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進め!病院探検隊 -遭遇編-

帰宅時間が遅くなりまくって執筆時間ガガガ…おのれ台風…

【馬久瑠医院2階 中央付近】


「病院そのものだーだー…

 …て感じなんじゃないかなーとボクは思うんだーっえいやー!」


2階到着後ものすごい歓迎っぷりだった…

俺たちを出迎えた何十体ものゾンビ?…まぁ元町民かな?を蹴散らしながらさっちゃんは、

事件の真相っぽいことを話す…


「そんな感じかって…まるで見てきたような…もうそれ真実じゃね?」


「えーボク分かんなーい!とぉ!」


ふらっと襲い掛かる…もうゾンビでいいや…がさっちゃんのあぱかーで天井の染みとなる…

あれ、おかしいな?戦力にならないの俺だけ?

カッコよくさっちゃんを護りながら4階にあるという院長室を目指すはずが…

さっちゃんのあまりにも理不尽な暴力…いや、攻撃に運よく…とも言えないか…

取りこぼしでカサカサしているのを俺が粉…金属バットで丁寧に頭を潰していく…

俺なんかカッコ悪い?しょぼーんって気持ちになる…


「沢山いるとは思ってたけど…これはどうなのよ…」


廊下を埋め尽くす人!(ゾンビ)人!(ゾンビ)人!(ゾンビ)にいい加減うんざりしてくる。

畑を耕す様に止めを刺す作業にも慣れてしまったが…さっちゃんは元気だなぁ…


「さっちゃんあろーは地獄いきー!」


ぱちゅん!ぐちゃ!


「さっちゃんいやーは地獄いきー!」


ぼちゅん!どきゃ!


「さっちゃんびーむなら地獄いきー!」


ぱこーん!どてぽきぐしゃ!


ちなみに全部パンチ力だ…いいのかこんな展開と思いつつ、

廊下や病室から溢れ出てくるゾンビを倒し続ける俺たちの視界がようやく開けた…


「ふひぃ…やっと…終わったのか…疲れた…ぜえ…ぜえ…」


金属バットを杖代わりに周りの惨状を見る、2階は蛍光灯がいくつか点いており、

ある程度は見渡せるが…グロいな…かなりグロい…

まだ2階でこんなに…しかし変だな…うむう…


「にーちゃんどうしたの?」


「あ…いや、さっちゃんは汗ひとつかいてないなーと思ってね…」


ある違和感に思案しているとさっちゃんが心配そうに俺の顔を覗き込むので、

適当な返事をする…まぁ、本当に呼吸すら乱れてないからこっちも相当変だが…


「なになに?汗をかいたボクの玉の肌を隅から隅までぺろぺろしたかったの?

 でもざんねーん、野球をマスターしているボクには、

 この程度の運動汗をかくまでもないのであったー!」


「はいはい、野球スゴイネー!カッコイイネー…シビレルネー…」


ドヤ顔でセクシーポーズをするさっちゃんをよそにやはりおかしいと思う…

町の人間全員が消えたとなれば大規模な捜査が行われるだろう…

特にこの病院にこんなに死体があるという事は…まだ捜査が行われていない?

さっちゃんの話からだと昨日今日の話ではない…数日は経っているよな?


