2-5
テントから子供がひょこっと顔を出した。
「目が覚めたようだな。」
テオが子供に声をかける。子供はきょとんとして周りを見回す。
「ここはどこです?あなたは誰ですか?私の父とか船員とか船は?!」
「ある程度は覚えているのか?と言っても時間がない。俺はテオ、こっちは鳥さんだ。」
名乗ることは先に決めていた。これから会うだろう人たちにも言うつもりだからだ。
「私はアレックス、です。」
言葉少なだが、そうする理由にテオは理解を示す。が、時間がないので色々端折って話を進めるつもりのテオ。
「色々聞きたいと思う。こちらも聞きたいことがあるのだが。とりあえず現状を説明したい。いいか?」
アレックスが頷く。寝起きであるが、聞くくらいならできそうだ。
「よし。今、ベコウの港から船を出そうとする者たちと止めるもので言い争いが発生している。だが、船を出せば確実に巨大生物に船はやられる。」
「すいません、巨大生物と言うのは、海にすむシードラかキョサメでしょうか?」
「うん?」
肩に乗った鳥さんが言う。
「テオ様が“遭遇”したあれはシードラかと思われます。確かに2,3匹はいます。」
鳥さんに言われて話を続けようとすると、アレックスは目を丸くしている。
「鳥がしゃべった!?」
「ああ、そう言うのはいいから。話を続けるぞ。」
「え?ええ?……、はい…。」
「でだ、アレックス。多分今船を出そうとしているのは、君の関係者だとおもう。君を連れて行けば彼らを止められるのか?どうだ?」
「いえ、私が行っても。多分私の姉上だと思うのですが…。父のことや船の事とか色々分からないですから…。」
「しょうがない、そこは俺が説明するか。じゃあ、いまから移動するぞ。」
「え?あの、父はどうしたんですか?船員たちは?船は?」
「それは姉上とやらと一緒に説明する。行くぞ。」
「あ、はい。」
魔法のライトを一個だし、ランタンをけしてテオたちは歩き出した。
読者諸氏。焚火はテントに向かう前にテオたちが消してあるのでご安心を。
モスⅢの隠し場所まで来てから、思い出したようにテオはいう。
「アレックス。これから乗るものは人に見られたくない。目隠しをさせてもらうが構わないか?イヤならここで待っててもらいたいが。
…。
いやダメだ。アレックスがいないと困る。」
「えっと…。」
「目隠しをする。本当なら手足も縛っておけばいいが、それでは誘拐だしな。
君を信用しよう。目隠しは取らない事。いいか?」
「わかりました…。」
目隠しされて乗り物に乗せられるだけでも誘拐だ、とアレックスは思うが。
目隠しをテオは少しきつめに縛る。
「痛いです…。」
「少しの辛抱だ。鳥さん、頼む。」
「了解しました。」
多少の草根を引きちぎる音をしながらモスⅢが地表に現れた。
後部ドアを開け、アレックスを後部座席に座らせ、シートベルトをつける。
「なに、なんなの…?」
「それは答えられないから気にするな。」
「気にするなって…。」
テオは前席に座りジェネレーターのスイッチを入れ、操作系システムを立ち上げる。
「じゃあ、行くぞ」
甲高い音を出してモスⅢは離陸した。
「テオ様、海沿いから行く方が見つかる可能性はかなり低いです。」
「わかった。」
モスは一旦海に出てから港に向かうのだった。




