転生女王の真っ黒覇権2~魅了系召喚ハーレム勇者って絶対恨まれますよね~
転生王女の真っ黒シリーズpart3です。
相変わらず人の心に付けこみます。
どうも皆様。
私はとある国で女王になったシスティーナというものです。
いわゆる転生者でいろいろと見通す目を持っていまして。
最近頑張って帝国を手に入れることが出来ました。
これも私の日ごろの行いが良いおかげですね。
だって、牢屋に閉じ込められて追い詰められたヒロインちゃんを助けただけで帝国が手に入りましたからね。
おかげで、たまたま、帝国内でヒロインちゃんの身元引受人がいて。
たまたま、養女になって。
たまたま、帝王さんとその右腕さんに惚れられて。
たまたま、ヒロインちゃんを取り合いになって。
たまたま、右腕さんが帝王さんを暗殺して帝国が2つに分裂して。
そして、たまたま、帝国内のそこらかしこで反乱が起きて隙だらけの帝国に攻め入ることが出来ました。
おかげで簡単に帝国を手に入れることが出来ました。
あとは簡単なお仕事です。
有能で忠誠心のある方はその忠誠を私に向けて貰えるように一生懸命に話して。
無能で腐った人は排除するだけです。
まだ全体的な安定化はできていませんが、主要な部分は抑えれていますので大丈夫でしょう。
それに、帝国が手に入ったと言いましたが、別に帝国が滅亡したわけではございません。
私の国の領土として取り込まれたわけではありません。
ただ、トップに私の信者となった方を据えて私の思い道理にできるだけです。
下手に取り込んで私の国に対して周辺諸国が警戒して連合国でも作られると面倒ですからね。
え、実質的に私が帝国のトップならすぐにばれるのではないかって?
大丈夫です。
他国の諜報員さんたちが正しい情報を持って帰っていますから。
私にとって正しい情報をね。
ふふふ。
ー▽ー
さて、帝国は手に入りましたが、面倒な国はまだございます。
俗に公国と呼ばれている国ですね。
公国ですから統治をしているのは王様とかではなく貴族ですね。
国のトップという意味では変わらないのですが、この辺りが意外と面倒なんですよ。
細かい説明は割愛しますが、貴族故にある意味王様よりも野心が強いんですよね。
そして例にもれず現在公国のトップである大公さん。
野心が強くておまけに強欲です。
帝王さんが俺様イケメンなら大公さんは醜いおっさんですね。
まあ、何が言いたいかというと、大公さんは分不相応な夢を持つ野心家さんです。
帝王さんほど厄介ではありませんしぶっちゃけ無能です。
では、何が公国が厄介なのか。
公国は勇者を抱えているんですよね。
最近のことなのですが、世界を脅かす魔王が現れたんですよ。
まあ、あれは魔人の王様とか実はいい人とかの魔王じゃなくてこの世界の病気みたいなやつなので倒さないといけないやつなのですが。
まあ、もうすぐ死ぬ魔王の事はどうでもいいのです。
問題はその勇者です。
勇者というのは実はいろいろといるのですが、この勇者は召喚勇者と言われる類の勇者です。
ふむ、仮にも世界を救った勇者ですし呼び捨てはよくありませんね。
これからは勇者さんと呼びましょう。
で、その勇者さんなのですが。
なんと、異世界から召喚された勇者なんです!!
しかも日本から!!
ええ、私の同郷の方です。
出来ればお会いしたくありませんね。
いや、興味ははございますがアレはね。
コホン。
まあ、とにかく問題なのは勇者さんなのです。
何が問題なのかというと、その戦力ですね。
召喚勇者の定番としてやっぱり俺TEEEな感じの無双系の方です。
まあ、いくら強くとも所詮は人間ですのでいかようにしても勝てるのですが。
やっぱり犠牲は出てしまうのですよね。
それはあまりよろしくございません。
同じ元日本人なのでちゃんと話せばいいのではないかと思うかもしれませんが、何て言うかやはり勇者さんは召喚勇者なのです。
魔王討伐の旅の途中、ご都合主義のテンプレ展開が繰り広げられ、ハーレムが形成されました。
説明するのも面倒なので皆様で勝手にご想像ください。
今思ったことでだいたい合っています。
で、その勇者さんなのですが、クズです。
頭パッパラパーなクズです。
自分を主人公と勘違いした恥ずかしい人です。
確かに勇者なんて主人公の代名詞ですが、自分が主人公の自分のための世界と思うのはどうかと思います。
同じ元日本人として恥ずかしいものです。
ほんと、アホなんですかね?
