表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シネマハウスへようこそ第二部  作者: 遊馬友仁
40/40

第8章〜スキって言わせる方法〜⑦

4月15日(金)


==============


あの場所で待ってる


==============


放課後、スマホの着信表示ランプが点滅しているので、LANEを確認すると、午後の講堂で、もっとも注目を集めた人物からの画像付きメッセージが、入っていた。

貼り付けられた画像の場所を確認し、


==============


わかった!


放課後に講堂の撤収作業アリ


夕方五時頃になっても良いか?


==============


そんなメッセージを送ると、「了解」という可愛らしいイヌのイラストが付いたスタンプが返信されてきた。

壮馬や他のクラブの男子連中と講堂でのクラブ紹介の撤収作業を行いながら、午後に起こった出来事を振り返ってみる。

新入生向けクラブ紹介が終了したあと、すぐに紅野を追いかけ、白草四葉が飛び入りのように、クラブ紹介に参加した経緯の説明を行い、彼女に、吹奏楽部のソロ・パートの演奏に関する新入生の反応や自分自身の感想を語らせてもらった。

講堂のテラス席では、白草の言動に、ややショックを受けていたようすの紅野だったが、人目を避けた校舎の階段踊り場で、こちらからの説明(()()()とは言いたくない)や感想(あくまで本心で、決して耳障りの良いことばかりを言ったつもりはない)に耳を傾けると、気分が落ち着いたのか、数分前の出来事について、彼女なりに納得してくれたようだった。

それでも、会話の終わり際に、


「黒田くん……、白草さんと随分と仲が良くなったんだねーーーーーー」


と、彼女にしては珍しく、オレと転入生の関係を気にするような言葉をつぶやいたことが、気に掛かった。

これまでなら、白草センセイの講義内容から、


(もしかして、紅野が嫉妬してくれているのかーーーーーー?)


と、心が弾むような気持ちになっていたのと思うのだが、今日の紅野アザミのようすを見ていると、彼女に対する罪悪感のようなものが芽生えてきた。

三週間ほど前には、空気の読めていない、(白草いわく)『最ッ悪!』の告白をして、紅野に心理的負担を掛けてしまい、こうして、また彼女を振り回すような行動をとってしまったーーーーーー。

紅野自身に、心理的なショックを与えたのは、白草四葉であることは否定できないだろうが、それも、オレがアドバイスを受けて取り入れた、


『(世界一)カワイイ女の子のアプローチを見せつけて、彼女に意識させよう作戦』


の一環であることから、役割を担ってくれただけの白草を責めるわけにはいかない。

むしろ、白草……いや、かつて、短い期間ながらも、『心の通じ合った大切な存在』と思っていた《シロ》に対して、損な役回りをさせてしまったことについても、忸怩たる思いが湧いてくる。

そもそもが、今日の午後のような状況を招いてしまった責任は、オレ自身にあるのだ。


自分は、はたして、素直で周囲にも気を配れる紅野に相応しい存在なのかーーーーーー?

かつて、ココロを通わせてくれた相手に対し、何もしないままで良いのかーーーーーー?


そんな想いが、アタマの中を駆け巡り、オレは落ち着かない気持ちのまま、撤収作業を続ける。

クラブ紹介に参加した部の男子部員が、総出で参加したおかげもあり、講堂での機材その他の撤収作業は、小一時間程度で終了となった。


「黒田!今年は、広報部がやってくれたらしいな!あんな隠し球を出して来るとか反則だろ!?」

「一年たちはみんな、白草さんだっけ?あのコのパフォーマンスの話しばかりしてるぞ!!」


作業中も、先輩や同級生から、次々と声を掛けられたが、オレ自身も知らされていなかったサプライズ企画だっただけに、どう返答して良いものかわからいままま、


「はぁ、すんません……」

「オレたちの部も部員不足で活動がカツカツだからな……」


と、当たり障りのない言葉を返しておいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