65話 I LOVE YOUを伝えたら
今日は五話投稿です。これは六話目です(?)
すみません、予定変更です。この六話目で今日は終了とします。
「ぷっ、くはぁっ!!!くっそ、どうなってんだ!とにかく、上がってゆっくり休憩できそうな場所を探さないと・・・・」
少し砂浜から離れたところに、ベンチがあった。ずっと目を覚まさないシースさんが少し心配だったけど、心拍と息を確かめると、どちらも問題ないから、どうやら、眠っているようだ。
「ほっ・・・・良かった」
もし、息をしていなかったらどうしようかと思った。俺が、シースさんに好かれるために一か月間も手伝ってもらって、頑張ってきたのに、シースさんが死んでしまったら、元も子もない。二度と、俺は立ち直れなかっただろう。
「なんのつもりだ・・・・ナツキ」
「こほっ、ごほっ、げほっ!」
「あ、目、覚めた?」
「ゼルドさん?わ、私?」
「急に溺れちゃうからびっくりしたよ。足でもつったの?」
「私は―――――――――――――あ、あの髪の長い女の子――――――――海の底に――――――――」
「落ち着いて、ゆっくり深呼吸して。俺には見えなかったけど・・・・もしかしたら、気のせいなんじゃ」
「そうなのかな・・・・?」
「もしかしたら、そっちは気を失っていた時に見た夢なんじゃない?」
「そうかも・・・・しれないですね」
もちろん、あれは現実だ。だけど、知らない方がいいこともある。だから、これは夢だということにした方がいい。確かに正体はナツキだし、幽霊なんかじゃないけど・・・・。ああいうことは、事故で済ました方がいい。
「私、何時間寝てたのかな」
「大体・・・・三時間くらい?」
「三時間・・・・!?じゃあ、もう五時に・・・・?」
「まぁ、そうなるね」
「ああ・・・・」
「まぁ、そんなに気を落とすことはないんじゃない?」
「え?」
「時間はまだあるし、これは二泊三日なわけだし」
俺の言うことを聞いて、納得したようにぽんっと手をたたくシースさん。おお、何だそのしぐさ。可愛いな。
「あ・・・・海はやめた方が良いよね?」
「大丈夫ですよ?」
「へ?」
「へ?」
・・・・・・・・・・・・。怖いの苦手なんじゃなかったっけ?んーと・・・・ん?
「えと、怖いの苦手なんじゃ」
「ゼルドさんとなら大丈夫です」
「うぅん・・・・そうかぁ・・・・」
恥ずかしいことを簡単に言ってくれるね・・・・。頼りにしてくれていることはうれしいけど、本当に大丈夫なのかな?普通ならトラウマになりそうなレベルだと思うんだけど・・・・。
「ま、せっかく海に来たんだしね」
「そうですよ!せっかくですから、食べて、飲んで、遊んで、寝ましょう!」
「寝るんだ・・・・」
「もう寝たから、食べて飲んで遊ぶだけです!」
「じゃあ早速遊ぼうか!」
「ふぅ・・・・中々疲れたね」
「そう・・・・ですね」
中々、普段じゃ経験できないよな・・・・遊び疲れるなんて。それにしても、まさか本当に海が平気だったとは。あれからは、もちろん何も起こっていない。何て言うか、ちょっとしたハプニング以外は。シースさんの水着のひもが、外れかけてしまったのだ。まぁ、ポロリはしなかったけど。安心したよ。安心したけど、少し残念だったよ。分かるだろ、この気持ち。
「もう、外も暗いね」
「そうですね」
「お腹すいたし、ちょっと何か買ってくるよ」
「あ、焼きそばですか?」
「いんや、ラーメンにしとく」
「有難うございます」
「さて・・・・と。う・・・・くぁーっ!疲っかれたぁー!」
「お疲れ様」
「・・・・ナツキか」
「うん。どうやら、順調に行ってるようで良かったよ」
「それより、お前海の中でどういうつもりだよ?」
「ああ、そのことか。ごめんごめん」
「ごめんで済むわけないだろ。危うく・・・・」
「いや、本当に。小道具がこ」
「ナツキ!こんなところにいた!早く、こっち来なさい!修復終わってないんだから!」
「あ、ちょっまって!ゼルド!とにかく、成功を祈ってるから!はやく、彼女のところ戻ってやんな!」
「ったく・・・・何だったんだ」
結局、ナツキが何を言いかけたのかは分らず仕舞いだった。けど、なんとなく。・・・・ナツキの表情から、なんとなく、今は聞かない方がいいような気がした。なんでだろう?
「はい、ラーメン買ってきたよ。ついでに飲み物も」
「あ、有難うございます」
「もう、暗くて見えないね」
「そうですね」
「なんか、あれだね朝昼は青くてきれいな空が暗くなると、空が寂しいよね」
「でも、星も月もきれいですよ?」
「確かに。でも、なんかさみしくない?」
「そうですね。日中よりは静かで寂しいかもしれないですね」
俺は太陽が好きだ。日中ずっと空に輝いて、世界を照らしてくれている太陽が好きだ。だから、その太陽が隠れてしまう夜はあまり好きじゃない。月も星もきれいだけど、昼の方が好きだ。
「らーめん、早く食べないと麺のびちゃうよ?」
「そうですね」
「ずずずず・・・・ん?魔力の気配?」
ふと、感じる魔法発動の気配。だけど、別にこちらに向けられているわけではなさそうだ。不審に思い、顔を上げると――――――――
ひゅるるるるるるる~~~~~どん!
