2-18/フェーズ1:危地での女子会、危険な香り
(・ヮ・姉)ばんごはーん
はい、というわけで。
試合の熱もようやく冷め、客の退出も滞りなく完了したスタジアム。その中をのんべんだらりと行脚した俺は、誰にも邪魔されることなくトレーニングルームに到着——
「あ、噂をすれば。雨宮くん、やっほやっほ」
「あ、俊くん見てるー? お姉ちゃんだよー」
「帰って」
できないんだなあ、それが。
完全に他の客が居なくなったフードコートにて、それでもお喋りに興じる二人の人影。声に聞き覚えがある時点で詰みの気しかしなかったのだが、警備員である以上は見過ごすわけにもいかない。
嫌な——というより、もはや薄ら寒いと言ったほうが適切な予感。頭痛の気配を押し殺して近づけば、果たしてそこに居たのは想像通りの顔だった。見てるに決まってんだろうがぶっ飛ばすぞ。
……いや、まあ。降谷に関しては、まだ分かる。
百歩どころか二百歩ほど譲らねばならないが、それでも学院の生徒であることには変わりはない。この大会の関係者の中にも知り合いは多いし、話し込んで時間を過ぎてしまったと言われても、ギリギリ理解できる範疇だ。
「え〜、最近風当たり強くない? ぅぅぅ、お姉ちゃんは悲しいです」
だが。この駄姉に至っては、まったくもって意味不明である。
何で居るのか本当に意味が分からないが、何でもいいから取り敢えず帰ってくれ。帰ってください。頭の中に何詰まってんだお前。
「そうだよ雨宮くん、家族は大切にしないと。ほら、お姉さんにごめんなさいして」
俺の混乱を他所に、降谷はさも当然というように駄姉の存在を受け入れている。
なんなら受け入れるどころか、言動が若干引き摺られて知能指数が下がっているフシすらあるほどだ。なんで他人にデバフまで撒いてるんですか、この姉……頼むから予期せぬ角度から災難を持ち込まないでほしい。もう既にだいぶヤバいんですよこっちのキャパは。
「……何で?」
「星皇軍で働かせてもらえることになった、って前に言ったでしょ? だからここも顔パスで入れるのです」
ふふん、と得意げな仕草に合わせて、よく育った身体の一部分がたわわに揺れる。
いくら軍の正規隊員とはいえ、顔パスでいけるはずないと思うのだが……ま、いいか。考えるだけ無駄な気がしてきたなもう。
「それで、30分くらい前かな? 渡すものがある、って警備さんに話してるこの子をちょうど見かけて——」
「そのままの勢いて喋ってたら、こんなに仲良くなっちゃって。雨宮、って名字を聞いたときは結構驚いたけど、まさか本当にお姉さんとは思いませんでしたよ。世間って狭いですねえ」
「似てないってよく言われるからねー。私もびっくりだよ、まさかこんな素敵な女の子が俊くんとお友だちなんて。隅に置けないなあ、このこのお」
ええ……なんだそれは。宗教勧誘の手口じゃないんだぞ。
一瞬にして疲労感が五割増になった俺をそっちのけにして、姉と降谷は旧来の友人であるかのように盛り上がっている。ほんまに初対面なのかあんたら……。
この姉に初対面で適応できる降谷、マジコミュ力の塊。実弟の俺より家族らしいというか、なんなら妹の座をやりたいくらいだ。むしろ俺の適応力が低過ぎて、実は血縁関係がありませんでした、とか言われても納得できるレベルである。
「いや、そういう話ではなくてだな……本来ならもう閉まってんだよここ。というか関係者なら聞いてるはずだろ、なに当たり前のように通してんだ」
ユルい空気に打ちのめされ、脱力しかかった意識を気合いで引き戻す。騙されんぞ、問題をなあなあにするわけにいくか。
平時であればいざ知らず、昨日の一件で俺たち裏方の空気はかなりピリついている。また同じ手口で犯行が繰り返される可能性もある今、一般客にまで意識を割いている余裕などない。
