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53話 夏だ!海だ!恋愛だ!よっしゃぁぁぁぁぁ!!!

恋愛って素晴らしいものですよね。これまでの自分と向き合い、これからの自分を変えることになるかもしれない経験......いわば、人生のおおきなターニングポイントになりうると思うんです。





「まず、知識をひけらかす前にやっておかなければならないことがある。ゼルド君、なんだかわかるかね?」

「ハイッ!」

「いい返事だ」

「まず、その人にお近づきにならなければなりません!」

「そうだね。だけど、知識をひけらかすには前提条件として、自分がその知識について詳しく知っておくことが求められる。上辺だけだと、質問されたときにしどろもどろになってしまうかもしれないからね」

「なるほど......」


私の言ったことを、すかさずメモするゼルド。そのまなざしは真剣そのもので、ふざけようとは一切思ってないということがうかがえる。しかし、人とは不思議な生き物で、ダメと言われればやりたく、笑ってはいけない雰囲気では、なぜか笑いたく、笑わせたくなってしまう生き物なのだ。


「ふむ......訓練とは違って、熱心なものなのだな、ゼルド」

「ふぇっ!?そ、そうですか?自分的には、どちらも真剣に取り組んでいるつもりなんですけど......」

「ぶくっ!」

「どうしたの、ナツキ?」

「い、いや、ゼルドのヤツ、あれで訓練もまじめにやってるつもりなのかと思うとおかしくなってきちゃって......。ゼルドのヤツ、『今月だけで何枚反省文書かされたか覚えてない』って言ってたのに......」

「た、確かにそれはおかしな言い草かも......」

「ほう。自分が何枚反省文を書かされたか、覚えていないと」

「い、いや。それはですね」


急な友の裏切りに戸惑いを隠せないゼルド。ふ。この程度で慌てているようなら、恋愛なんてまだまだだな、ゼルドよ。まぁ、全く関係なくただからからかいたかっただけだけど。


「なんだ。理由があるなら言ってみろ」

「あ、そうだ。あまりにも充実した訓練内容で、他の記憶が抜け落ちまして。訓練内容が充実したあまり、集中しすぎたのかもしれません」

「ふむ」

「ほっ。助かっt」

「つまりは、『僕のせいじゃない!全部訓練のせいだもん!』と、言いたいわけだ」

「「ぶふっ!?」」

「い、いえ、決してそんなつもりは」


急なだもんのせいで、吹き出しちゃった。こういう笑っちゃいけない雰囲気の時って、どうしても笑いが込み上げてくる時があるんだよね。本当、困っちゃう。でも、怒られてる最中の本人としては、全く笑えるものではない。ちょっと涙の浮かんだ目は、こちらをキッと睨みつけると、すぐうつむく。


「まぁ、良くある話だ。訓練に身が入らないのも、反省文の枚数を覚えていないのも。私も、若いときはそんなもんだった」

「若い時って、リーナ私たちと都市同じくらいじゃん」

「だが、やはり年を取ると若いときは蛇足だと思っていたことにも、ちゃんと必要性や意味や理由があるのだという事を感じることができた。それと同時に、もっと若いときにそれに気づくことが出来たら、もっと違ったんじゃないかと思ってな。だから、私はお前たちに気付いてほしいのだ」


良い話だ。少し、涙腺が緩んだくらい、いい話だ。この際、リーナは若いという事実は置いておいてもいいくらいのいい話だ。だけど。だけど、この話は何処から来たのかを思い出すと、どうしても勝ってしまう。どうしても、こみ上げてくる笑いが勝ってしまうんだ。