「わぁ」
「うぉ」
夜空に、大きな花が咲いた。
「これは・・・・」
「多分、予定表にあったサプライズってこのことですね」
「よ、予定表?」
「あ、読んでませんか?」
「あ、ああ。ちょっと忙しくてね」
「そういえば、ある女の子の為に頑張ってたって」
「あ――――――・・・・」
そういえば、聞かれてたんだっけか。釈明するのに骨が折れそうだなぁ。どう言い訳しようか。えーっと・・・・だめだ、全然おもいつかない。
ぴゅるるるるるるるるるるる~~~~~どどん!ぱらぱらぱら・・・・
「それは・・・・」
ひゅるるるるるぅ~~~~~~
面倒くさいなぁ。っていうか、別に釈明する必要なんてないんじゃないかな。俺は、今日まで何のために、今日、何をするために一か月間頑張ってきたんだっけ?それを考えれば、今とるべき行動なんて、自ずと見えてくるだろ。恐れるな、俺。自身を持て、俺。前へ、進め。
「月が・・・・月が、綺麗ですね――――――――」
「・・・・え?」
「ナツキが、ある国では男がある感情を持ってる人に対して、こういうんだって」
「・・・・ある感情ですか?」
「そう。」
「・・・・っ、どういう意味なのかって、聞いてもいいですか?」
「意味は・・・・」
ひゅるるるる・・・・
「君が――――――――だ」
ドォンッ
「え?」
「あーっと・・・・つまり、なんていうか。その・・・・」
「そんなに慌てなくて大丈夫です。ちゃんと、聞こえてます」
「つまり、何が言いたかったっていうとね?・・・・え?」
「私、それ知ってます。確か、私、死んでもいいわ・・・・」
死んでもいいわ・・・・って、なんていう意味だっけ?確か、ナツキに聞いたはず。あ~・・・・ほかにも色々聞いてたから、中々思い出せない。どんだけ遠回しの表現があるんだよ!たしか・・・・たしか・・・・たし・・・・か。
「え?なんて?」
「もう・・・何回も言わせないでください」
「え?ちょっ待っ・・・え?」
「ディアナから聞いてないの?私がゼルドさんを好きだってこと」
「え・・・・は・・・・。キミに好きな人がいるとは聞いてたけど・・・・」
「はぁ・・・。ディアナ・・・・またいたずらしたんだ」
「え?あのォ・・・・・・・・え?」
全然頭が回らない。今、何て言った?えと、確か私死んでもいいわって・・・・つまり、シースさんは俺の事が?んん?え、は?え、ディアナがなんだって?シースさんは俺の事が・・・・?
「だから、多分ディアナがゼルドさんの事を焚きつけたんですよ。どうせ、『シースには好きな男の子がいるんだってさ。まぁ頑張ってね』とでも言われたんでしょ?」
「なんでわかったんだ?一言一句違わないけど・・・・」
「これでも、ディアナとは長い付き合いだからね。大体、何を言うかくらいは想像つくよ。嘘はついてないし、って言い訳できるような言い方するってわかってるから」
「なるほど。俺、ナツキの言いそうなこと、何一つわからないんだけどなぁ」
「今、ナツキさんの話するとか。ゼルドさん・・・・」
「あ」
そうか。確か、シースさんはナツキに対してコンプレックスがあるんだっけ?美人だから緊張するとか、美人は怖いとかなんとか。
「まぁでも、今日の無理にカッコつけたゼルドさんもかっこよかったけど、こっちの素のゼルドさんの方が、私は好きです」
「俺には・・・・勿体なすぎるよ」
「そんなことないですよ。それとも、私の観察眼に狂いがあるとでも?」
「確かに、狂いはなさそうだね」
「・・・・月が綺麗ですね」
「私、死んでもいいわ」
「・・・・ふふっ、ゼルドさん、そのセリフ、満面の笑みでいう言葉じゃないと思います!」
「そうかなぁ?俺は、幸せな時なんだから笑えばいいと思うよ!でも」
「でも?」
「死んでほしくないな。シースさんには」
「ゼルドさん・・・・」
「シースさん・・・・」
「あ、麺が伸び」
「そんなの、今はどうでもいい」
「あ・・・・」
ヒュルル・・・・ドドン!ドン!
後に、ゼルドは語ったという。『キスの味って何味だと思う?やっぱり、性格が現れるんだなぁ。シースのキスは最高に甘かった・・・・ZE☆』嫉妬・・・・いや、単純にゼルドが心配だった私は、舌くるってんじゃないの。と、幻覚を見ているであろうゼルドの頬を思い切りひっぱたくのであった。嫉妬じゃないから。