不用意に一般客を野放しにし、結果事件に巻き込まれるなど以ての外だ。いくらこの姉とはいえ、さすがにその判断は付いていると思うのだが——
「えっと、それに関してはあたしの方が悪くて。ほんとなら昼間のうちに差し入れを渡そうかと思ってたんだけど、なかなか渡しに行けなくて……」
が。
咎め立てるような俺の視線に、表沙汰にできない何かを察したのか。姉を問い質すその前に、降谷が機先を制して口を開く。
「ぼんやりとしか聞いてないけど、和泉さんも何かあったんでしょ? だからお見舞いも兼ねて、今日の試合が終わったら様子を見に行こうかな、って考えてたんだけど……」
「……そういうことか」
尻すぼみになる声は、事態を朧げにでも認識しているからこそのものか。
ある程度は仕方のないことだが、やはり情報というのは何処かしらで漏洩するらしい。しおらしく縮こまる降谷を前に、無理に詰るわけにもいかず頭を搔く。
居残っていることはもちろん褒められたことではないが、別段違法な手段で侵入したわけでもない。目的も目的であるし、ここまで色濃い反省の様子を目の前で見せられると、声高に非難することもできなくなってしまう。
「私だって星皇軍の人間なんだから、女の子一人の警備くらいできます。緊急連絡の手段だってあるんだし、この子を一人で行動させるよりは安全だと思うけどなあ」
「そういう問題じゃない。だいたい、星皇軍に入ったのだってこないだのくせに、なんでいきなりこんな場所に来てるんだ。今はもっと危険だってことを意識してくれ」
となれば当然、感情の向かう先はひとつしかなくなるわけで。
行き場をなくした非難が、必要以上の鋭さを持って姉へと向かう。ちょうど一日前、水無坂との無為なやり取りが頭をよぎり、知らず苦々しい言葉が制御を失って口から転がり出す。
何も、姉の行動全てを非難しているわけではない。これが正規の隊員、きちんと訓練を受けた星皇軍の人間なら、俺も納得できただろう。
だが。この姉に関しては、正真正銘の裏口採用である。数日前にこちらへ越してきて、その勢いで星皇軍の事務員になるなど、通常ならとてもではないが許されることではない。
そもそも。大前提として、この姉は自分でも言ってるように能力を持たない、所謂無能力者側の人間なのだ。
そんな人間が急に引っ越してくるだの、星皇軍で職を貰うだの……どんな手を使ってこちらの世界に入ってきたのかは定かでないものの、およそ常道の類ではないことだけは断言できる。
仮にも異能力者の隔離施設であるはずの星皇軍に、無能力者が当然のような顔をして在籍している。親族が軍の保護下にあるという事実を差し引いても、かなり特殊な事例であると言わざるを得ない。
魔法でも使ったのか、俺の知り得ないコネでもあったのか——本人が頑なに口を割らない以上、真相は完全に藪の中だ。いずれ問い質さねばならないことではあるが、なんとなくこの件に関してはシッポを掴ませてくれない予感がする。
「えー、俊くんがそれ言っちゃうの? 5月にお姉ちゃんを散々心配させてるのに、その言い方はちょっとどうかと思うなあ」
「それは——」
……いずれにせよ。そんなことを軽々とやってのけてしまうからこそ、この駄姉が姉たる所以なわけだが。
おどけた態度を崩さないながらも、真剣そのものといった視線を真っ直ぐにこちらへとぶつける姉。芯の通ったその声に、反論の出鼻を完璧に挫かれてしまう。
「それにここに居るのだって、坂本大佐からお話されて来てるんだから、れっきとした『任務』だよ。いろいろ私なりに考えてみて、私なりにやるべきと思ったことをやってるんだからね? お姉ちゃんはなにも考えなしにいるわけじゃないのです」
この声色を、俺はよく知っている。
いつもふわふわとしている姉が、「真面目」な話をするときの声。こうと決めたら梃子でも動かず、最後まで必ずやり通す姉の一面だ。
