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「まずは紙の真ん中に十字に線を引こう。大きくね。」

テオに言われて三者三様の線を引いた、十字架が完成した。

「で、それぞれの線の先端にメモリ代わりに言葉を書く。

方位磁石で言う、

北の部分は、“重要度の高いもの”。

南の部分は、“重要度の低いもの”

東の部分は、“緊急性が高いもの”

西の部分は、“緊急性の低いもの”

これができれば、あとは自分の仕事でもやらなければいけない事でも分けて考えてることができる。

そのやることが急ぎなら右側、さらに重要ならば上側となるから右上に入れる。理想は右上のスペースでも根本付近や天井付近とか分ける。

一番、真っ先にやらなければいけないのが、右上の天井近くの集団で、自分の物差しで決めた順位が決まる。」

ほう、とゴスタスが感嘆した声をあげた。

「これで言うと、領地経営のための情報集めは、重要度が高いが急ぎではない。左上の場所になる。フィルにゴスタス様が言ったのは、右側の仕事もあると言いたかったようだね。」

「例えばどんなもの?」

フィルが声をあげる。テオがゴスタスの顔を見ると、頷いてくれたので説明をしてもらう。

「これで言えば右上は、例えば領内のどこかで川が増水したので対応してほしい、盗賊がどこかの山で根城を作った、とか領民の命に関わるものだね。」

「緊急性があるのに重要でないものって思いつかないけど?」

フィルがゴスタスと話し合う。家族で話すのはやはりいいものだとテオは思う。

「右下だね。それは例えば…、贈り物をもらった相手にお礼状を書く、毎回同じ書類を日付を変えて届けさせる、とかだね。」

フィル、ガリウスも理解してくれているようだ。


「ここで終わると不完全だな…。」

ゴスタスが独り言ちる。テオが気づいてゴスタスの顔色をうかがう。まだ話したいことがあるようだ。

父が子供に教える場面は微笑ましく感じるテオは、ゴスタスに先生の立場を与えた。

「こんなことをガリウスとフィルに教えることになるとは予想外だった。テオ君、感謝するぞ。」

テオは軽く頭を下げる。ゴスタスは二人に顔を向けて話し始める。

「急ぎの仕事と言うのは全て完璧にできるものではない。もちろん完璧を目指すべきだが緊急性も重視されるからだ。

ならばどうするか。

完璧にできないならば、8割、7割で終わらせて決定、送ればいい。」

テオが、ああっ、とつぶやく。終わらないので無理やり形を整えて終わらせたこともあったからだ。

「例えば、先に行った領内での川の氾濫。まず兵を出すように指示を出す。

その後に気づいたことを進めていく。まあ、部下から要望でくることもあるが。

村へ先ぶれを出し、兵が来ることを伝える。救援物資を届けさせる指示。兵糧の放出。

これらを全部決めてから指示をだすのでは遅いのだ。だから取り合えずの指示でも進めることが大事と言うのもある。」

ゴスタスは決断が速い領主のようだ。あたらめてテオは感心した。

「私の後の領主はガリウスだ。色々な考え方を知り、経験を積んで、領民を導いてほしい。」

「はい、父上!」

ガリウスがいい顔をして答える。

『根はいい性格なのかな?』

とガリウスを見定められないテオだった。


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