2-14
「アレックスはいるか?」
街に入り、真っ先にクモ商会に入ってテオが言う。
店員とは思えない強面の男が面倒くさそうに答える。
「坊っちゃんは奥で執務中だ。」
「え?アレックスって10歳くらいだよな?」
「それがなんだ?」
「いやいや、執務なんて大人のやるものだろう!」
「ここで執務ができるのが坊っちゃんしかいないんでな。」
「いやいや、アウロラもいるだろう。」
「姉さんは頭脳担当ではないんだからしょうがないだろう。」
テオが回りを見渡す。アウロラの姿は見えないが、他の店員も頭脳担当ではなさそうだ。
アレックスに頼む気が無くなってきたので、アウロラに頼むかと思案する。
ただ、それよりもアレックスが心配になってきたテオは店員に頼む。
「せっかく助けたのに過労死じゃ意味がない。少し会わせてくれないか?」
「まあいいか。来い。案内する。」
不愛想ではあるが、根は良いやつかもと思われた。
店奥の通路に入って一番奥の扉に着くと、男がノックをする。が、返事がない。
「坊っちゃん、客人ですぜ。」
「………。」
「坊っちゃん!」
ガタっと音がして数舜後。
「どうぞ。」
弱弱しい声が聞こえたので、男が扉を開ける。
「坊っちゃん。客人が見えられてますぜ。」
「ああ、じゃあ、通してください。」
「いや、もうここに連れてきてる。」
なんか入りにくいなと思いながらテオは部屋に入る。
「アレックス、調子はどうだい?」
「あ!テオさん!すいません、昨日は顔を出せなくて!」
「いい、いい。今顔を合わせてるし。」
日があたる奥窓の机から、部屋の真ん中にあるソファーセットにアレックスは移動してきて、座る。
テオも習って、アレックスの正面のソファーに座る。連れてきた男はアレックスの後ろに立った。
あらためてアレックスの顔をみると、目の下にクマができている。髪も少しボサボサしていた。
「あまり調子は良くなさそうだ。大丈夫か?」
「ええ、大丈夫です。この商会は私が何とかしなければいけないですから。まだ頑張れます。」
「いやいや、ダメだろう。大人を頼れよ。」
「いえ、頼れる人がいなくて…。」
「まあぁ、ねぇぇ…。」
アレックスの背後の男をテオが見つめる。バツが悪そうな顔をしているが、向き不向きはある。
「一体、ここの執務ってどんなことをしてるんだ?」
「えっと。在庫のチェック、値決め、帳簿記帳、売上チェック、品出しのタイミング確認、仕入れの価格交渉…。」
「待て!ここの事務仕事を全部上げる気か?それ全部やるんだな?」
「はいぃ…。」
「俺はお前を助けたのは過労死させるためではなんだぞ。」
「でも、だれもできないんです!しないんです!どうすればいいんですか!」
疲れすぎで情緒不安定なアレックスの顔をみて、テオは困り顔だ。
後ろの男は申し訳ないって顔をしている。
「はああぁ……。」
テオは深いため息を盛大についた。
「鳥さん、予定変更だ…。」
「大丈夫ですよ、テオ様。カレーはいつでもどこでも作れますし、販売できます。鍛錬は隙間時間でもできますし、集中できます。」
「ありがとう、言葉がしみるよ。」
「バウ!」
ケルの鳴き声すらしみるようで、ケルの頭をなでる。
テオはアレックスを見据えて話し始める。
「俺はテオスト=ゴグールだ。一昨日の自己紹介で名前をいったが、前職は言ってなかったな。
ジャカン王国では商会を経営していた。ゴグール商会という。アレックスの言ったことは全て経験している。」
テオはアレックスの反応を見て話しを続ける。
「お前がこのクモ商会のすべての情報を見せてくれるならば、お前の仕事を半分以下にしてやろう。
アウロラにも働いてもらうぞ。今どこにいるか知らんが。」
「……、そんなことできるんですか?」
「簡単ではないができるだろう。大体今言った仕事は分担して他者がやるものだろう。もちろん、今いる店員たちにも協力してもらう。
