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2時間ほども歩いていると、言われていた通関所が見えてきた。
門番に任命書と要請書を見せて中に入る。
個室に通されて待っていると、黒色の制服をきた男が入ってきた。
「遠くまでようこそいらっしゃいました。通関所取締役のヤスミ=ホッシダと申します。」
「外交特別大使のテオスト=ゴグールです。お手数をお掛けします。」
「いえいえ、仕事ですので…。」
そう言いながらヤスミはテーブルの上に書類を広げ、テオの任命書を確認する。
「出国の理由をお聞きしても?」
テオは問われて、多分お決まりだろう答えを返す。
「他国から学び、本国の発展に寄与できるものを持ち帰るためです。」
「分かりました。では、こちらにご署名を。」
どうやら出国者は管理されているようだ。政府関係者だけだろうが。
署名を書き終えると、ヤスミは鳥さんを見る。
「こちらのしゃべれる鳥は任命されてないですよね?」
冗談で言っているのか分からないことを言われる。
「“鳥さん”ですね。まあ任命されなくても勝手に他国に行くでしょうから。」
「そうですね、では物扱いとい言うことでいいですかね。問題なしとしましょう。」
「物扱いはひどいですね。」
鳥さんが答えると、ヤスミが吹き出した。
出国手続きを終え、建物入口の反対側、ツガイ側の出口からテオが出ると、思いのほか大きな橋に目が止まる。
幅広であるが、長さはそれほどない。
そして向こうがにまた建物がある。あちらがツガイの通関所なのだろう。
ヤスミが続いて出てくると、
「では行きましょうか。」
と先導し始めた。どうやら同行してくれるらしい。
特に話すことなく歩いていると、ふとテオは思い出した。
「そうだ、ヤスミさん。本国の通貨を両替するのにお得な場所ってわかります?」
"「普通に考えると銀行の為替を見比べてみるのが一番かと。ツガイの場合は商業が発展しているベコウでチェックするといいかと。
それよりいいのは民間、というか闇為替ですかね。闇といいながらも案外通り沿いにあったりしますので見つけやすいかと。」"
国境沿いがレートが有利かと思っていたテオは考えなおした。前世でも空港周りの為替レートより街中の銀行の方がレートがいい。
そしてツガイの通関所についた。
ヤスミがドアを大きくノックして待っていると、体つきのたくましく背の高い、中年男が青い制服姿で姿を表した。
テオを見ると少し驚いた顔を見せたが、すぐに取り直して、
「初めまして。ツガイ通関所所長のワーク=イイパと申します。」
「初めまして。ジャカン王国外交特別大使のテオスト=ゴグールと申します。」
そう言って握手を交わすと、ワークはヤスミを見る。
「ヤスミ殿、久しいな。」
2人は知り合いのようだ。橋を隔てているだけだから交流があって当然かもしれない。
ヤスミはワークにテオの保護の要請し、ついでと両替の事を聞いた。
「でしたらやはり、ベコウの銀行がいい。保障しなくていいなら知り合いの両替商を紹介しますが。」
「ではそこだけ教えてください。直接行ってきます。」
簡単な地図を書いてもらい、お礼を言った。
地図については国民性がある。テオの生まれたトド村では地図を書けない者もいる。見たこともないからどう書くか分からない者もいる。
これはジャカン王国の国民はもう少しマシであるが地図に関しては、つまり地理については疎い国民である。
対してこのワークの書いた簡単な地図は、道路のカーブ、目印をまとめてありわかりやすい。
そんなことでもテオには面白い。本国に帰ったら、各家庭に一枚の地図を配るだけで改善するだろうと思う。それだけで国民の教養があがるのだ。
ツガイの通関所に入る。ヤスミはよろしくとお願いして帰った。
一通りの質問等を受け、こちらも署名を入れる。帰りはここにもよらないと、テオはいないものとされてしまうかもしれないと面倒を抱えた気になった。
その後通関所を出る際、ワークが整備された道の先を指さし、距離的にも宿泊にもにいい村を教えてくれ、テオは礼を言って歩き始めた。
それから30分程歩くと、鳥さんに尋ねる。
「つけられてはいないよな?」
「ええ、つけられてはいませんね。」
そう確認してから、ジャカン側にあったモスⅢを鳥さんに呼び出してもらい、乗り込み。
「行先はどうされますか?」
「ベコウで頼む。両替だけしに行こう。」
買い物へ行こう程の気軽さで言うが、普通ではありえない。ただ、モスⅢに乗って東の海側に行くので数時間で行けるのではあるが。
モスⅢのエンジンがかかり、垂直離陸後に東に向かうのだった。




