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初めてのおつかい?-後編-

執筆のペース配分が上手くいかなくてひぃひぃ言ってます。オゥ

『SIDE:さっちゃんミッション中』




【馬久瑠医院1階 倉庫内】


「さぁ!やれ!」


『キュロロロロ!!』


”ズムン!!!”


「勝った……この後、心地いい悲鳴がして、

第一部・完!てな、大分てこずらせてくれたが……え?」


「どうした?ファイヴ!」


「オマエ……ナニヲシヨウトシタ?」


微睡から意識が戻ると、私は拘束されていた。

下級の蜘蛛型悪魔が私を捕らえている様だ。

もう一匹いるな?

こちらは長い口を使って、

私の体内に挿入しようとしていた様だ。

反射的にその口を尻尾で串刺しにしてやったが、

なぜ私がこの様なゴミに捕らわれている?


「な、尻尾?それにその角?」


ん?人間、魔術師の類か?

この血の匂い、どこかで……。

ああ、思い出した”マクリ”とか言っていたか?

それにしても、随分と魔素が薄いな。

凄く気だるい。


「デ?クモツハドウシタ、ニンゲン?」


”ブシュ!……キキキキ……キシュン!”


下級悪魔に突き刺していた尻尾を引き抜き、

拘束も細切れにしてから、地面に降り立つ。


「マホウジンスラ、ナイデハナイカ?ドウナッテイル?」


私は体の状態を知るために羽根を広げた。

へたり込んだ人間が、驚愕の眼で私を見ている。


「お、お前まさか、

お爺様が呼び出した……魔人か?」


どうやら同じ魔術師の血の味がしていても、

別の個体のようだ、魔力も弱い。

私が呼ばれてからどれ位経ったのか、

世代交代でもした様だ……。


「な、なんで魔人が、あんなチビに化けて!

だが、お爺様の呼び出したのなら、この俺に従え!」


「……」


「俺は、お前を呼び出した偉大なる魔術師!

魔繰大吉郎まくり・だいきちろうの孫、魔繰啓介まくり・けいすけだ!」


人間が手に持った何かを突き出し、

何かを喚いている、あれは?


「どうだ、この魔血玉まけつぎょくが召喚者の証!

俺に跪き忠誠を……」


”ピシュン!……ボリ……ゴリリ”


魔血玉は純粋な魔力を凝縮させたもの、

人間の手ごと切り落とし口に入れたが……。

不味い、それに質も悪い……なんだこれは?

純度も低すぎて腹の足しにもならない。


「え?あ?ええ!、うぎゃぁぁぁぁ!!」


魔術師としての、熟練度も低すぎるな。

足元で転げまわる人間を見下ろし、呆れ果てる。


「こ、こいつ、暴走してやがる!」


さっきからビクついてるのか、

ファイヴとモルテスは動かない……。


「何をしている!ファイヴ!モルテス!

こいつを殺せぇ!今ならまだ、2匹がかりなら!」


『キュロ!?キュロロ……』


『グロロ……グロォ!』


「この馬鹿悪魔!何、相談してやがる!

同時に飛び掛かればいいんだよ!

見ろ!体の大きさもあのチビと同じだし、

魔力が足りなくて、動きも鈍いだろうが!」


『キュロ……』


『グロロ……』


「そうだそうだ、

第一ここで俺が死んだら、お前らも……」


何だ?気だるくて動きたくない私の前で、

何の余興だ?ほう?私を倒すつもりか、

いいだろう、食ってやる。


『キュロ?』

『グロロ?』


私が隙だらけの下級悪魔共の間に入り、

首をもぎった……。


「な?」


両手に持った首を握り潰し、消滅させる。

手を広げると、小さな魔血玉が残っている。

私はそれを飲み込む……。


「マァ、ジュンビウンドウブンクライハアルカ……」


「お、俺の悪魔が……そんなに簡単に……」


人間が呆然とした顔で呟く、

弱すぎて話にならないというのに、

こんなのを従えていい気になっていたとは……。


「モルテェェェス!ファァァイヴゥ!!……合体だ!」


「ム?」


人間が、下級悪魔共の体に何かを埋め込んだようだ。

二つの悪魔の体が放電しながら融合していく……。


「ホウ、オモシロイコトヲカンガエル……」


放電が終わった後には小柄だが、

魔力がそれなりに上がった、悪魔が生まれていた。

人間の半身に蜘蛛の足のように広がるゾウの鼻……

見た目は残念だが、少しだけ食い出がありそうだ。


「ふはは、どうだ!これが禁断の呪法!」


「ナガイ、ハヤクシロ」


「く、……その名も!

