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明日、テオが旅立つという日の午前中、ゴスタスはテオを書斎に呼び出した。

「もう明日だな。ここで士官っという手もあるんだが…。」

ゴスタスはこれで何回目かの士官の誘いを入れるが。

「お気持ちはとてもうれしいのですが。結構です。」

テオは案外はっきりと断る。

「はぁ…。分かった。やはりしょうがないか。

では、本国からこれをテオに渡そう。確認してくれ。」


そう言うと、ゴスタスは丸めた高級そうな紙と、たたまれた布の上に細工を施した金属を乗せたものをテーブルにおいた。

丸めた紙を開くと、そこには任命証と書いてあり、テオを外交特別大使にと書いてある。もう一枚あり、そちらは要請書とある。

この者が貴国に滞在する間、身分と安全を保証するようにしてほしいとの要望を書いてくれている。


「これは…?」

テオが首をかしげながら聞けばゴスタスが答える。

「本国で、テオを外交官として任命したことを示すものだ。当然、その者の保護を要請するのは当たり前のことだ。」

「いえ、士官とかそういうのはいらないのですが…。」

「まあ、そう言うと思ってたよ。でも考えてみろ。これがあればどこの国の王都にも大都市にも入れる。本国から派遣されている大使とも会えるし、話も聞けるぞ。

テオは他国に行ったことはないだろうが、他国で同じ国の人間とあるというのは有益だ。情報を仕入れることもできる。それに身の安全もある程度保障するぞ。」

「身の安全はまあ、大丈夫と思いますが。」

「安全は大丈夫? ああ、その鳥さんか?」

「トリ―!」

そう答えた鳥さんを、ゴスタスとテオが怪訝な顔でみる。

「なあテオ、私はたまにこの鳥が私を馬鹿にしてるんではないかと思えることがある。」

「奇遇ですね。私もそう思うことがあります。」

鳥さんかわいく首をかしげる。テオにはあざといとしか思えなかった。

「まあいい。で、もう一つは勲章だ。」

「勲章?!」


驚いてテオが勲章といわれた金属を取り上げると、金属と布はつながっている。広げてみると、布はひし形になっていて、その一つの頂点に勲章の金属が取り付けられている。そしてひし形の真ん中は首が入るように大きな穴が開いている。


「なるほど。この国の勲章とはこういう物なんですね!」

布は仕立てがよく、勲章自体も細かい細工が施された良いものとわかる。士官はいやだが、この勲章が欲しいと思ってしまう。

「まあ、もらっておくといい。邪魔にはならんし、いいものなのはわかるだろう。」

そんなに物欲がないテオでもちょっと心惹かれている。そんな、少し迷っているテオにゴスタスは言う。

「別にそれをもらっても義務や仕事はないから気にするな。ただもちろん、給金も出ないがな!」

そう言ってゴスタスは笑った。自身の方針と合わないところもあるが、テオは受け取ることにした。


「でも、この勲章ってどんな時につけるんですか?」

テオとしては前世も含め、始めてもらった勲章をどう使うかはよく分からない。

「パーティーや正式な式典に呼ばれたときだな。箔がつくぞ。なにより周りに舐められないことが大きい。」

パーティーに出ることなんかあるのか分からないテオだが、納得して大事にカバンに入れるのだった。

そうして、テオはジャカン国外交特別大使の任命を受入れ、勲章(綺麗な首輪)をもらったのだった。


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