62話 心理的恋愛推測と理想的恋愛動作
今日は五話投稿です。これは三話目です
~ゼルド視点~
一分間だけ待ってから並べか。まぁ、ナツキが言う事なんだし、突拍子も無いことじゃなくて、理由があることなんだろう。じゃあ、やるしかないよな。
「一分......そろそろ並ぶか」
ナツキに言われてから、丁度60秒。数えてる途中で馬鹿馬鹿しくなったの秘密だ。ともかく、六十秒経過したので、長い列に並びにいく。
「うぐっ!ちょ、苦しっ!」
何をそんなに急いでるのか、周りの乗客が我先にと押し進んでいく。もちろん、後ろの方にいる人も同じような考えの様で、押してくる人たちの前にいる俺は、とっても苦しい。手が出かけたくらいだから、間違いないだろう。暴力反対。
「ふう。ようやく飛空船に入れた。さて、俺が座るべき座席は......23-Cか。うわ、奥の方じゃん」
俺が座るべき座席は、奥の方。確かに、これじゃあどこでもいいからさっさと座りたくなる気持ちもわかる。この馬鹿みたいに多い人の道をかき分けて座席を探すんだから。実際、暗黙の了解になってし待っているところを見ると、そう考える人は多いんだろう。
「くっ......!ちょっ!すみまっせん!......ふぅ」
「ゼルドくん?」
人の道を優しくかき分けていくと、ようやく俺が座るべき座席、23-C......シースの隣の席の元に、たどり着く。ナツキのヤツ、気が利いてるな。俺の為に、ここまで頑張ってくれるなんて。こうなったら、意地でも幸せになって、ナツキの期待に応えてやらないとな!
「はぁっ......はぁっ......ふぅ」
「あ、あれ?おかしいな?ここ、ディアナがとるって言ってたはずなんだけど」
「ディアナさんって、サキュバスの......?」
「あ、う、うん」
「ここ、眺めが良いらしいから、チケット変わってもらったんだーなんて」
「ええ?」
「......だめ、かな?」
「......いいけど」
シースさんの顔は若干赤くなってて、まんざらではないようにも見える。......じつは、怒ってるだけかもしれないけど。
「じゃ、隣の席座っても良いかな」
「ど、どうぞ」
よーっし!第一段階クリアー!
~シース視点~
ゼルドくん、女の子の為に一か月間も頑張ってたって言ってたな......誰なんだろう?ナツキさん?ミルアーデさん?ディアナ?それとも、リーナベルド教官?全員、私よりも綺麗だから、勝てないよ。はぁ......泣きそう。
「はぁっ......はぁっ......ふぅ」
ゼルドくん?なんでここに?一か月間女の子のために頑張ったなら、その子の隣に座りたいんじゃないのかな?
「あ、あれ?おかしいな?ここ、ディアナがとるって言ってたはずなんだけど」
「ディアナさんって、サキュバスの......?」
「あ、う、うん」
「ここ、眺めが良いらしいから、チケット変わってもらったんだーなんて」
眺めが良いから?そんな、周りの席と変わるかな?そもそも、ゼルドくん通路側だし......
「ええ?」
「......だめ、かな?」
「......いいけど」
こんな、息も荒くなって、汗もかいて。景色の為にそこまでするかな?それに、そこまで景色が変わるとは思えないし......。もしかして、私の隣に座りたいから?私の隣に座るために、こんな疲れるまで頑張ってくれた?
「じゃ、隣座っても良いかな?」
「ど、どうぞ」
なんだろう。顔が熱い。耳元で鼓動がうるさい。これは、私の鼓動なのかな?それとも......隣にいる、ゼルド君の......?
「あの顔を見れただけでも、チケットを譲った甲斐があったわー」
ディアナの声が、遠くから聞こえる。私の表情を見て、誰かと一緒に談笑してるみたい。楽しそうな笑い声が聞こえる。私の顔、そんなにおかしいかな?もしかして、今恥ずかしさか嬉しさで変な顔になってる?
