37
「で、なんで、ゴスタス=オルタ領主様がいらっしゃるんですか?」
「いや~、昨夜の夕食後に2人に色々と聞かれたものでな。なんでもテオ君がそそのかしたようだから、文句がてら参加しようと思ってな。」
「クレームは後程受けますので、参加しなくてもよろしいのでしょうか?」
「いやいや、子供達の成長を見れてうれしかったのもあるから。授業参観と思ってくれて構わないぞ。」
「いやいや、それは夕食後のお話合いまで取っておいて、参観までしなくてよいのではないでしょうか?」
ほぼストレートに出て行ってほしいとテオが伝えても、ゴスタスは聞く気はないようだ。
「先生!」
フィルが見かねたのか、手をあげる。テオは頷いて発言を許す。
「お父様と昨夜話したのですが、先生の話しと違うところがあったんです。それでお父様も心配になって来てくれたんです。」
「そりゃ、みんながみんな、同じ方法で経営とか仕事はしないでしょう。」
テオがフィルに答えてから、ゴスタスが皆を見渡しながら話を始めた。
「テオ君の授業を聞いた2人が、完璧を目指しすぎるようになった気がしてね。完璧にできなけければ仕事ができないようになっては困るんだよね。」
「お言葉ですが、まだ彼女たちには初歩的なことから始めています。いきなり急ぎの仕事の話しとかはしていません。」
「ほう、仕事には種類があるというのかね?」
ゴスタスがニヤニヤしながら聞いてくる。
「仕事と経営が一緒になってますよ。それに仕事の種類とかはご自分でもわかってるでしょ?」
ふむ、とゴスタスは顎に手を当てて考えてから答える。
「感覚的にわかると言うか。急ぎ、それ以外かな。重要な仕事もあるし、組み合わせなのか?」
「疑問形ですね…。でも合ってると思いますが。しかしこれは上級者の話しだからまだ二人には早いと思います。」
「なに、頭でっかちで仕事が進まないよりいいではないか。それにもしかしたらそこまで教えずに出ていくことになるかもしれんだろう。」
テオはこめかみに指をあててため息をつく。
「……分かりました。ゴスタス領主様におかれましては知っていることでしょうが、今日はそこを話しましょうか…。」
「おう、そうしてくれ。あと、わざとらしく領主様とか呼ぶな。ゴスタスでいいぞ。」
「ええ、ぜひそうさせてください、ゴスタス様。」
気を取り直すために、盛大に息を吐きだすテオだった。
「じゃあ、気を取り直して、はじめましょうか。」
テオはゴスタスの顔をみてから、2人の子供たちを見渡す。
「仕事は、ゴスタス様の言う通り種類分けができる。いままでフィル、ガリウスに教えていたのはいかに勝率をあげるかの話しだった。
フィル達がそれをゴスタス様に話したと思う。でもそれは方針としてはいいが、実際はそれ以外もあるとゴスタス様が教えたかったんだろう。」
テオがゴスタスを見ると、ゴスタスが頷く。
「さらに面倒くさいことにゴスタス様は領地経営と仕事を一緒くたにした。なので、今日話すのは仕事の優先度、進め方を話すことにする。よろしいですね?」
「そうしてくれ。理想ばかりでは仕事は進まん。」
「それはあなたが教えてもよろしいと思いますが…。」
テオがゴスタスをかるく睨んでも、ゴスタスはニヤニヤするだけだった。
「続けます。仕事には4種類ある。一杯あっても4種類に分けるんだ。でないと優先順位が決まらない。
一つ、急ぎで重要なもの。次が急ぎで重要でないもの。次が急ぎでないが重要なもの。最後が急ぎでもなく重要なものでもないもの。」
「優先順位って必要?」
「1日の時間は皆平等にもっている。言い換えれば、使える時間は決まっている。だから優先順位を付けないとパンクするんだね。」
「そんなに忙しいことあるの?」
フィルの純粋な質問を心地よくきくテオ。うんうんと頷く。
「そこらへんはお父様に聞いてほしい。」
ゴスタスは少しイヤな顔をした。
「で、だ。優先順位は先ほどの順番だ。分けにくいと思うが慣れろ、と言いたいところだが。分け方を簡単に教えよう。」
こんな話、子供が興味持つか不安を感じるテオだった。
作者も不安です。
でも、読んでくれた人が少しでも、よりよい人生を送れるなら。
今回も次回も難しくなります。




