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「さて、帰るか。」
モスⅡに乗り込む。鳥さんはモニター上部に止まって、テオに話しかける。
「この鳥、“鳥さん”という名前にしていますか?」
「いいだろう、日本語だし。現地では意味も分からないし、名前と言えばだれもわからないよ。」
「そういえば、ずっと話してたので気が付きませんでした。そうですね、この星は言語が違うのですね。」
「そりゃ当たり前だろ。なんだ、会話ができる時点で俺がワタル様ってわかったってことか。」
「うかつでした。」
「いや、俺もだ。」
転生しても日本語が使えてよかったと思うテオだった。
モスⅡで村近くまで低空で飛び、ある程度近くまで来たところでモスⅡを着陸させて隠した。
いきなりこれで村に降りると色々と面倒そうだ。
村への道に出て、ゆっくりと歩く。見慣れた入場門が見えてくる。ガタンが門前に立っている。
「先生!」
「お!テオスト!生きて帰ってきたか!」
テオはガタンに向かって走っていった。
「帰ってきました。先生、お元気でしたか?」
「それはこっちのセリフだ。3か月ぶりか?」
とガタンは話してから、テオの姿を上から下までみる。
「なんか、小ぎれいになって帰ってきたな。バックも軽そうだし。その肩に乗っている鳥は飼いならしたのか?」
「ええ。遺跡で出会いました。ところで、ごめんなさい。ナイフを燃やしてしまって…。直したんですが、魔石はなくなってしまいました。」
そういってテオはガタンに治したナイフをわたす。
「そうか…。まあ、お前が無事ならよかったよ。うん、しかし、きれいに柄も鞘も作ってあるなぁ。」
「遺跡の設備を使って直しました。魔石の代わりと言ってはですが、お土産です。」
そう言って、微振動ナイフを渡す。刃が小刻みに震えて、切れ味をましているものだ。
「この突起を押して物を切れば、なんでも切れ味鋭く切れるんです。使ってください。」
「ふーん。どれ。」
ガタンはスイッチを入れて、太い木の枝を切った。
「わ!手ごたえがほとんどない!なんだ、なんだ、これは?」
「これも遺跡の物です。」
「へえ。すごいな。ありがとうよ。大事にする。」
しげしげとナイフをみてから、神妙な顔をしてガタンが聞いてくる。
「俺もその遺跡に行けるのか?連れて行ってくれないか?」
そう言われることは想定済みで、その返答も決まっていた。
「一か月程して村に帰ろうと遺跡をでたら、その遺跡は空に上がって行ってしまって…。もう行けそうにないです。」
むちゃくちゃな説明だが、実際大気圏外にあるので、うそはない。ことも無い。
「そうか、もう行けないのか。」
「ええ、跡地ならありますけど…。」
跡地はツバメが作りやがったクレーターだ。
「じゃあ、家に帰ります。」
「ああ、帰ってきてよかったよ。じゃな!」
「はい、また!」
そう言って、家へ向かった。
「何を話されていたのですか?」
鳥さんが言うので、話したことを日本語で説明する。
「なるほど。決めた通り、空に上がったでよろしいかと。ところで、魔石とはなんでしょう?」
魔石とは、魔獣と呼ばれる魔物の体内で生成された石である。テオが鳥さんにそんな魔石の説明をしていると、もうすぐ家につきそうだ。
「ツバメならそのうちここの言語を学習すると思うけど、とりあえずは人前では黙っていてくれ。」
「わかりました。魔石の件は興味深いので、サンプルを入手して欲しいです。」
「わかった。機会があればそうしよう。」




