表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

自殺する女

作者: エドゴン

【1.序章】


宇月さんは22歳。新卒で入社した会社を体調不良のためわずか半年で退職しました。体調不良が続いており家族には心療内科をすすめられてはいますが行く決心がつきませんでした。


自分はどうして何をやってもダメなのか。学校にも馴染めずつまらなかった。これといった特技もなく部活やアルバイトもしてこなかった。もちろん勉強の方も全くダメでした。


会社に入社できたのが奇跡でしたが、ブラックだったこともあり、すぐに体調不良に陥り半年で退職することに・・・


退職してからは何もする気も起きず、体調不良をご両親は心配していました。趣味もなくダラダラと毎日を過ごしていました。


唯一、ネットサーフィンだけは好きで毎日時間を潰していたのです。


宇月さんは次第に自責の念に囚われるようになり、自分の部屋に引きこもるようになりました。


【2.ネットサーフィンで自殺サイト】


毎日ネットサーフィンをすることだけが日課になっていた宇月さん。

現在の状況が宇月さんにとって苦痛だったため、なんとなくではありますが「自殺」というキーワードで検索をしてみました。


ズラーっと自殺に関連するサイトが表示されました。自殺の種類、自殺の仕方、自殺をする人とはどんな人なのか、などなど色々なサイトが表示されました。


宇月さんは自殺関連のサイトに夢中になりました。自殺の種類にも色々なものがあること、自殺をする人の特徴など、今の自分に照らし合わせていきました。また「自殺がしたい」というお悩み掲示板を見つけました。多くの人が自殺を希望している現状に驚きました。こんなにも多くの人が仕事で悩み、離婚で悩み、不登校で悩み、病気で悩んでいたのです。


【3.自殺のやり方を研究】


生きていても辛いだけ、つまらないし、何もすることもない。そんな気持ちに支配されていた宇月さんは自殺のやり方を研究するようになりました。


首吊り、ビルからの飛び降り、電車に引かれる、一酸化炭素中毒。


宇月さん「なるほど。死ぬことって案外簡単なのね。」


自殺関連のサイトを読みふけっていた宇月さんは自殺をしたいという思いが次第に強くなっていきました。どのやり方で死のうかを考えるようになりました。


宇月さん「首吊りは苦しそうだし、ビルからの飛び降りは怖くてできなそう。やっぱり一酸化炭素中毒がいいかしら。意識がなくなっていくように死ねそうね。」


宇月さんは一酸化炭素中毒で自殺するという意識に支配されていきました。一酸化炭素中毒に関連するサイトを片っぱしから見ていったのです。読み込んだおかげでこれなら自分にも自殺ができそうだなと確信をしました。


近所のホームセンターで一酸化炭素中毒になるために必要な道具を購入。準備万端です。


宇月さん「これで本当にいいのよね。生きていても面白くもないし、自分なんか死んだ方がいいのよ。何もやりたいこともないし。両親には悪いけど。あーあ、あっけない人生だった。」


【4.一酸化炭素中毒】


宇月さんは自宅の自分の部屋を自殺場所に決めました。準備万端で決行は今日の夜。家族が眠った後。遺書は書きませんでした。そして夜になりました。


宇月さん「さて自殺しますか」


部屋に一酸化炭素が充満していきます。宇月さんはいつも通り布団に入り眠りました。宇月さんはつまらない人生だったなと最後に思いました。死ぬことに後悔はしていません。


もう目を覚ますことはありません。このまま死ねるのです。宇月さんの意識は薄れていきました。


【5.三途の川】


宇月さん「あれ?ここはどこ?死んだはずじゃなかったっけ?」


宇月さんは目を覚ますと目の前の光景に驚きました。なんと川が流れているのです。そして目の前にふと現れたのが人影でした。


宇月さん「誰?」


宇月さんは目の前の人影に思わず声を出しました。目の前の人影にかかっていたモヤが薄れていくのが見えました。徐々に姿が見えていきました。


宇月さん「きゃー」


宇月さんは目の前にいる人影の正体にびっくりしたのです。なんと宇月さんの目の前にいたのは鬼だったのです。夢でも見ているのかな?と思った宇月さんでしたが、間髪を入れず鬼が話しかけてきました。


鬼「ここは三途の川。死者が来るところ。」


宇月さんはようやく理解しました。自殺をしたのは事実で自分は死んだのだと。そしてここ、三途の川にきたのだと。鬼は続けて聞いてきました。


鬼「なぜ自殺をした?」


宇月さんは答えることにためらいましたが、少ししてから口を開きました。


宇月さん「生きていても面白くもないし、嫌なことがたくさんあったの。お仕事もダメだったし。サイトを見たらみんな自殺したそうだった。私だけじゃないと感じられたのよ。自殺をしたのは両親には悪いと思ったけど、それ以上に人生に耐えられなかった。」


鬼「お主にはまだ命の灯りが見える。今ならまだ戻ることができるぞ。これを見よ。」


そこに映し出されたのは両親が救急車を呼び宇月さんを病院に連れて行っている光景でした。両親は必死に宇月さんを心配しているのです。


宇月さん「お父さん、お母さん。でも・・・悪いけど、私には無理かな。このまま死にたい。」


鬼「そうか。後悔はないんだな。」


宇月さん「はい。」


宇月さんの決心は固かったようです。両親の姿を見ても現実世界には嫌気がさしていたのでしょう。


宇月さんは生きることの苦しみから解放されました。つまらない毎日、つまらない仕事、趣味もなし、やりたいこともなし、生きていて何が楽しいのでしょうか。自殺は人間の特権。自由に使える権利なのです。宇月さんはあの世で幸せに暮らしていくことになりました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説をお読みいただきありがとうございます。
小説の作者「edogon」の詳しい自己紹介はこちらです。
自己紹介や持っている障害について

私が運営しているブログはこちらです。
ブログ「HCap」
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