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2-10

「刃文もきれいにできているな。」

刀を鞘から抜いて、テオはシゲシゲと眺める。

「刃文はこだわって作りました。土置きという技法を再現してまで。私も日本のAIですから!」

気のせいか、自慢げにしている鳥さんを初めてみたテオは「おお!」と拍手をして大げさに褒めた。

「さあ、気を取り直して。

 光着!」


一瞬の光の後、テオは黒い鎧を身にまとった。

テオの兜内側は全方位モニターになっている。後ろに目があるわけではないのだが、そこも無駄に映像が流れている。

「では、型の手本からAR技術でモニターに出します。」

「おお!」

テオが驚いたのは、まるでそこにいるかのように再現(再生?)されている日本の達人の姿だ。

その人物が刀を垂直に振り下ろす。素振りの基本のようだ。

「では、見ながらやってみましょうか。」

そう鳥さんが言うと、鎧のモータが動きを先導する。テオは力まずに、力に逆らわずに素振りをする。

「これはいい!自分の体が乗っ取られて正しい動きを覚えられる。」

数十回素振りをしてから鳥さんの説明が始まる。

「次はサポートを切ります。ただ、間違った動きをした場合は訂正力が働くようにします。」

「へー。どれどれ。」

テオが少し斜めに刀を下ろそうとすると、肩のモータが邪魔をしてまっすぐに下させようとする。

「うん、これくらいならいいな。」

数十分程素振りをすると、テオの息が上がってきた。

「鳥さん、この兜は外せるか?なんか息苦しく感じる。」

「酸素量は問題ないようですが、気分の問題でしょうかね?では接続を切ります。…どうぞ脱いでください。」

「ぷふぁっ!」

テオは兜を外すとすぐに地面に横たわった。

「これは疲れる、な。」

「そうですね、サポートがなければ、軽いとは言え鎧をきて素振りですからね。」

「はぁ、はぁ。

これは夜にやるのはきついぞ。村にいるときだって午後にしてたんだから。」

「その話ですか。でもお昼のテキ屋なら午後は空くのでは?」

「本格的に考えなければだめだな。そうだ、明日の朝、市場を見に行ってみよう。食材とかみればなにか思いつくかもしれないし。」

「いい考えと思います。それからクモ商会に行けばよろしいですね?」

「そうだな。まあ、何とかなるだろう。」


そんなことを話し合って、晩御飯にする。モスが往復するときまっていたので、今日はカレーライスを積んでもらっていた。

「ああ、キャンプの晩御飯はカレーだな!」

心底、幸せそうにテオはいうのを聞いて、鳥さんも言う。

「まあ、こんな森中でもキャンプ気分でいれるのは素晴らしいですね。」

ジトっとテオが鳥さんを見ると、鳥さんはケルが呑み込もうとする川魚を、横からついばんでいるのだった。


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