どんな手を使ってでも、何度試行錯誤を繰り返しても、「為すべき」と判断したところにたどり着く。その在り方にずっと守られていただけに、こうして相対したときの敵わなさもよく知っている。
「……まあ、いい。大佐にはあとで直接話を聞く。でも、だからといって好き放題動いていいわけじゃないんだからな。何かあってからじゃ遅いんだから——」
「わかってます。もう、俊くんは心配性だなあほんとに。お姉ちゃんとしては、もう少し鏡を見て欲しいかなって思うよ? もちろん、そんなことができる俊くんじゃないのも知ってるけどね」
説得するつもりが、気づけばいつの間にか逆に言いくるめられている。この展開も随分と久々だ。
相も変わらず、こういう時に限って魚見の何倍も弁が立つのだから、タチが悪いことこの上ない。どこか影のある微笑みに、悪戯をして叱られた時のような申し訳なさまで感じてしまう。
「……はあ」
坂本大佐直々に指令が下ったのなら、俺に止められる権利はない。「任務」とやらの詳細は気になるが、訊ねたところで教えてもらえるものでもないのだろう。
姉を危地に立たせることに抵抗が無いと言えば嘘になるが、残念ながらこればかりは上から命令が下る組織の常だ。うまいことシステムを隠れ蓑にされた気がして、腹立たしさと脱力感が同時に身体を駆け抜けていく。
……まあ、それはそれとして。坂本大佐には後々、きちんと「お話」をすることになると思うが。
ここまで姉との繋がりがあるとなれば、勘ぐられるのも多少は覚悟の上だろう。よもや色仕掛けで落とされたとか、そんなつまらないオチではあるまいが……何にせよ、一度関係を訊問しておかなければならないのは確定だ。
「へーえ。なんか、意外だね。雨宮くん、きちんと弟してるんだ」
「なんだそりゃ……いや、きちんとしてない弟ってなんだよ」
しばしの間無言を保っていた降谷だったが、しかし合点がいったように口を差し挟む。なんだその絶妙にニヤついた顔は……今までの神妙な表情は何処へやった。ゴシップに食いついた魚見がよくする顔だぞそれ。
普段弟であることを意識していないぶん、こうして他者から指摘されるとどうにも気恥ずかしい。そもそも弟らしい弟ってなんだよ。戸愚呂弟とかそのへんはカウントに入るのか。
「お姉ちゃんに勝てる弟なんていないんだなあ、ってこと。でもいいなあ、葵さんみたいな素敵な人がお姉さんなんて。私も上とか下とか欲しかったんだよね」
「……欲しけりゃいくらでもくれてやるが。いくら見た目が一級品でも、四六時中一緒にいたら考えも変わってくるぞ」
「あー、またそんなこと言って。お姉ちゃんはそんな子に育てた覚えはないぞー」
微笑ましいものでも見たかのようにうんうんと頷く降谷と、その横でぎゃいぎゃいと騒ぐ成人女性(姉)。なんですかこのやかましいのは……さっきまでシリアスしてたんだからもう少し我慢してください。
これで姉より優れた弟なぞ存在しない、とか言われても、疑問が募るばかりである。優秀なことは否定しないが、それはそれとしてどうしようもないアホなのだという点は念を押しておきたいところだ。
「そんなこと言ってるけど、実際に葵さんがいなくなったら大騒ぎしそうだよね、雨宮くん。家のものとか全部ひっくり返して探してそうな感じ?」
「あ、いいかもそれ。大慌ての俊くんって、それはそれで面白そうだし見てみたいかなー。どうする? お姉ちゃん唐突に家出しちゃうかもしれないよ?」
「……やってみればいいんじゃないか? 別に止めようとは思わんぞ」
ニヤリと口元を歪めるのはいいが、その自身は一体どこから出てくるのやら。
生活能力が皆無、どころか下限を突破している駄姉が家出とか、別の意味で恐ろしすぎて考えたくない。1日持てば奇跡、なんなら玄関から3歩目の時点でくたばっているに1ベットだ。
