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そしてもう一つは、テオの安全に関することだった。
鳥さんはいきなり放し始めた。"
「テオ様の安全について、手段としての一つが完成しました。」
「そうなの?考えておくって言ってたような?」
「試作品なので、使用した感想などを教えてください。」
「わかったよ。で、どこにある?」
「いまツバメ内にありますので、夜にモスⅢ(スリー)に持ってこさせます。」
「モスⅢもつくったの?!」
そんな会話した日の夜、テオは自分の小屋を出て森近くでモスⅢにが到着するのを待つ。その間に焚火をつけた。魔石、使える!
しばらく待つと、暗い空からほぼ光を出さない機体が降りてくる。地上4,5メートルのところでとまり、底部ハッチが開き、ぺっと木製の箱を落とした。
その後モスⅢは上昇を再開し、空に消えていった。
落ちた箱のそばまで歩いていき、テオはつぶやく。"
「情緒がないって言うか、味気ないって言うか…。」
箱を手に取り開けてる。金属製で平たい、銀色で長方形の板が入っている。
鳥さんが説明する。
「その板の端を持って、平たい面を前腕に軽く叩きつけてください。」
「こうか?」
テオが板を左手首上にたたきつけると、くるっと板が前腕に巻き付いた。腕輪のように。
前腕の半分程の長さがあるので、ガントレットというべきか。
おお!っと感嘆の声があげるテオ。
「その板は膨張金属でできています。今が縮まった状態ですので、斧でも割れません。腕は折れるでしょうが。」
「…うん。…で、これどう使うんだ?」
「テオ様の魔力か合言葉で稼働するようにしてますが。とりあえず、トリ―と言ってもらえればいいようにします。…しました。言ってみてください。」
「…合言葉は変えられるよな?」
「変えられます。ただ今はトリ―でお願いします。」
「…わかった。とり―。」
やる気のない声に反応するように、ガントレットが熱を持ったように感じたのも束の間。
テオの体廻りに銀色の水蒸気みたいなものがまとわりつき、タイツのように固まった。ウエットスーツを足首から首元まで来たような様子だ。
ただ色は銀色。テオは気になるのか股間を見る。もっこりしてる。
「変態みたいじゃねーか!」
「改良の余地はあります。機能ですが、パワースーツ程の物はできませんでしたが、脚や腰、腕のサポートができるようになってます。ただ、これだけでは安全確保が難しいので、もう一段階機能をあげます。右手か左手をあげてハイ!って言ってください。」
「…おい、この合…。」
「変えられます。ただ今はハイ!でお願いします。」
食い気味での回答をもらい、なかばヤケで右手を挙げてハイっ!と叫ぶテオ。今度は空から銀色の光がテオを照らす。テオの体全体が銀色に光輝き、光が収まるとフルアーマーのテオが残った。
おおお!っと感嘆の声があげるテオ。
サイズぴったりのフルアーマーであるのにそんなに重くはない。継ぎ目部分はゴムのような繊維のようなもので保護されている。色は銀色。
顔部分は目も含めて囲まれているが、兜内は360℃モニターで外の風景を映している。
「スペースポリスの宇宙船外用防具を基に、この星でも違和感なく使えるように意匠を合わせてあります。中はツバメとリンクさせてあり、生命維持装置も数時間単位で稼働できます。この装着に関してはテオ様の安全確保のため、私の判断でも装着できるように権限を持たせてもらいます。転んで石に頭をぶつけるよりも早く装着できるようにするのに苦労しました。」
「ありがとう、」
心から、感謝の言葉がテオから出た。ただ、改善点には妥協したくない。その日は改善点などを夜遅くまで話し合った。
人工的な明かりの少ないこの星の地上からは、きれいな星空が見えていた。




