進め!病院探検隊 -遭遇編-その2
平日にコツコツ書いてますが…思ったように進まないデス
【馬久瑠医院2階 3階への階段前】
「あ…ぐぅ!ぐぁぁぁ!!ぐぎぃぃ!!!」
痛い…痛い!痛い!痛い!痛い!想像を絶する激痛に俺は身をよじる…
「け…ケツがケツがぁぁぁぁぁ!!!」
ケツが…ケツが灼ける様だ…何だ!?何がどうなっている!?
「にーちゃん!大丈夫!?そんな時はひっひっふーだよ!ひっひっふー!」
さっちゃんがまるで役に立たないアドバイスをしてくれるが…
激痛に悶絶する俺は…それどころじゃない!!!
「じーちゃん!ひどいよー!
にーちゃんのおしり大パニックだよー!」
「ん…いや、まぁ…さち公と一緒だったし、かなりデキるんじゃないかなーと…
まさか避けもせずそのまま喰らうとは思わんかってのう…
失敗!失敗!カカカカカ!!」
こ…このジジィ…俺が宙を舞う程のダイナミックなカンチョーをしやがった…ぐぐぐ…
痛みは徐々に収まりつつあるが…まだ動けない…俺のケツは…どうなっちまったんだ…
1階のあのゾンビみたいにケツが爆散しちまったんじゃないかと思う程だった…
「て…てめえ…何しやがる…ぐぐぐ…」
うつ伏せで藻掻くことしかできない…くそう、本当にくそう…
「にーちゃん、だいじょうぶー?
ボクもじーちゃんに初めて喰らったときは口からおしりが飛び出るかと思ったしー」
さっちゃんが藻掻く俺のそばにしゃがみこんでとんでもないことをのたまう…
「こんな小さい子に…なんて高度なプレイを…いや、酷いことを…」
「いやいや、さち公も大したモンよ…最初はお仕置きとばかりにぶっ刺してやったが…
翌日から逆襲してきおってな、隙あらば儂の尻を狙ってきたわい…
其の度に足腰立たなくなるまで返り討ちにしてやったんだが…
今では儂から一本取れるまで成長してなぁ…」
しみじみととんでもないことを語りだすジジイ…
「なつかしいねーボクもじーちゃんから1本取るために特訓までしたんだー
鉄げたを履いて病院の屋上からこう、中庭に向かってえいやーとか、
襲い来る蜂を全部カンチョーで撃ち落としたりとか…」
おいおい、さっちゃんまでしみじみととんでもないことを語りだしたぞ…
「あれは傑作だったのぉ…ほれ、あの…革命がどうとかの…」
うぉい、昔話を語りだしたぞ?
「せかいをかくめーする…なんとかって言ってたやつだよねー?」
さっちゃんまで乗っかるの?
「そうそう、20人位で病院を占拠していきがってたあやつらじゃな…」
いいかげんに…え?占拠?…て…テロリスト?ここを?
「じーちゃんとどっちが多くカンチョーで倒せるか競走したんだっけー!」
何故にカンチョーで…いや、そんなことよりも…
「うむうむ、相手は銃器で武装しておったが儂らの敵ではなかった…ただ…」
銃器かよ!てか全員倒したのかよ!
「そうだねー、まさか最後の一人がボスじゃなくて影武者で、
入院患者のおばちゃんが黒幕だったときはボクもびっくりしたよー」
はぁ?入院患者のおばちゃんって…え?黒幕?
「しかも黒幕は双子でどちらが真の黒幕かで揉めておったっけか…」
双子かよ!しかも仲間割れ?真ってなんだよ真って!
「ボクは仲良くケンカしてるみたいで楽しかったけどなーお互いナイフで刺しっこしてたし」
いや、それ刺しっこじゃなくて殺しあってるから!!
「しかし、二人とも倒れた後に”真の大黒幕”がのぉ…まさかのぉ…」
ををい、黒幕に上級職あるのかよ!しかも”大”までついてるよ!
「びっくりだよねぇ…まさかまさかのだよねー…あの…」
…ごくり……一体……は!?
「だー!!滅茶苦茶続きが気になるが、そこら辺にしてもらえる?」
痛みを抑え心の中で突っ込んでた俺は、ついに声に出して突っ込んでしまった…
何だよ”真の大黒幕”って…何がどうなってるんだよこの病院!
話が脱線しまっくったところを複線ドリフトで復帰するかの如く戻してっと…
「山田のジジ…爺さんはさっちゃんの知り合いで…
で、生存してたってのはいい事だけど…」
「ん?儂?…儂はとっくに死んどるよ?」
「どうやって生きのび…てっ…はぃぃ?」
「カカカカ…若造、人を見かけて判断してはいかんのぅ」
「じーちゃんなら殺しても死なないと思ってたのに…死んでるの?」
さっちゃんまで首を傾げている…こんなに生命力に溢れるゾンビなんているのか?
「まぁ、仮初の命ってヤツじゃな…用が済んだらまた死んでしまうじゃろうてカッカッカ!」
「じーちゃん…せっかく会えたのに…また死んじゃうの?」
さっちゃんが珍しくしゅんとした表情を見せる…
「カカカ…まぁ、そうしょげるなさち公、あの時もう会えんと思っとったが…
こうしてまた会える機会が得られた…それでいいじゃろう?」
「仮初ってことは…まさか?」
「そう、若医院長…もう若ってのはいらんか…
医院長に頼まれて儂が引き受けた…そういう事じゃよ」
「奴に頼まれたって…」
嫌な予感がする…正直聞きたくない…そうだとしたら…
さっちゃんがかわいそうだと俺は思った…
「カッカッカ、なに、ここに来るであろう侵入者を排除してくれとな…
まさか、さち公とは思わなんだがな…」
肩をすくめるジェスチャーをするじーさん…本気なのか?
ぱぁぁぁん!!
「さて、久々に野球の組手と行こうか?さち公…」
両手を激しく叩き合わせ構えるじーさん…どう見ても野球じゃない…
むしろ野球の組手ってなにさ!
ぺちーん!!
「今度はボクがじーちゃんを野球であへあへ…じゃなかった、ひーひー言わせる
番だからね!」
じーさんに負けじと、小さなおしりを両手で叩き構えるさっちゃん…
…だけどさ?二人とも野球とか言って構えてるけど…
何でカンチョーの構えなのさ!!!
俺は心の中で全力で突っ込んだ…
プレイボール…なのか?