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戻り始めて3日目、遅々と進まなかった足取りがふと止まった。
「あれ!?」
東南方向に海岸沿いを歩いていると、夢の記憶にある陸側の胸位ある防波堤のような岩が見えた。そして海側をよく見て記憶と照らし合わす。
どことなく、あの時見た風景だし、今までも見た風景にも見える。
「よっし!ここだ!!」
確信は持てないが、もう叫ぶ!とりあえず叫ぶ!
「さて、この地点へは、20分から30分程歩いてついたから、ここからツンデ山へ向かえばいいんだ。」
ツンデ山を見て、コンパスで方角を確認し、内心で気合を入れて、森へ入っていく。
森に入って歩き、20分程。木にナイフに印をつけて周辺をコンパス頼りに2キロ四方を確認する。
記憶にあった獣道がなかったので不安だった。
道々に拾った石を置いたり、木に印をつけて探し回る。
多分、ここら辺であろう場所には着いた。なんとなくの距離と方角で割り出してはいるが。
ただ、もう、前にあった“開けた場所”なんてない。肉体的にも精神的にも疲れが襲ってきている。
「ああ、もう!これでダメならふて寝してやるからな!」
力いっぱい叫ぶ。そして、自分の声が大きいことに興奮して笑えてきた。
「さあ!呼ぶからな!モスっ!センサーを動員しろよ!」
もう全力で叫ぶ!
「合言葉だ! “おれが大将”!! 」
どこかで鳥の鳴き声が聞こえた。
疲れた、と座り込み。
すると、よりかかって座っている木の右後ろで、パキパキと木の悲鳴が聞こえる。
「来た!来たっ!!」
走って動く木の所までいき、ブレーキ代わりにその木をドロップキック。
「はあ、はあ、はあ、ビクとも、しね~、っはあ。」
この下にモスがいるようだ。
「どうしよう、掘り出すか?」
つぶやいていると、地面から金属が突き出してきた。モスの尾翼だ。
どうやら機体の尾翼を収納して地中に隠れていたらしい。
「わかった!モス!動くな!燃料の無駄だ!振り出すまで待ってろ!」
そう言うと、理解したのか木を無理やり動かそうとする音が消えた。
「あった、あったよ。本当にあったんだ…。」
モスの尾翼を見ながら、泣いてしまう。少したって、号泣になった。
小さなスコップで、モスの右舷側を掘り起こす。ここのスライドドアからしか入れないからだ。
「でかいスコップ、って、なかったからな。」
独り言いいながらも手は休まない。焦らなくていいと思うも、焦ってしまう。4年間もまったのだ。
堅い根はガタンから借りたナイフで切り切る。
日も暮れていた。それでも右舷を掘り起こし、魔法で水洗い。スライドドアのドアノブも引けるようになった。
木々の間から見える月明かり、でも目が慣れたので、スライドドアを開けて中に入る。
真っ暗で何も見えないが、手探りで操縦席に座る。
「ああ、これだ…。この感触だ…。」
胸にくる感覚、涙を流しながら座りごごちを味わう。
「さあ、ここからだ。4年間でツバメに説明することを何回も考えたからな。」
ふと、いきなり何かきても怖いので、スライドドアを閉めてから、もう一度操縦席につく。
そして、メインスイッチを入れた。