「にーちゃん、ほんとに大丈夫?汗かいてないけどボクの体ぺろぺろする?…にゃぁ!?」


「しません!…ふんとにもう…」


いそいそと服を脱ごうとするさっちゃんにチョップをかましそれを制止する…

まったくどこでそんな知識を…あーあそこか…

1階倉庫の漫画&雑誌の山を思い出し納得した…いや、確信した…


「なぁ、さっちゃん…さっちゃんはいつからここにいるんだ?」


そう、さっちゃんはやたらと色んなことを知っている…それにあの本の量…

ほんの数日で読み切れるとは思えないし…そもそもこんなに小さい子が

俺がここに巻き込まれるまでたった一人で?…いや、他にも迷い込んでる人がいるような事を…

それにあの理不尽な力は…


「ほへ?、ボク?…んーと…ひのふのみの…」


さっちゃんは指折り数え…両手で足りないとばかりに足だけで靴を脱いで素足になり、

座り込んで足の指で器用に指折り数える…すごいな…でも足の指でも足りなかったようだ…

あ、折り返しに気が付いたらしい、再び両手を広げきった辺りで再び止まる…


「このくらいかなー?」


30日?一か月もここで?…

それもおかしい…一か月もさっちゃんがここにいるってことは…

捜査も救助もなかったってことか?そんな馬鹿な事…


「警察とか救助隊とか…普通来るだろ…」


「ん?いっぱい来てたよ?」


「はい?でも、こんなにいっぱいの死体…」


「あーそれはねーエグエグと病院が一つになった時にびみょーに

 空間がズレてるみたいで、向こうからは何もないボロ病院にしか見えてないんじゃないかな?」


「じゃぁ…迷い込んだ人ってのは?」


気になる点を聞いてみる


「それはエグエグが病院になった時…あの子が小腹がすいた時に誘い込んだとかー

 たまたま逃げ込んだ人とかー病院の事を強く思ってて…

 波長が合ったらすぽって入れちゃうかな?

 あとは不用意に病院に入ったところをたまたまってかんじ?」


なるほど…警察の捜索隊も救助隊も何人かは迷い込んで来たらしいが…

魔法陣の悪魔に恐怖心をつまみ食いされてリリースされて夢だと思ってたり、

疲れて幻覚を見ただとか祟りだとかなんとかとされてしまったり…

最悪なのは病院に食われてゾンビの仲間入りという事もあるとか…


「病院が積極的に捕食を始めたら…そりゃぁ捜査も打ち切られるか…

 行方不明者多発とかリリースされても記憶混濁してるとか

 見えてないなら神隠し的な噂になるだろうし…

 人気のない心霊スポットの出来上がりって事か…」


「エグエグがエグエグになる前までは賑やかだったんだけどねー

 みんな食べられちゃったからねー」


ん?なんだろうこの違和感は…何かが引っかかる…


「さっちゃんの知り合いがいたとか?」


「んー…知り合いかー、んふふー!

 色々教えてくれた山田のじーちゃんとかかなー?」


さっちゃんが妙に楽しそうに話す…誰だ「山田のじーちゃん」って…


「ボクにいっぱい本を見せてくれたり色々教わったよー

 野球の組手とかーいっぱいしたっけー…

 このおよーふくもじーちゃんがくれたんだー!

 倉庫の本もじーちゃんが看護婦に見つかって没収されたタカラモノって言ってたし」


さっちゃんがカンチョーの構えで素振りをする…聞き流してはいけない単語もあったようだが…

思わぬところでさっちゃんの歪んだ知識の犯人の名前を知った…山田ぇ…

しかも洋服とか…さっちゃんの格好は大き目の赤い野球帽にだぶだぶのプリントシャツと

白の短パン…そして白のソックスとスニーカーだ…俗に言う、

”野球の応援に行くがきんちょスタイル”である…

髪が短かったら男の子だと思っただろう…確認したわけじゃないが…


「もうちょっと何とかならなかったもんかね…」


休憩を兼ねての雑談でも俺のもやもやは晴れない…

そうこうして3階へと続く階段の前についた俺たちの前に誰かがいた…

ゾンビか?いや違う…なぜなら…


「カッカッカ…相変わらず元気そうじゃな、さち公…」


「じーちゃん!?」


まさかの本人が階段の前に立っていた…

これがあの山田の爺さん?生存者?でも何でここに?


「にーちゃんあぶない!!」


さっちゃんの声に視線を爺さんから離した刹那…視界の隅の爺さんが消えた!?


「カカカ…遅いのぅ若造、先ずは一刺しじゃな…」


”ズン!!!”


「か、は…?」


俺の背後から声がしたと思った瞬間、すさまじい衝撃が俺を襲う!

何だ!?何が起こった!?


「にーちゃん!!!」


さっちゃんの悲鳴のような声が聞こえる…俺は…刺されたのか?

僅かに地面から俺の足が浮いているのが分かる…

ああ、きっとこの後、遅れて痛みが来るのだろう…そして血だまりに倒れるのか…


く、油断した…さっちゃんの知り合いかと思ったら…敵だったのか、俺死ぬのかな?

記憶がないから走馬灯と呼べるものはなく…まるで時間が止まったかのような…


そして時は動き出す…灼熱のごとき痛みと浮遊感を伴って…


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


俺の悲鳴が院内に響き渡る…


安西先生…構成力がほしいです…

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