されるのだろう。

「先に言っておくが、お前らが攻めてくるなら、俺も相手をすることになる。覚悟するんだな。」

そう言って、モスから垂れ下がっているワイヤーに戻ろうとするテオに船長が声をかける。

「おい、無事に返すと思っているのか?」

テオが立ち止まり振り返ると、船長が勢いよく手をあげた。

すると、船内への出入り口から人がわらわらと出てきて、50人位がテオを何重にも取り囲んだ。

テオとしては何も怖くはない。光着スーツを突き抜けるものなどここにはないからだ。

なので落ち着いて考える。

『これ、死人がでちゃうな(俺以外)。』

レイガンより刀かなと柄に手を伸ばしたところで…。

「テオ様~~!!」

声のする上空を見ると、両手両足を広げてフィーが落ちてくる。

「あ~、あれならスカートの中みえないなぁ」

などと呟くテオの周りは、口を開けてフィーを見ている。着地するまで皆の首の動きが同じなのは傍から見て面白いが。

ドン!

大きな着地音。船が少し揺れる。

着地でしゃがんでいたフィーがゆっくりと立ち上がる。

「テオ様に手出しすると言うなら、私が受けて立ちましょう!」

周りの驚きの目を見ながら、テオは深いため息をつくのだった。



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