見た目は包容力のある絶世の美女、中身は自堕落なただのオッサン、それが雨宮葵という生き物なのである。たぶんレッドデータブックとかに載せたほうが生きやすくなると思う。保護されるし。
「そもそも家族って言ってるが、兄弟なんてさほど珍しいもんでもないだろ。水無坂とか、樋笠とか、あのへんは一人くらい居そうなもんだが……何か聞いてたりしないのか、そのへん?」
やけに息の合った波状攻撃から逃れるべく、明後日の方向に大きく話題を転換する。
毎度お馴染みの名前しか出てこないが、そこに関しては目を瞑っていただきたい。雨宮は友達が少ない、ラノベっぽいけどただの事実だなこれ。凹むわ。
「兄弟かあ、うーん……いつだったかは忘れたけど、先輩は一人っ子って言ってた気がする。水無坂さんに関しては、なんというか——あの子の場合、兄弟はいなかった気がするけど、それよりも家族のほうが、ね」
へえ、樋笠が一人っ子ねえ。てっきり弟妹のどちらかはいると思っていたのだが、人は見かけによらないものだ。
……いや。重要なのは、そんな部分ではなく。
「……詳しく聞いてもいいか、その話」
こぼれ落ちてきた情報に対し、咄嗟に続けるよう促してしまう。
適当に選んだ話題だったはずなのだが、これは思いがけない収穫だ。水無坂に関する情報というだけでかなりのレア、それも家族の事情となれば滅多に聞けるものでもない。
随分と汚い興味を抱いていることは承知の上だが、それでも好奇心というのは止めようがない。首をもたげたそれに対し、後ろめたさと罪悪感を感じつつも身を乗り出す。
「あたしも本当にちょっと聞いただけだから、どこまで信じていいのかはわからないんだけど……頑張る理由、みたいなのを最近質問してみたことがあって。ほら、水無坂さん、この本戦のために前々からすごい準備してたでしょ? だから何か、どうしても出たい理由があるんじゃないかなって」
「……それで?」
急かすような口調の俺に対し、降谷は口を引き結んでむむむと唸る。
恐らくはふとした拍子にこぼれ落ちた言葉なのだろうが、それをきちんと覚えている彼女も大概だ。あるいはこういった点が、彼女が慕われる理由なのかもしれない。
「えっと……私はやらなきゃならないんだ、って言ってた。ここで何もできなかったら、今度こそもう見放される……って」
手繰り寄せられた記憶に従い、再現されたその言葉。
それは、言い表せない重さを持ったものだった。
「……見放される、ねえ。それは家族に、ってことか?」
「うん、たぶん。はっきり言ってたわけじゃなかったんだけど、言い方からしてそうだと思う。お父さんか、お母さんか、その両方かは分かんないけど……ほら、水無坂さんが友達に失望されるのを怖がってるとか、そういうのはあんまり想像できないでしょ? だったら、やっぱり家族に関係があるのかなあって」
こんな話、あまりするべきじゃないのは分かってるんだけどね。最後にそう付け足す降谷の声が、頼りなさげに小さく揺れる。
まあ、彼女の言わんとすることはわかる。こんな話を言いふらすべきではないという気持ちも、誰かに話したいという気持ちも、その両方が理解の及ぶものだ。
……だからこそ、そこにつけ込んでいる自分に腹が立ってくるわけだが。
いくら目の前にぶら下げられた情報とはいえ、こんな聞き出し方は到底褒められたものではない。今は事情を察してか黙っている姉も、本来ならあまりいい顔はしていないだろう。
「……ま、だいたいわかった。そのへんも気にはしておく。今日も差し入れがあるんだろ? 持ってくついでに様子でも見ておくさ」
「うん、お願い。水無坂さん、今はだいぶピリピリしてると思うし……ごめんね、仕事増やすようなことしちゃって」
「別に構わんが……いや、ピリピリしてる、か」
ピリピリ、ねえ。……ほんまか、それ?
