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2-8

明日、また来ることにして両替すましたテオは、港から少し離れた海岸に腰を下ろした。

「で、確認したことってなんだ?」

「はい。アウロラ様が“寒い国”と言われてたので、今年の冬の気温などの予測データを確認しました。今年は約10年単位でおこる大寒波がくるようです。」

「あ、そういうのもわかるんだったな、」

「ええ、508年この星の観測をしてますので精度はかなり高いと思われます。」

「どうするかな。もう秋になるし。」

「半月ほどの滞在では問題ないと思われます。」

「まあ、観光ならいいだろうけど。いやまあ、観光みたいなものだけど。」

「その点でご提案があるのですが。」

「聞くよ、もちろん。」


「1年弱、こちらに滞在したらどうでしょうか?この港町にきてからテオ様の常識外れの部分が大きくなっていると思われるので。」

「なんだ、常識はずれって?」

テオが少し面食らう。

「例えば、荷物が少なすぎます。また、武器らしいものも持たずにこの街に入りました。旅をしているということの説得力がなさすぎます。」

テオが自分の体や持ち物を見渡す。

「確かに…。」

テオが持っているのは、非常食の入っているバック位であり、武器はレイガンなので、腰にぶら下げている程度。

「その武器もこの星ではオーバーテクノロジーですので、何か分からないと思われ、もしかしたらアクセサリー位に思われるかもしれません。」

「そう言えばそうか。」

いちいち納得すると、自分が常識無しの人間に思えてくるようで、ため息が出ていた。

「それでご提案なのですが。いっその事ここに1年程住んで、その間に武器を持ち、鍛錬し、旅人としてもおかしくない荷物も集めればいいかと。」

「持ち物は1日で揃えられるとして、鍛錬とか必要か?」

「旅人が一人で異国を歩き回るのです。地球と違ってこちらは未開なので、自分の命位は守れるほどあればいいかと。」

「うーん…。」

テオはツバメを探す前には鍛錬をしていたが、旅前は商会の仕事や家庭教師を理由にさぼり気味であった。

それに弱い旅人では、(テオ的には)格好悪い。

「よし!いい機会だ!じゃあ、鍛錬して強くなろう!

と言っても…。」

勢いで鍛錬すると言うも尻つぼみになるテオに、鳥さんが提案する。

「では鍛錬の方法です。

光着する鎧には動きをサポートする小型モータが入っています。ツバメでそのモータを動かして動き方をサポートします。」

「へ?そんなことできるの?」

「じゃあ、やってみましょうか。」


そういって、鳥さんが肩から離れてテオをみつめる。

「分かった。あ、装着は?」

「鍛錬ですから光着のみとしてください。」

「そうだな。“光着”」

一瞬、テオが光に包まれる。光が収まると黒い鎧につつまれたテオが立っていた。

「では、動かしてみます。」

鳥さんが言うと、鎧の右肩と右ひじ、右手首をモータが動かそうとする。抵抗できる力加減ではある。

「あれ、こんなもの?」

「それくらいです。その力に逆らわずに動かしてください。」

右腕をあげるポーズになった。

「ああ、なるほど。この動きが楽に自然にできる。あれ、すごいな!」

「この機能を使って、型や実践形式で学べます。」

「でも型って…。あ、そうか!」

「はい、ツバメ内にあるアーカイブから達人と言われる動きや型を抜き出し、忠実に再現できます。」

「そうして、俺がその動きに慣れてくれば!」

「はい、達人と同じことができるようになります。」

「よし!いいぞ、これ!早速やってみよう!」

「それは良いですが、武器無しですと空手などになりますがよろしいでしょうか?」

それはそれで良さそうと思うテオだが、せっかくなのでと。

「刀だな。か・た・な! この星にそんな武器はないだろうけど、日本男子ならば一度は腰に刀をさげたいだろう!」

「分かりました。では今から刀をつくりましょう。夜にモスⅡに持ってこさせます。」

「え、光着では持ってこれないの?」

「光着用の素材はなかなか製造が難しいので。正確に言うと、その素材は圧縮につぐ圧縮、その後分子が分れることが出来るよう薬液をしみこませる。

金属内外部に薬液がしみこんでいる状態です。そこから…。」

「あ、わかった。じゃあ、モスに持ってきてもらって。」

そうそうに説明をやめてもらって、まだテオはテンションが高い。

「では、今夜にも模造刀を持ってこさせます。超微振動も使えるようにしておきます。」

「いいね!まあ、本物は無理か。」

「本物は無理ですね。あんなに伸ばして折っては職人技ですから。」

今夜を楽しみにして森でテントを張り始めるテオであった。

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