で、この勇者さん。
何がクズなのかというと、魅了系勇者と言えばわかりやすいですかね。
効力自体はそこそこですが、強い隠ぺい性のある魅了系の能力を持っているのです。
もうお分かりかと思います。
そうです。
人の女を取っちゃっているのです。
酷いですねー。
取られた男性の方はもちろん、女性の方も悲惨です。
なんせ、魅了のせいで好きでもなかった勇者さんを好きと思わされているのですから。
そして勇者さんは性欲やら支配欲を満たしている訳ですね。
自分は主人公だから何をしても許される。
自分の思い通りにならない訳がないと。
いやー、クズですね。
気持ち悪いですね。
ほんと、人を能力で魅了なり洗脳なりするなんて人としての道徳性はないのでしょうか?
私?
なんのことでしょうか?
私はそんな力で強制的に洗脳何てしたことございませんよ。
ただ、私はお話をしただけですよ。
お話をね。
ふふふ。
さて、このクズな勇者さんですがそろそろ対処しないといけませんね。
勇者さんを背景に大公さんが各国に圧力を強めてきていますし。
魔王を倒すと余計に幅を利かせてくるでしょうしね。
といっても勇者さんには魔王を倒していただかないといけません。
一応私も勇者を保有しているので戦力的には問題はないのですが、彼はあまり使いたくありませんしね。
という事で勇者さん自体はしばらく放置です。
勇者さんはね。
周りから攻略していくとしましょう。
なんせ勇者さんに恨みがある人は五万といます。
例えば、勇者さんに婚約者を取られた方とか。
魅了から覚めた女性の方とかね。
ふふふ。
ー▽ー
とりあえずはとってもかわいそうな方を助けに行きましょうか。
その方とは公国の伯爵子息であるノートリアスさんです。
彼の婚約者であるセレステさんは魔導士として勇者パーティに入った結果、魅了されて取られてしまいました。
魅了の事を知らないノートリアスさんからすれば婚約者の突然の裏切りに大変ショックを受けてしまいました。
しかも、一度会った際にそれはそれはひどいことを言われてしまいました。
結果、ノートリアスさんは精神的に病んでしまいました。
まあ、それほどセレステさんの事を愛していたということですね。
だからこそ今まさに自殺しようとしているのですが。
「セレステ、なんで。僕はもう」
「もう生きている意味がないのですか?」
いけませんね自殺なんて。
ここは一人の人間としてなんとしてでも説得しなければなりません。
「あなたは」
「私のことなどどうでもいいのです。何故死のうとしているのですか?」
「......あなたには関係のない事でしょう」
「そうですね。ですが、本当に死ぬほどのことなのでしょうか?」
そう言うとノートリアスさんの目がカッと開く。
「あなたに! 何が分かる!」
「ええ、わかりますよ」
そうです。
私にはわかるのです。
「あなたが死のうとしている理由もわかります。だからこそ聞きます。セレステさんが勇者さんに洗脳されていてもあなたは死にますか?」
はい、終わりです。
死のうとしているなら生きる意味を与えてやればいいのです。
ノートリアスさんの場合セレステさんを取り戻せる可能性を聞けば必ず生きる意味を見出します。
そして、少し誘導すれば勇者さんを恨んでくれます。
とっても恨んでくれます。
セレステさんを取り戻すことができ、勇者さんに復讐する事が出来るプランを提示してあげれば簡単に乗ってくれました。
人って、愛する人のためと復讐のためならとっても力が出るんですよ。
きっと私の強力な手駒になってくれるでしょうね。
ふふふ。
さて、お次は勇者さんのハーレムメンバーですね。
ハーレムメンバーさんたちはそれはそれは勇者さんが大好きです。
勇者さんに出会うために生まれてきたと信じています。
しかし、それは魅了のせいです。
そして魅了は対処が実に簡単です。
解呪が得意な手駒を一人連れて行けば十分です。
という事でハーレムメンバーが一人の時を狙って近づきます。
最初はセレステさんですね。
「こんにちは。あなたを救って差し上げましょう」
そして、魅了の効果を解きます。
「あれ? アタシ、なんで? 違う、アタシ、アイツと、ノートリアスじゃない」
セレステさんは頭を抱えてうつろな目をしています。
「なんでなんでなんでなんで、ちがうちがうちがう。あ、ああ、あ、い、イヤァァァァァァァァァl!!」
おっと危ないですね。
まあ、仕方ありませんね。
魅了は解いても記憶は残ります。
愛している人がいるのに愛してもいない人と嬉しそうに交わった記憶は残ります。