確か予選が始まる前、魚見も同じようなことを言っていたような気がする。
分けても今は本戦真っ只中、見る人が見ればその違いは一目瞭然なのかもしれない。当然俺は「見る人」ではないし、他者の機微にも疎いのは自覚の上なのだが……。
それでも。何食わぬ顔で串焼きを頬張っていた水無坂の姿を見る限りでは、余裕のないイメージなど何処からも湧いてこないというものだ。宣材写真にでも使えそうなくらいのいい食いっぷりだったぞ、アレ。
強いて言うなれば、口頭での応酬自体はここ数日で増えているような気がするが。何を言っても立ち退こうとしなかった昨日のことを鑑みても、強情さは普段よりも拍車がかかっていると言えなくもない。
「……いや」
うん、面倒なものが輪をかけてめんどくさくなっただけだなこれ……。
もとより好感度がマイナススタートなことは承知の上であるし、俺的には受けるダメージが少なく済んで僥倖だ。人間嫌われておくものですねえ、わはは。
「はい、これが水無坂さんのぶん。これが先輩のぶんで……あ、あとこっちの袋が二人のぶんね。恭平と分け合って仲良く食べて」
「ああ……了解。渡しておく」
ありがたく受け取るものの、なんとなく腑に落ちない気がしないでもない。魚見とニコイチ扱いなのか……や、別にいただけるだけで嬉しいんですけどもね?
「俺のぶんのひとつ、駄姉にやってもいいか? どうせ後で欲しがるし」
「え、いいの? お姉ちゃんほんとに食べちゃうよ?」
建前でも遠慮しろそこは。そんなことばっかやってるからこんな扱いになるんでしょうが。
シリアスの欠片すらも投げ捨てた駄姉を横目で見やりつつ、気持ち大きめな差し入れの袋をありがたく頂戴する。
魚見とワンセット扱いなのはどうにも釈然としないが、このくだりはだいぶ前にもやった気がするので省略することにしよう。解決できないことを考えるほど不毛なこともないので、詳しくは第一部の冒頭あたりでも見ておいてください。
「先に言っとくが、差し入れはきちんと受け取ったからな。何が何でも降谷を無事に送り届けて、俺宛に連絡を入れるように。——聞けや」
サンドイッチのひとつを受け取って目を輝かせる駄姉、その頭を引っ叩いてこちらに呼び戻す。
すぐそこまで送るだけとはいえ、コレに降谷を任せてしまって良いのか本当に不安だ。なんなら降谷一人のほうが、余計な重荷がなくて安全だと思えるくらいには。
「だいじょうぶ、そこはきちんとします。お姉ちゃんはこう見えても真面目だし、やるときはきちんとやるのです——あ、ちょっと待って。メールだ」
豊満な胸をまたも自慢げに揺らした姉は、しかしそこでごそごそと携帯を探し出す。
なんでそこでカッコがつけられないんですかね……せめてあと一歩、姉の威厳を保つことはできないものなのだろうか。いや、元から威厳なんてあってないようなものなんだが。
しかし、だ。こと今回に限っては、声高に批判することができるわけもない。
全く同じタイミングで俺にもメールが入ったことから察するに、恐らくは業務連絡の類なのだろう。一斉送信ともなれば、それなりに重要な要件であるのは明らかだ。
ちょっと失礼、と目前の降谷に断りを入れ、業務用に支給された携帯を引っ張り出す。
後回しにして伝達が遅れたともなれば、取り返しのつかない事態へと発展しかねない。昨日の一件で色々と過敏になっている節はあるが、それでも急を要する案件である可能性も考慮に入れて行動するべきだろう。
どれどれ……して、内容は、と。
「——————————あ?」
…………………………はあ?
雨宮葵、やるときはやる人なんです。今はまだその時ではないだけなんです。たぶん。
次回投稿は、例によって土日を跨いで月曜日になります。時間は変わらず19時ごろを予定しています。
感想・評価等、いただけると励みになります。よろしくお願いします。