このままアレックスを殺したくなければな。」
ちらっとテオが男をみると、不機嫌ような怒っているような顔をしていた。
「やることは言うだけなら簡単だ。
1.事務方を増やす。
2.帳簿の標準化
3.提出物の統一
4.仕事の分担
それだけだ。」
アレックスがメモを書きだして考え込む。
「それを聞いてできそうなら、やるといい。本当は自分でやることが一番の成長になるからな。
でも多分……。」
少し考えてからテオは言う。
「これはいくら年下のアレックスに対しても失礼になるかもしれないが…。
アレックスの親父さんは、多分ゆっくりと育てたかったんだろう。親父さんからしたら、なるべく商売の場にアレックスを置いて。
交渉の場や貿易の場を見せて、教えて、サポート前提でやらせて。
アレックスの才能を開花させたかったんだろうな。」
父を亡くした子供に言うのは酷かもしれないとテオはおもっていた。
「でも今の状況がそれを許さないようだ。今のアレックスをみてそう思う。一度でいいから全店員の意識を統一することだ。」
言うだけ言って、テオがテーブルを見るが何ものっていない。
「あと、どんな客が来ようとお茶くらいは出してくれ。言いたいこといったら喉かわいたよ。」
「あ、すいません。ドクさん。」
「へい、いまお茶持ってきます。」
ああの強面はドクっていうらしいとテオは名前を覚えた。少し付き合っていくかもしれないからだ。
少し待つと、ドクがお茶を持って皆の前においた(ケルの前にはおかないが、なぜか鳥さんの前にはおいた)。
テオは礼を言ってカップに口をつける。
「おいしい…。茶葉もいいが淹れ方もいい。
えっ、まさかこれ淹れたのってドク?」
「いきなり呼び捨てかよ!そうだよ、おれがいれたんだよ!」
「素晴らしい腕だよ、ドク!ただの強面だと思ってたことあやまるよ!」
「きさまっ! ……坊っちゃん、こいつ殴っていいよな?」
「いや、一応褒めてるし、やめようよ、ね。」
そんな主従の話しを聞きながらテオはお茶を飲みほした。
「おいしかった。これはちゃんと誰かに教えてもらって学んだね。すごいよ、ドク!」
「呼び捨てやめろ!…まぁ、分かってるとこは認めてやるが…。」
鳥さんもカップの淵に足をのせ、くちばしを茶に突っ込んだ。
「おいしいです、ドク様。」
「いや、様はいらねえが。って鳥が味わかんのかい!」
場の雰囲気がなごんだと言うより壊れたが、とりあえずテオは思ったことを言えたのでよしと思えた。
「じゃあ、アレックス。また来るから、それまでにアウロラたちに相談して決めてくれ。」
「分かりました。姉上とも話してみます。」
そう言って立ち上がったテオの肩に鳥さんがとまる。
「テオ様、今晩はどこに泊まるんですか?」
「ああ!そうだった!」
突然の大声にアレックスは怯む。
「ごめん、アレックス。この辺でお手頃価格のいい宿を知らない?」
「え?テオさんはまだホテル住まいではないのですか?」
「いや、恥ずかしながら森にいた。」
「まだ森だったんですか?! いえ、じゃあ、ここにお泊り下さい。部屋も空いてますし料理もだしますよ。」
「え、いいの?じゃあお願いします。」
もともとこのために来たので、思惑通りと思ったテオに鳥さんが言う。
「これでいつでもご返事がきけますね。よかったですねテオ様、アレックス様。」
ムッと鳥さんを睨むテオを見て、アレックスもドクも笑うのだった。
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また各回を数字にしてると作者もどこに何を書いたか分からなくなることを発見!
数字と置き換えにタイトルはちょこちょこ置き換えていこうと思います。
これもGW!
いえ、多分終わらないから今年中に…。