「ぶふんっ!」

「ナツキ、さっきからどういうつもりだ!こっちは真剣に話を聞いてるって言うのに......お前ってやつは!」

「何で私だけに言うのさ。ミルアだって、笑いをこらえるのに必死じゃん」

「え、私!?まぁ、事実なんだけど」

「認めるんかい!大体、意見を聞くとか何とか言って、ずっとお喋りしてるだけじゃん!飛空船代分の価値はあるんだろうな!?」

「まだ、役目が来てないだけだよ」

「で、何でさっきから笑ってんだよ?」


いかにも不機嫌、不愉快だという風に表情をゆがめ、私たちに問いかけてくるゼルド。


「いや、健気だなぁっておもってさ」

「そうだよねぇ」

「は?」


何を言ってるかサッパリ分からないと言いたげに、首をかしげる。......ここまで言っても分からないか。


「好きな子を振り向かせようと、ここまで必死になれるなんて、青春してるじゃないか」

「しかも、それがもとで感動できる話にそれると、何て言うか......」

「「元がそういう話から始まったゆえに面白い」」

「......な!?」


本人はとってもまじめに考えて、頑張ってるんだなぁ......って言うのは解る。だけど、やっぱり好きな子に振り向いてほしいっていうと『こいつも可愛いこと言うじゃない』とおもってしまう。ほほえましいを通り越して、爆笑したくなってくる。いや、まじめな話って言うのは解る。だけど、テンションが上がってしまうのだ。本人も、自分の真剣さが恥ずかしくなったのか、顔を真っ赤にしている。


「いや、恥じることじゃないんだよ?自分の一生にかかわってくるから、真剣に悩むべきなんだろうけど......」

「すごく面白い」

「それ!」

「こ、こいつらはぁ......!」

「大体、こういうことって女の子に相談すべきことじゃないと思うんだけど......」

「お前が連れてきたんだろうが!」


だって、どうしてもついてきたいって言うんだもの。いつもお世話になってる二人に言われたら、連れて行かざるを得ないよね。


「だって......ねぇ?」

「ねぇ?」

「ねぇじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!」

「なんだ。私たちでは役不足か?」


悲しそうな顔で、ゼルドを見つめるリーナ。


「うっ。い、いや、そんなことはありませんけど」

「じゃあ、何でそんなに私たちを邪魔者扱いするんだ?なんか、悲しいな」

「ゼルド......あんた、最低ね。七日前のナツキの家のことと言い、もう、男って。はぁ」

「ち、違うから!ナツキが相談すべきじゃないって言ったからだから!ミルアーデさんもなんで俺をそんな疑ってるの!?っていうか、七日前のことはナツキから聞いたんでしょ!?」

「ちっ。ノリが悪い」

「ダメだしされた!?罵られた上にダメだしされた!?なんか一瞬新しい扉が開きそうになった!」


新しい扉が開きそうになったって。漫画とかアニメとかラノベとかでは結構言ってるキャラ居るけど、それ実際に行ったらただのヤバい奴だから。しかも、ほぼ初顔合わせな人の前で。たぶん、良かった評価が改められて、また悪い評価になっただろうね。罵られて興奮するって......ないわ。


「まぁまぁ、ゼルド。女子は三度の飯より恋バナが好きって言うでしょ?だったら、恋の話をたっくさんきく女子に手を貸してもらうって言うのも悪くないんじゃないのか?」

「いや、お前が否定するから」

「私はただ、私たち女子(・・・・・)に相談すべきじゃないって言ったの。グレンダにでも頼めばよかったのに」

「グレンか?たしかに、あいつ恋愛経験豊富そうだからなぁ」


確かに。と、納得したような表情で手をポンと叩く。いや。なら、そいつ頼れよ!なんで、堂々と頼れない私を頼るんだよ!ワタシ、イマオンナ。モトモトオトコ。


「だったら、なんでグレンダに頼まなかったのよ......」

「いや、ミルアさんには分んないと思うけど、アイツの周り近寄りがたいんだよ。常に、女子を隣に連れてて、グレンと話してると、女子が睨んでくんの」

「ええ?」

「あ~、それね?わたし、グレンダの周りに居る女子に聞いたことあるんだけど『私とグレンくんの邪魔をするから』とかなんとか」

「はっ。なにそれ。バカっぽいわ」

「ど、どしたのミルア」

「いや、個人を『私だけのもの!』って。人は誰のものでもない!人の人生勝手に決めてんじゃないわよ!」


あ~。ミルアは結婚相手を自由に決めたいが為に騎士になろうと決意したからね。たぶん、そういう他人を束縛する人のことは嫌いなんだろうなぁ。騎士で高い位につけば、立場も大きくなって、発言権やら決定権とかの権力も大きくなるからね。よくわからんけど。でも、立場が大きくなって貴族とかと関わるようになってきたら、そんな嫌いとか言ってられなくなるんじゃ。キライ!とか、貴族とは関わりたくないとか言うんなら、もう、ゴリゴリに強い武官になるしかないんじゃ。




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