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2-9

夜になり、刀を待っている間に鳥さんが話し始めた。

「ところでテオ様。鍛錬中はツバメに戻りますか?」

「え?なんで?」

「ここで鍛錬しても、ツバメで鍛錬しても結果はおなじですから。付け加えれば、こんな森にいられてはテオ様の安全上に多少の問題を生じさせます。」

「まあ、そりゃそうか。」

たしかにツバメにいれば衣食住に安全が加わって、さらに膨大なゲーム、映画、ドラマ、アニメ、本のデータまであって快適だろう。

「うん、快適すぎ。この星に戻れなくなるな…。」

「私としては、一生ツバメ内で過ごしていただくととても安心なのですが。」

「いや、ダメでしょう!引きこもりになれってどんだけ過保護なんだよ!」

「では、どうします?今回の恩を盾にクモ商会さんに養ってもらいますか?」

「イヤないいかたするね~。さてどうしようか…。」

そんなときに思いつくのが、やはりなろう系の知識だった。

「スローライフ系に飲食系があったな。あれって元手がほとんどなくてもできることあったぞ。」

「いえ、テオ様はここではちょっとした小金持ちですが。」

「ああ!だからなんとかなるさ。さてどうするか。」

つらつらと考えをまとめていく。その間、鳥さんは特になにも言わない。


「料理は地球の方が数倍進んでいる。だからレストランを作れば収入も住むところもなんとかなるな。」

「そうかもしれませんが、この街に定住するつもりですか?」

「それなんだよな。やはり飲食が、と言うのは外せないんだけど。鍛錬もしたいしな、今後の旅のためにも。」

「そうですね、レストランだって下ごしらえから片付けと一日働くことになりますしね。」

「じゃあ、昼食だけのレストランはどうだ?多少の金策ができればいいんだし。」

「そのあたりでしょうか?まあ、土地があればそれもできそうですね。」

「いや…。まてよ…。」

もっと身軽な方法があるかと考え始めてるテオ。また鳥さんは黙ってみている。


「そうだ!テキ屋だ!町屋台だ!それなら売ったら終わりだ!」

「そうなると提供する料理も限られますが…。」

「それでいいんだ。この街に定住しないんだから。」

「やっぱり住む場所がないですね…。」

「あれ?そうだな。 ま、まあ、アレックスやアウロラに相談するよ、うん。」

「基本的に、テオ様のお好きになさってください。」

「うん?見捨てた?」

テオが鳥さんを睨むが、鳥さんは特になにも言わなかった。


「モスⅡがきました。」

鳥さんがテオに知らせた。

確かに無灯火でモスが向かってくるので、知らされなければ分からなかった。

今回は周りに人がいないからか、モスが着陸して扉を開けた。

中には刀を鞘から噛んでもっている、大型の犬がいた。

「遺伝子的にはこの星の犬で、大型化に施工しています。柴犬ににてますね。」

鳥さんが説明するが、テオからしたら衝撃が強い。

「おい!いつの間にこんなことになってるんだ!え?これただの犬ではないのか?」

「クローン犬に骨格や頭脳の改造を行いました。今後、テオ様の身を守る。最悪担いで移動するために製作しました。」

テオは犬をじっと見つめる。

「鳥さん。今後こんなことは2度とするな。これは命に対する冒とくだ。」

静かに、怒りを込めてテオが鳥さんに言う。

「……。」

鳥さんは何も言わない。ツバメのAIは、サイボーグ犬を作るために犬の体細胞からクローンを作った。

それが命の冒とくと言われると、そう判断するようにしていくという結論にするしかない。

AIは、色んな人間の考えを取り入れているので、色々なことを考え出したり意見をいえる。

思いつくことをするかどうかの決断も、色々な人の価値観を持っているから、どれを使うかの選択をAI自体がする。

今回は、主人であるテオがこういうことをしない、とわかった。そしてそんな考え方をする人間の思考を読み取って合わせていくことを、文字通り選択することに、今、決定した。

「申し訳ございません。以後、このようなことは行わないことをお約束します。」

「ああ、頼む。」

そんなやり取りを見ていた犬は、尻尾を垂らしている。空気を読めるようだ。

「ああ、すまない。お前は悪くないよ。」

テオが頭を触ったり、背中をなでると、犬の尻尾はブンブン回り出した。テオからしてもわかりやすい。

「ところで鳥さん。こいつは名前があるのか?」

「元の犬はサーベラと呼ばれてました。」

「その元の犬は?」

「見目麗しい飼い主を、野生の犬の群れから守るために戦って死にました。その他の兵士たちも死にましたが、主人が生き残りました。」

「そうか。飼い主を守るところと不憫さからこの犬を…。」

「はい、浅はかでした。」

「いや、もういい。今後気をつけてくれれば。あれ、もしかして元の飼い主が高貴な人ってこと?」

「はい。ツガイ共和国の首相の娘のようです。」

「この犬も血統がいいのかもしれないな。でもサーベラではこの犬にもよくないような。サーベラって地球だとどういう意味になる?」

「サーベラではヒットしませんが、サーベラスならば。ケルベロスの英語読みです。」

「ケルベロス!?地獄の番犬かぁ。じゃあ、ケルでいこう。まだかわいい。」

「かわいい基準はどうかと思いますが…。いえ、“犬さん”よりはマシ…でしょうか…。」

「あ、“犬さん”でもいいのか?」

「いえ、ケルがいいです!地球統計的にもケルが最高です。」

珍しく鳥さんが慌ててるように見える。

「なんだ、それ。よし!お前は今日からケルだ!よろしくな、ケル!」

ケルは嬉しそうに尻尾をブンブン回す。刀を加えてるので吠えることができない。

「悪い悪い。じゃあ、もらうな。」

ケルの口から刀をもらい受ける。

「バウ!」

待っていたかのようにケルが吠える。それがかわいいのか、テオがケルの体や腹をワシワシなでる。

「おーよしよし、よっしゃよっしゃ!」

じゃれあう1人と一匹はしばらく続いたのだった。

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