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進め!病院探検隊 -遭遇編-その3

思うように書けないこれが壁か…

【馬久瑠医院2階 3階への階段前】


さっちゃんと爺さんが向かい合って構えた瞬間、空気が変わった?構えはアレだが…


…じり…じり…


二人ともお互いに間合いを詰めていく…構えはアレだが…


…じり…


後一足飛びでお互いの間合いだ…お互い隙を伺い戦いのゴングを待っているかのようだ…

…構えはアレだが…

そしてゴングが意外な所から空気を読まず飛び込んできた…


じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!…くぺ!?…ぱぁぁぁぁぁぁぁん!!ぞぶぅ!…べしぁぁ!!!


一瞬の出来事だった…

近くの病室の中からゾンビがうつ伏せのままの俺に向かって飛び掛かってきた、

ええ、睨みあう二人の間を横切って…文字通り俺しか見えてなかったらしい…


二人の視界を遮った瞬間…二人が動いた!

ゾンビの頭部に左右から二人のカンチョーが突き刺さりゾンビの頭部が爆散…

二人の指先が触れたまま爺さんがゾンビの胴体にヤクザキック!

同時にジャンピングカンチョー状態のさっちゃんも反対側の胴体に両足でキック!

恐ろしいほど息ぴったりの連携に、ゾンビの胴体がプレスされ二人の足の裏でミンチになる…

まずい!ゾンビの下半身が床に倒れる前に爺さんが姿勢を低くして前方に踏み込んだ!


「さっちゃん!あぶっ…」


爺さんの狙いはキックで後方に飛んださっちゃんの、

まだ空中で姿勢が崩れて背を向けている瞬間だ…

俺は空中で尻を串刺しにされるさっちゃんを想像し…だが…


ぐしゃっ!…が!…ばちぃぃぃん!!!


「ふっ!!」


ズザァ!……


ゾンビの下半身が倒れると同時に、さっちゃんの尻を貫いたかのように思えた爺さんが、

よろめいて床に片膝をついていた…


さっちゃんはどこかの蜘蛛のヒーローのような姿勢で着地している…

一体何が?さっちゃんの尻は無事なようだ、俺は安堵した…


「カッカッカ…やるではないか、これには少々驚いたぞ?さち公…」


べしゃ…


爺さんが口元を拭いながらさっちゃんに称賛の言葉を言葉をかけると、

さっちゃんが何か長くて細いものを投げ捨てる…

あれは…腕?ゾンビの?


「へっへーん!

 じーちゃんなら、絶対あのタイミングでボクのおしりを狙ってくると思ったからね!

 これを仕込んでおいたんだー」


ドヤ顔でVサインをするさっちゃん、どうやらゾンビを蹴った際に腕をもぎって…

短パンとおしりの間に差し込んでいたみたいだ…あの瞬間によくそこまで…

爺さんがダミーにカンチョーして動きを止めた瞬間に、

爺さんの腕を掴み顔面に両足でキックをカウンター気味に入れたという事らしい…


「やったー!じーちゃんをだしぬいたぞー…ひゃぅあ!?…」


爺さんの裏をかいたのがよほど嬉しかったのか、

小躍りしていたさっちゃんが急にへたり込んだ…?

何だ?何か攻撃を喰らっていたのか?

弱弱しく俺のほうを見るさっちゃん…


「に、にーちゃん…どうしよぉ…」


「どうしたんだ?どこかケガでも…」


俺と…何故か爺さんも心配そうに次の言葉を待った…


「お…おしり…が…ボクのおしりが…」


「まさか…殺人カンチョー(命名俺)を防ぎきれなかったのか?」


「うう…さっきの…腕の中身が…べちゃーってしてどろーってして…おしりがきもちわるいぃぃ」


俺と爺さんが盛大にずっこけた…

確かにダミーに使われた腕の穿かれた穴からはでろっとした何かがごぷごぷと零れている…

うはぁ、あれが下着の中で張り付いたと考えると…とても気持ち悪そうだ…


「まったく…世話がやけるのぉ…

 ほれ、こっちゃこい!」


爺さんがさっちゃんに近づき腰元をむんずと掴み

さっちゃんを無造作にぶら下げる…悪さした飼い猫の末路みたいな状態だ…


「ぎにゃぁぁー!ひっぱったら…でろでろがぷちゅって…ねちょねちょがおくまでー!!」


不可解な悲鳴をあげながら近くの部屋にさっちゃんは連行されていった…

ちょ!?さっちゃんが攫われた!!見送ってる場合じゃない!