そう、身に覚えはあるのです。
だけど信じられないのです。
セレステさんが愛しているのはノートリアスさんです。
なのにノートリアスさんをひどく拒絶して勇者さんを愛した。
そのことはしっかりと覚えています。
だからこそ発狂しそうになっているのですね。
魅了を解く前に人気のないところに転移して正解ですね。
しばらく暴れてたセレステさんは次第に落ち着きを見せ始め、目が虚ろで体は震え、爪を噛みながらぶつぶつと言っているという安全な状態になりました。
「セレステさん」
まあ、私が呼びかけても何の反応も見せませんが。
しかし、こんなのでも重要なことは意外と聞いているものです。
「勇者さんが憎くありませんか?」
そう言うと、セレステさんの震えがぴたりと止まります。
「あなたがこうなったのは勇者さんがあなたを洗脳したからです。だから、これは仕方のない事です。きっとノートリアスさんもセレステさんの事を許してくれます」
ノートリアスさんという希望を与えながら勇者さんへの憎悪を極限まで引き伸ばします。
意外と人間ってなんでもやるものですよ。
愛する人のためや復讐のためならば。
「さあ、ノートリアスさんと共に歩く未来を掴みましょう。その代わり私のお願いを聞いてくださいね」
そう言って手を差し伸べます。
これから一緒に頑張りましょうね。
ふふふ。
ー▽ー
そして、数日後。
勇者さんは魔王と戦っています。
今代の魔王はあまり強くはないのですが、魔王は魔王。
いい感じに勇者さんたちも苦戦をしています。
しかし、さすがは勇者。
苦戦するものの何とか魔王を倒すことができました。
「やったぞ。魔王を倒した!!」
勇者さんは勝利の雄たけびをあげます。
そうですよね。
魔王を倒した勇者は幸せに暮らすのですから。
勇者さんも、これからハーレムメンバーと共に幸せに暮らせるのですから。
「え?」
まあ、そんな未来は訪れませんが。
勇者さんはハーレムメンバー全員から刺されました。
それだけではございません。
ノートリアスさんや他の勇者さんを恨んでいる人たちが突然現れて勇者さんをなぶります。
魔王を倒した勇者さんにこれを逃れる術はありません。
しかし、なまじ勇者として頑丈なのでなかなか死ぬことも出来ないようです。
突然の裏切りと誰とも知らない人から本気の憎悪を向けられ、殴られ、蹴られ、刺される勇者さんは恐怖を味わいながら苦痛の果てに死にました。
死してなおもなぶられています。
あーあ、もう原型がないじゃないですか。
これはR18ですよ。
恨みは怖いですね。
私のせい?
そんなことありませんよ。
勇者さんの自業自得です。
私がしたのは、タイミングを見計らってから彼らに勇者さんを恨むように誘導しただけです。
ハーレムメンバーは魅了を解いて勇者さんに対する憎悪を植え付けてから魔王を倒した直後に復讐するように。
その他の方には勇者さんを殺した際の希望と憎悪を植え付けてから同じように。
そして、彼らを転移させてあげただけです。
結果、ハーレムメンバーは勇者さんへの憎悪をひた隠し、今まで通りに演じ続けました。
その他の方はひたすら刃を砥ぎ続けました。
すべては最後の瞬間のために。
これで彼らにとってのハッピーエンドが完成です。
そしてはハッピーエンドに導いた私を彼らはとっても感謝してくれています。
さて、ここからは女王としてのお仕事ですね。
彼らを味方につけ、公国に侵略します。
彼らは権力的に高位の人たちが多いですからね。
勇者さんもいませんし。
こちらにはヤンホモさんがいますから簡単なお仕事でした。
こんなに簡単なのも勇者さんのおかげですね。
勇者さんがハーレムなんて築いてくれたから、彼らを味方にすることができました。
なんせ、放置しているだけで勝手に有能な方々が追い詰められていましたからね。
追い詰められた人ほど味方にするのは簡単です。
ちょっと手助けするだけですごく感謝してくれますからね。
本当に勇者さんには感謝です。
ふふふ。
今回は結構難産でした。
誰か次のテーマを考えてください(笑)
登場人物紹介
システィーナ:主人公。暗躍暗躍ぅ!!
勇者:よくある頭パッパラパーな人。自分をこの世界の主人公と思い込んでいた。ハーレムを築いた結果、いろいろと恨みを買い殺される。
ノートリアス:NTRされた人。絶望のさなか、主人公に真相を知らされる。セレステさんとの関係は修復された。
セレステ:勇者に魅了された人。発狂しかけた時に主人公に手を差し伸べられた。そう誘導したのは主人公だが当然知らない。
ヤンホモさん:どうしても出したくて1回だけ出てきた。