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テオはついに15歳になった。

旅立ちの日、の予定だったが。今日は村で家族と別れて領主様の家に向かう日だ。

モスで行こうと思っていたが、馬車が用意されているので利用することにした。貴族用の馬車は初めてだ。


「じゃあ、もう行くね。」

と、テオは家族に挨拶をする。

「体に気を付けてな。」

「領主様に失礼のないようにね。生水は飲まないでね。」

「兄ちゃん、俺は村で頑張るから!」

家族から色々声を掛けられる。

村長、娘のソシルさん、防人のガタンさん、カネッツやライル、孤児院から引っ越してもらったジュリ、スミス達も見送りに来ている。

皆の頑張りで村は発展し、気持ちよく村を出ることができる。テオも相当苦労したから。

「では、行ってきます!」

そうして馬車に乗り込んだ。

馬車はとことこ進む。村を顧みて少し寂しい気持ちになった。


昼は馬車でひたすら進む。夜は野営。護衛に騎士団がついているが、夜盗や魔物とはほとんど遭遇しない。

この惑星に着いたときに調べたかぎり、やはりこの地域は安全なところだったようだ。


5日程して、オルタ領主のお屋敷の門にたどり着いた。

お屋敷内は広い。結局、そのまま馬車に乗って屋敷建屋前まで運んでもらう。

屋敷前にはオルタ領主が立って待っていた。門番が先回りして知らせたんだろう。一村人を迎えるには過剰と思われる。

馬車がとまり、走ってオルタ領主の前までついて頭を下げる。

「私のようなもののために、お待たせさせてしまいました。申し訳ございません。」

「なに、ただ待ちきれなかっただけだ。よく来たな、テオ君!」

「お呼びいただき、ありがとうございます。」

まあまあ、と言いながらテオの背に手を当てて中へ一緒に入ってくれた。目上の人がこのような態度をすることで、された方は喜び、周りはその人の重要性を知る。計算してやっているか、性格なのかはテオには分からない。


応接室まで一緒に行き、中の3人掛けソファにテオが座り、領主様は1人用のソファーで対面になった。オルタが話始める。

「トド村の皆に挨拶してきたんだろう。テオ君がいない後は大丈夫そうかな?」

「ええ。挨拶した顔を見ていたら安心できました。僕がいなくても大丈夫そうです。だからか、少し寂しい気持ちにもなりました。」

「はっははははは!15歳でその気持ちが持てるのは大したものだ!」

そんな雑談を重ねてから急に話題をオルタが変えた。

「早速娘に会ってもらおうと思ってたんだが、困ったことに領地の森に遊びに行ってしまってな。」

「おお、それは良いですね!」

「なにがいいんだ。女の子なのに外で遊び惚けてるんだぞ。」

「いえ、外にいることは、屋敷の何十倍もいいですよ!いろんなことが学べて、考えることも増えるんですから。よかった、会うのが楽しみになりました。」

「テオ君、一緒に遊ばないようにしてくれよ。心配になってきた。」


与えられた部屋に案内され(テオの家位の広さ!)、荷物を整理していると、ドアがノックされた。

ドアを開けると、小さな女の子が立っていた。

「初めまして。フィル=オルタと申します。父に直接会いに行くのが筋だと言われ、ご挨拶に来ました。」

正直な説明の入った挨拶にテオは面食らったが、挨拶を返す。居住まいを正して頭を下げる。

「初めまして。テオスト=コ゚グールと申します。トド村からきました。よろしくお願いします。」

「はい、よろしくお願いします。また夕食のときにお会いしますので、これで失礼します。」

フィルと名乗る女の子はそれだけ言って、踵を返して歩いて行ってしまった。まさにお父さんに言われたからという感じで。

テオが荷物整理を終えて部屋でボーとしていると、執事さんのノックから夕食を告げられ、リビングまで案内された。

執事が椅子を引く場所に腰掛けた。長いテーブルの食器をみると、上座に空席、テオの対面に椅子が3つ。

ドアが開き、奥さんと子供二人が入ってきた。テオは席を立ち、彼女たちがテオの正面に来てから挨拶をした。

「奥様、初めまして。テオスト=コ゚グールと申します。トド村からきました。よろしくお願いします。」

「初めまして。フィオーネ=オルタよ。主人から聞いているわ。まあ、座って頂戴。」

「ありがとうございます。ガリウス様、フィル様。こんばんは。今日からよろしくお願いします。」

「おお。」「はい。」

それを聞いて、席に着いた。ちょっと待つとドアが開き、領主様が入ってきた。

「遅れた、遅れた。すまん、すまん。」

と言いながら、領主様が席に着く。

「今日はテオ君が来ているので、話を聞かせてもらいながらいただくとしよう。」

そう言うと、食事が運ばれてきた。温野菜、スープ、何かのステーキ、そして丸いパンを載せた皿が目の前に置かれていった。

マナーってあるのかな?とテオが思っているとワイングラスが置かれ、赤ワインをつがれる。

領主様が赤ワインを口に運び、温野菜に手を付けると家族が食事を始めた。こればマナーのようだ。

「いただきます。」

そう言って、俺も食べ始める。領主様が、ん?って顔で俺をみる。

「誰に挨拶をしてるんだ?」

「え?いえ、挨拶ではなく感謝の言葉ですが?」

「誰に感謝してるんだ?」

「誰って…。えー、食材になった野菜・動物、作物を作った人、獲物を狩ってきた人、運んでくれた人、作ってくれた人、達ですかね?」

全体に対して言ってるから、個別だといい足りないような気になってくる。

「なんで感謝するんだ?口に出すんだ?」

「え?えーと。色んな事の積み重ねで私の前に食事があることに感謝してます。口に出すのは忘れないため、と言うか習慣ですね。」

なるほどね、と領主様は理解してるようだけど、子供たちは不思議そうな顔をしている。奥さんは興味なさげだ。


赤ワインをと言うより、テオはこの星で初めてアルコールを飲んだ。甘く、アルコールも低いようなものだった。

その後、村の話しや家庭教師を終えたら旅に出る話しをしてたので、長い食事時間となった。

「そろそろ終わろうか。明日から娘をよろしく頼む。私も毎日食事に来れないが、また楽しい話を聞かせてくれ。」

それが食事時間終了を決める領主様の言葉だった。

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