「ナツキは、ゼルドのことが好きなのかと思ってたー」
え......。ディアナ、何言ってるの?......ナツキさんは、ゼルドくんのことが好き?それ、私に勝ち目ないじゃん。ナツキさんも、ディアナの言葉に何か反応してる。照れ隠しかな?でも、何かを自信満々に言ってるし......だめだよ。かてないよ......
う~ん。赤くなったり嬉しそうになったり悲しそうになったり、忙しいね、シースは。一体、何を考えればそんな表情が変化するんだろう?感受性が豊かなのかな?
「どうしたの、ナツキ」
「うん?う~ん。シースの表情、さっきと違ってるみたいなんだけど」
「あ、本当だ~。う~ん、でもねぇ。私も、よくは解らないけど、考え過ぎちゃうのよねぇ。それのせいで、練習試合で裏の裏を考えて逆にやられちゃうとかあるし......」
なにそれ。裏の裏をよんで攻撃喰らっちゃうって、本末転倒じゃん。しかし、かわいい。なんだか、かわいい。どうせ、あれでしょ?
『さっきはここでフェイントを入れてきたから、同じタイミングで同じフェイントを入れてこないはず。じゃあ、これはさらにフェイントだ!』
ビシッ!
『あう~』
”あう~”とか言っちゃうんでしょ!?!?!?くぅ~、可愛いぜ、ちくしょう!もう、なんだかね。なんていうか、保護欲を煽られるよね。保護しちゃいたい。
「シース、やっぱりかわいいな」
「でしょー?私のお気に入りだからねー」
「なんか、ゼルドに渡すのが惜しくなってきたかも」
「ナツキにはあげないからねー?」
「なんで!」
「だって、あれだけ仲いい男子と何もないなんて、もしかしたらーって」
「な、何を言ってんの!」
元々女子じゃないから、否定するのが難しい。だって、今男の人に恋愛感情があるかって言ったら全くないからね。ちょっとドキッとすることはあるけど。それは、正常な反応でしょ?びっくりしてるだけだもん。うん。
「そんなわけないじゃん。私もちゃんと......」
「ちゃんと?」
ここで嘘をついても良いんだろうか?私はいつか、自分の正体を明かすつもりだ。でも、その時何と言われるだろうか?罵倒される?信頼を失う?いま、そういうマジメなテンションで聞いているのではないという事は理解できる。でも、ここで嘘をついちゃいけない。そんな気がする
「私は女の子が好きかもしれない」
「え‟」
「あはっ」
「何言ってるの、ナツキ!?」
「あははっ、ナツキ面白いねー」
「もう、自分に正直になろうかな、なんて」
「あっはっはっは!ナツキ、あんた面白いわー!」
「もう、よしてよ......」
ミルアは、恥ずかしそうに頬を染めると、呆れたようにため息をつく。船内で大きな笑い声をあげたディアナに視線が集中したからだろう。そうこうしてるうちに、海が近づいてきたみたいだ。空路は陸路に比べて恐ろしいほどに速度が出るからね。最近速度が急に上がったなんて話を聞くけど、話によると、魔力効率のいいクリスタルピールを新しく装備したらしい。ギルデオン商会は提供を拒んでいたら死んだけど、一体どこの商会が提供したんだろうね?ふふふ。
「あ、もうそろそろ到着するみたいだね」
「本当だ」
「ふぅ。シース以外と話してこんなに笑ったのは、ひさしぶりだよー」
「いいことじゃん。ほら、もう少しで着陸だよ」
私の言葉通り、飛空船が着陸に向けて降下していく。
「ふぁ....」
「ナツキ、なんだか眠そうねー」
「まぁね。やっぱり、特に動きのない飛空船内だと眠くなっちゃうよね。馬車と違って特に揺れたりしないし」
「もっと色々なところに行ってくれればいいのに」
「まだ開発されてから十年たってないんだし、色々大変なんじゃない?」
「あ、ドアが開いた。ゆっくり降りよっか」
「そうだね」
「さーんせい」




