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2-11

早朝にはベコウの門は開かない。そうは言っても商人たちは早朝に出ることができるのだが、テオにはできない。

正確な時間、時計がないので門の前で多少時間をつぶす。今日からはケルも一緒だ。

しばらくして門が開いたので、テオ達が入ろうとすると、止められた。

「その大型犬はお前のか?」

「そうですが?」

そういった門兵がケルを半周りしながらジロジロとみる。

「何か飼い犬である証はないのか?このままでは野犬を街にいれるのと変わらん。」

確かに言われてみればそうかもしれないとカバンを漁る。すると、今度フィルに会ったときに渡そうと思って作っていた魔石のネックレスがあった。

少し考えるが、もっといいものをフィルに渡せばいいかと考え、ケルの首にかける。

「これでどうでしょうか?」

「おいおい。こんな高価なものを犬につけるのか?」

「ええ、ほかに何もなくて…。」

「まあ、こんな高価なものをつけてれば飼い犬と分かるよな。お前さん、どっかの貴族か何かか?」

「いえ、クモ商会さんに世話になっているだけです。」

テオが適当にクモ商会の名をだしてごまかす。

「あそこも景気がいいねぇ。」

なにかすまない気もするが、そうしてテオ達が街に入れた。


市場に行くと、半分以上がもう店じまいだった。朝市なので、朝のうちに終わらせるのがほとんどのようだ。

前日のお昼に回って食事をしたときは、もう少しお店がやっていたように思うから、食事屋が多いのかもしれない。

そう思ってみてみると、確かに八百屋や肉屋に調味料屋、食器屋などが営業中のようだ。

営業している店を片っ端から回ってみる。声をかけられるが、二言三言で終わらせて商品を見て回る。

めぼしい所を大体見終わると、もうすぐお昼のようで人込みが増え始めた。

とりあえず人込みを避けようと、テオたちは港側の海岸の岩に座って話し始めた。

「大体みれたな。」

「見ましたが、どうでしたか。」

「鳥さん、あの調味料屋のスパイスでカレー作れると思うか?」

「カレーですか?味が似ていれば再現はある程度可能かと思いますが、全て確認しますか?」

「もちろん、全て確認する。皆少しずつ買ってチェックしよう。鳥さんが。」

「ですよね。分かりました。その後にカレーの再現を確認します。」

テオは複数のスパイスがあればカレーができると思っているようだ。


「でだ。あの肉屋。売れ残っているというか、安いのに売れてない肉があったな。」

「ええ。羊肉のように臭みがあるようです。ああ、それでカレーなのですね。」

「そう。肉が入れば食べ応えがあるし、根菜なんかもカレーと相性がいい。保存もきくしな。」

「野菜は少し高めでしたか。村と比べると。」

「まあ、海沿いの街だからな。村は自給自足もできるほどだから参考にならん。」

肉を使ったカレーのアイデアが出ているが、ここは港町なのでシーフードも安くなるはずだ。

「つまり、日替わりのカレーだ。その日の安いものを使ってカレーを作る。米が主食ではないから、スープカレーかな。」

「器をどうするかですが、そこでずっと見ていた食器屋でしたか。」

「そう。大量に買うからどれくらい安く買えるかだな。」

「では、売り方としては…。」

「弁当方式、またはテキ屋方式となるな。そうすれば朝仕入れて、お昼に売れる。カレーの素次第だが。頼むよ、鳥さん。」

「分かりました。では購入をお願いします。」

どうせ1年程しかこの街にいないので、カレーのレシピが知れ渡ってもいいだろうと考えられるのが強みであった。

「それはいいとして、ここに住むのですか?」

鳥さんが聞いてくる。

「クモ商会さんに聞いてみるか。たまの用心棒を受ければ店の場所と住むところは何とかしてくれるだろう。」

「楽観的ですね。」

「まあ、この星うまれだからな、俺は。この地域の人の感覚が何となく分かるし、何とかなりそうな気がするんだ。」

「何とかしか言ってませんが…。」

そんな打合せ(?)をして市場に戻ることにした。


市場に戻ると、昼食時間が終っていて人がかなり減っている。

魚屋はもう店じまいだったので、肉屋の羊肉(仮)を購入してみる。ヤザラシの肉と言うらしい。変わった臭いだ。

その後、調味料屋をみる。あらためてみると、やはりスパイスも多くて値も内地ほど高くない。

全ての、と言っても20種位だが、少量づつ購入してそれぞれ布にくるんでもらった。

クモ商会に行く前に、鳥さんに味見をしてもらう。鳥の表情はわかりにくいが、楽しい感じはしない。

「臭みを消しながら味を調えるとなると、9種類が必要でしょうね。」

そういう鳥さんが言うものをえり分けておく。今日の晩御飯もカレーになりそうだ。

「あとは器か。ちょうどいいのがあったな。」

この星にも鉄があるから、それを使って木をくり抜いているだけのものだ。

器の内側を見ると、刃の跡が円周を回っている。器になる木を回して、鉄の刃を当ててくり抜いているのが分かる。

「う~ん。これ、器を作っている人たちにいい刃をあげれれば値はさがるかな。」

「まあ、作業効率は上がりますから。そういう考え方は商人ですね。」

鳥さんと話しをしながら構想をねっていく。

「まあ、やっぱり何とかなりそうだから、クモ商会にいくか。」

「やはり何とかなんですね…。」

そう言いながら、テオとケルを追いかけて飛ぶ鳥さんだった。

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