「ま、まて!さっちゃんをどうする気だ!」


さっちゃんは戦意を失っている…まずい、助けないと…ぐぐぐ!

腰に力が入らず這いずりながらさっちゃんが連れ込まれた部屋に向かう…

重ね重ね…俺カッコ悪いと思いながら…ちくせう!


「…ほれ、さっさと足を開いて尻をこっちに向けい!」


「…やだよぉ…それは…ボクの大事な…」


な…何が起こっているんだ…部屋の奥から聞こえてくる二人の声に俺は固まる…


「あのクソジジイ!ふんぬぅ!」


壁の手すりに掴まり激痛に耐えながら体を起こす…

勝てる気がしないが…隙ぐらい俺にだって…俺は部屋の中に躍り込む…


「さっちゃんを離せ!この変態ロリコンクソジジ…い?」


はい…すみません…言い訳をお許しください…

爺さんは別に変なことをしてたワケではなく…

かなり深く幅広の洗面台のような場所でさっちゃんのおしりを石鹸とシャワーを使って

洗ってあげていました…


勘の良い方々ならもうお気づきですね?

そうです、汚れ物やシーツも洗える洗浄用の「洗浄部屋」があったわけですね!

側のごみ箱のようなものにさっちゃんの短パンらしきものがありますね…

ゾンビの腐汁が内側にべっとりですね…しかも突き破られたかのような穴が開いて裂けています!

これが大事なもので捨てられ嫌がったと…はい、


すみません…俺の勘違いです、冷静に考えればそんなことがあるわけないですね?