”合体悪魔、モルテスファイヴ”だ!!!!!」


「ナンダト?」


「ふ!どうした、驚いたか!力だけなら魔人といえども……」


「バカナ……ナンノヒネリモナイ……」


私の中の何かが、ものすごく落胆するのが分かった。


「ぐぅ!ぬぅぅ!!だまれぇぇぇ!!!」


人間は小さな魔術書らしきものを捲り、叫んだ。


「喰らえ!超電気・號魔ちょうでんき・ごうま!!」


合体悪魔とやらの腹が裂け、

電気を纏った小型の悪魔が溢れる……。

それを次々と、ゾウの鼻で投げつけてきた。


「マソノムダズカイダナ、コッチハカマワンガ……」


小型の悪魔を、避けるまでもなく吸収していく。


「く、食いやがった、ならばその魔力を根こそぎ奪うまでよ!」


「ハァ……」


何か、面倒になってきた私がそこにいた、

私の中の何かもイライラしている様だ。


「今だ!転・喰剣てん・くうけん!!」


合体悪魔が、自らの胸に手を突き刺し、

一振りの剣の様な骨を取り出し飛び込んできた。


「ふはは、これは攻撃した相手の魔力を、

自分の魔力に転ずる魔剣!いくら魔人とて……」


流石にただでさえ少ない魔素は、失いたくないので躱す。


「どうした逃げの一方か?この腰抜けめ!」


イラ……、私と私の中の何かが、同調する感じがした。

合体悪魔が魔剣を振り上げ、飛び上がる……。


「喰らえ!転・喰剣、武威……へ?」


”ゴシュ!ブバ!ぐっちゃぁぁぁぁ……”


合体悪魔が空中で静止したところを、

距離を詰め胸板を貫き、心臓を握り潰す。

合体悪魔はそのままただの肉塊になった……。

魔血玉は手に入らなかった、あの本か?


「フン……マタツマラヌモノヲ……ム?」


私の体から力が抜けていく……。

魔素が低い中では、この姿を長く維持できないようだ。


「よくもよくも……だが、魔力を使い果たしたようだな!

これなら俺でも!!」


これはちと不味いか、

さっきの魔剣を持った人間が、

動くことのできない私に、襲い掛かってきた。


「もらったぁ!」


”バキィィ!”


「あれ?どこに消えやがった?」


転・喰剣は、床板を叩き割っただけだった。


「ちゃー……」


「な、どこだ!」


「しゅー……」


「上か!?」


「温玉乗せネギだく特盛どーーーーーーん!」


”どぐしゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!”


「下かぁぁぁぁぁ!!!!」


ボクの放った、溜めありの必殺カンチョーが、

おっちゃんを真っ二つに引き裂く!


「あーすっきりした、

しつこい便秘が解消したってこんな感じかな?」


首をこきこきと鳴らしたボクは、周りを見渡す。

大分しっちゃかめっちゃかになってる。


「ぎぃ!がぁ、ば、ばかな!」


「あ、まだ生きてる、しつこーい!」


上半身だけになってる、イラるおっちゃんを見つけた。

側にしゃがみこんで、つんつんしてみる。


「おっちゃんさー魔繰の人だったんだねー、

一体ここに何しに来たのさー!つんつん」


「や、やめろ!つんつんするな!

お爺様の遺産を……この俺が!ぐべ!」


なんかイラっとしたので、

今度は顔を踏みつけてみる。


「やっぱりかー、

あの時のびびって逃げ出した……。」


ボクは腕を組みうんうんと頷く。


「お爺様が逃げるわけないだろう!

思わぬ邪魔がぐべ、ぐべべ!」


「そんなのはどうでもいいのー、

タダでさえ、魔素……じゃなかった、

魔力が少ないんだから、こんなことされると

ボクが迷惑なんだよー!」


顔面をぐりぐりする。


「ボクの使う分がなくなったら、

どうするのさー!」


鼻の穴に足の親指を突っ込んで、

さらにぐりぐりしてやる。


「ぐび!貴様こそ、いでで!

魔人ともあろうものが……。

なぜ人間のガキの姿でしかも、丸出しでここにいるんだぁ!」


「ほえ?まるだし?」


改めてボクは、今の自分の格好を確認する。


「あ”------!!」


今のボクは、ほぼ、すっぽんぽんだった、

シャツも前部分が溶かされ、

袖部分と背中側が残っているだけだし、

片方残ってたスニーカーも半分溶けてる。


「え?嘘!」


慌てて頭を押さえると、帽子も無くなっていて、

小さな巻角が露になっていた。


慌てて周りを探すが、既に細切れになっていた。

ボクはその場にへたり込むと、ぽろぽろと涙を流す。


「じーちゃんに貰ったタカラモノが、

全部なくなっちゃったよぉぉ、ひっく、ぐす!」


「ひゃぁはははぁ!油断したな!

この借りは必ず返す!さらばだー、だー……」


イラつくおっちゃんの頭から、蟲の足がたくさん生えて、

カサカサとどこかへと走り去っていった。

そんなことよりも、ボクはタカラモノをすべて失った事が

重大だった……。


とぼとぼと簡易ベットに戻る、

お使いの段ボール箱は無事だった……。


「あったけど、じーちゃんになんて言おう……」


しっぽと羽根は隠せるけど、角だけは上手くいかない、

小さくするのが精いっぱいだ。

それを隠す帽子がないと、凄く心細い。


悪魔が死んだので部屋の気温は元に戻ったが、

肌寒く感じるのは裸のせいだけじゃないと思った。


とりあえず頭を隠すものを見つけ出し、

目的の段ボール箱を持ち上げる。

ちょっと大きくて前が見えないが、

ボクは構わず進みだす、じーちゃんたちがいる場所へ。














お使い編、何とか終了、さっちゃんすべての装備を失う……すっぽんぽん編開始なのか?それはないでしょう。

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