泥だらけになって帰ってきた子共を洗うおかんみたいな腕まくりしている爺さんの視線と

おしり丸出しで半べそになってるさっちゃんの視線を受け俺はすごすごと退散する…


「どうぞごゆっくりー…はぁ…本当にカッコわりぃ…」


壁伝いに階段前に戻り喫煙スペースの長椅子にゆっくり腰を下ろす…

ケツはまだかなり痛むがうつ伏せのままなのは流石にと、少しでも楽な姿勢を取る…

ふと長足の灰皿が目につき懐を無意識にあさると、煙草とマッチが入っていた…

どうやら俺は煙草を嗜んでいたらしい…白衣と煙草の組み合わせはけしからんが、

今は助かる…煙草を一本咥えマッチを擦り火をつける…


「すー…ふぅぅぅぅぅぅぅ…」


ゆっくりと紫煙を吸い、またゆっくりと吐き出していく…落ち着く…

煙草はいい文明…俺的にはだが…そう思いつつ、

一つの疑問を呟いていた…


「やっぱり、あの爺さん…本気で俺たちを殺すつもりじゃ…ないよな…」


最初のさっちゃんとの打ち合いでは本気かと思ったが…

ダミーが尻の間にあったとはいえ爺さんが本気出したら…さっちゃんの尻が無事だったとは思えないし…

なにより戦意喪失したさっちゃんに止めを刺すどころか甲斐甲斐しく汚れを洗ってあげるとか、

孫の可愛いただのお爺ちゃんにしか見えない…

第一に殺すつもりで来たなら俺が生きてるとは思えない…死ぬほど痛かったが…


「じゃぁ…何で奴の言いなりになってまでここに?何か別の目的が?」


「おう、待たせたな若造…」


「…むぅ…」


暫くすると一仕事終えた感じの爺さんと、爺さんに手を引かれたさっちゃんがぷりぷりと

ご機嫌ナナメな顔で戻ってきた…


「ほう?…儂にも一本もらえんか?」


爺さんが俺の隣に腰を下ろし煙草を催促してきた…

断る理由もないか…俺は煙草を一本取り出し爺さんに渡す、

爺さんがしげしげと煙草を眺め、咥えたタイミングでマッチを擦り火を差し出す…


「をを…すまんの…」


爺さんは火を手で覆うようにしてから咥えた煙草の先を火に合わせる


「すぅぅぅ……んはぁぁぁぁぁぁ…カー!久々のこの感じ、くぅーたまらんのう!」


まるで長年禁煙してきたかのように旨そうに紫煙を吐き出す爺さん


「爺さんホントに死んでるのかよ?信じらんねぇな…」


「ん?そんなこと言ったら…いや、そうじゃのう…まぁ年季の違いじゃて」


「年季なのかよ…で、どうするんだ?仕切り直しでまたやりあうのか?」


「ふむ…そうさのう…さち公の尻を洗ってたら興も削がれたしのう…」


爺さんは目を細め紫煙を吐き出し、

壁の方を向いて体育座りをしているさっちゃんの方を見る…

さっちゃんはまだむくれている…


「かといって院長の頼みも無下にできんし、じゃが…」


「なんか別に理由があるんじゃないか?」


さっちゃんを優しい目で見る爺さんにストレートに突っ込んでみた。


「ほう?……そうさのう…今はなによりさち公が尻丸出しでうろつくのは

 流石に看過できんから何とかするまで休戦じゃな!カッカッカ!」


「じーちゃんのせいじゃないかー!…ボクの…大切な…ぷんぷん!」


一瞬ぞっとする視線を向けた爺さんだが誤魔化すかのように膝を叩く、

それにさっちゃんが食いついた…あれは自爆だと思うが…


「そうじゃ、若造…何か紙とペンか何か持っとらんか?」


「ん?あ、ああ…」


ポケットをまさぐるとメモとペンがあったので爺さんに渡した

爺さんは礼を言うと何かを書き始める…


「こりゃ、さち公いつまでしょげとるんじゃ!こっちゃ来い!」


「ふーんだ!ボクの怒りは海の底よりたかいんだ!あやまったって許し…」


「そうかそうか、代わりにもっといいモンやろうと思ったが…そうかそうか…」


メモ紙をひらひらさせながら爺さんが呟くと

いつの間にか体育座りのまま爺さんの足元までさっちゃんが移動していた…


「なに?…なになになに?」


「お座わ…は流石に今はダメじゃのう…正座!」


ちらりと俺を見て訂正する爺さん…あ、はい理解しました…

流石に野球帽と大き目のシャツとスニーカー”だけ”の今のさっちゃんにそれは…ねぇ?

ちょこんと正座をするさっちゃんを見つつ…


「一階の倉庫の…儂のタカラモノの場所は知っておるな?」


「うん、裸のおねーちゃんの写真がいっぱいある本があるとこだよね!」


「むぅ…うむ、ごほん!儂の芸術を嗜むための資料を置いてある場所じゃ…

 そこの近くにこういう段ボールがあるはずじゃ、

 これをちゃちゃっと取ってきてくれるか?」


悪意のない暴露に怯みつつメモを見せる爺さん…無垢な子供って恐ろしい…


「これをボクにくれるの?なになに?何が入ってるの?」


目をキラキラさせながらメモを受け取るさっちゃん


「その中にあるんじゃよ説明するのもなんじゃから持ってき…て…」


爺さんが言い終わる前にさっちゃんは廊下を走りだす…


「おいおい、さっちゃん、尻が丸見えだぞーって言っても無駄か…速い…」


「若造…ひとつ言っておくが…」


爺さんが真面目な顔で俺を睨む…味方になったと思うなよって事か…


「さち公に手を出すなよ?」


「ださねぇよ!!!まだ子供だろ!?俺のストライクゾーンはもっと上だよ!!

 ピクリともしねぇよ!!今の俺は不動明王だよ!!…ぜえぜえ…」


「カッカッカッカ!不動明王とはのう…面白いことを言う…

 さち公ももう少し、背と出るとこ出てればのう…昔からちっとも変わらん…」


にかっと笑う爺さんにマジ突っ込みをした…まったくこのクソジジイ…

何か引っかかるがまぁ本題に入るか…


「で、さっちゃんをここから離したって事は…何か聞かれたく無い事があるんじゃないか?」


「カカ…流石じゃのう…まぁ、いい物があるってのは本当じゃが…

 若造…お前さんに話して…いや、聞いておきたいことがあってのぅ…」


「俺に?」


爺さんは煙草を灰皿に押し付け俺の顔をじっと見る…


「そうじゃよ…お前さん、自分の事がどこまで分かっておるんじゃ?」


「え?…爺さん…今なんて?」


そう、目を覚ましてから疑問に思いつつも追及できなかった部分…

この爺さん何を知っているんだ…


次回、倉庫でさっちゃん大ピンチ!?「穿いてないから恥ずかしくないもん」(大嘘)おそらく閑話かも…サクサク進行が難しいです

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