表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/66

52話 ありきたりだけど、良い所を見せて惚れさせちゃおう作戦!

青春っていいですよね。みなさんは、納得できるような甘酸っぱい青春を過ごせましたか?




「なぁナツキ。海行こうぜ」

「海?海って言ったって昨日雨降ったせいで肌寒いじゃん」

「バカ言え。時期的にはもう夏なんだよ。つまりは、どんなに寒くても海に行かなければならないって事なんだよ。」

「意味わかんないよ。もうなんか慣れちゃって、ツッコミにもキレがなくなっっちゃったよ」


何の脈絡もなしにそういうこと言われると、テンションがさぁ。ほら、ツッコミにもノリとかテンションってあるじゃん?そういうのを考慮してくれないと、困るわけよ。急にえ、どこから突っ込めばいいのそれ的なボケをかまされても、ねぇ?


「せっかくの休日に急に家に押しかけてきて、訳が分からないことを言ってることに凄く怒りを覚えているかもしれない。だけどよ、ナツキ。実はな、これには深いふかーい理由があるんだ。」

「深い理由?......せっかくの休日に押しかけた挙句、くだらないことを言ったら金〇潰すよ」

「おおぅ。急にハードル上げたね。......俺はな、ある女性に対して懸想を抱いているんだよ。」

「懸想?ああ、好きってことね。それで?」


またくだらない話かと思ったら、思いもよらず面白そうな話になりそうだ。私は今、初めてゼルドに期待してるかもしれない。こう見えて、私はコイバナが大好きなのだ。やっぱ知り合いのそういう話ってワクワクするよね。ラブコメも好き。胸がキュンキュンして、気分が高揚する。


「目の色が変わったな。......お前、面白がってんだろ」

「一体な~にを言ってるのかね、きみわぁ!まったく、楽しんでるわけないでしょーう!?」

「声が弾んでいらっしゃる!?......ナツキ、今のお前、どこからどう見ても楽しんでる表情してるぞ......!」

「どうでもいいから続きはよ」

「......。でな、今度訓練生全員で慰安旅行で海に行くじゃんよ?そこで素晴らしい泳ぎと知識などをもって、惚れさせちゃいたいってワケよ」

「で?惚れてもらってどうするつもりなの」

「え。どうするって、そりゃぁ......告白されたいなぁ。なんて」

「お前......この軟弱ものめがぁ!!!」


グボォッ!!!!ゼルドの腹に本気の拳がめり込む。いくら女になったと言っても、ダークエルフ35レベルの本気パンチだ。同じレベルくらいのゼルドは、ひとたまりもないだろう。


「ぶへぇっ!?あにすんだよこの野郎!」

「見損なったぞゼルド!お前、そんな腑抜けだったとはなぁ......告白されたいだなんて言ってる男は、夢見てる奴だけだ。そう言って全く目もやられず、相手に知られることも無く終わった(・・・・)ヤツを知っている。というか、たくさん知っている。男は誰しもが告白されたいなぁと思うんだが、そんなケースは中々ない。だが......」

「だが......?」

「言った通り、男なら誰しもが思ったことがある。だから、お前の気持ちは良ーくわかる」


って言っても、普通に告白されることは多かったんだけどね。でも、それの殆どが【イケメンだから】だとか、【ブランドになるから】だとか。......【お金を持ってるから】だとか。純粋に好きだと思ってる人は少なかった。というか、ほとんどいなかった。俺は、【僕】だったころ、あの人の顔色をうかがうために、ある程度のことを表情から読み取ることができた。とても微妙にしかわからないんだけど、質問することによって......YesかNoに絞ることによって、本当か嘘か見破ることができる。例えば......


『○○って、本当なの?』


ってな具合に。それほど違和感ないでしょ?え?違和感だらけ?まぁまぁ。ってことで、この能力と私の今の性別をもってすれば、百パーセントと言っていいほど正確に心の内を暴くことが出来るってワケよ!


「だからこそ、その幻想を手伝ってあげたいと思ってる」

「え?」

「これは、男なら誰しもが一度は思う夢なんだ。だからこそ、お前には夢をかなえて幸せになってほしいんだ」

「ナツキ......お前」

「私なら、心の内をある程度まで見透かすことができる。それを利用して、ゼルドが想いを抱いている女性の好みの状況、演出......等々を暴き、実行する。名付けて『心の内をすべて把握して心も掴んじゃうぞ作戦!!!』」


自然にシースに近づいて、色々暴いてやる。あと、シースの傍にいる......なんて言ったっけ?あのサキュバス。えーと......たしか、ディアナだっけ?そう、たぶんそうだ。ディアナにも近づいて、情報を吸い取ってやる。場合によっては、事情を話して協力してもらうって事も考えないと。


「お前、何でそこまで」

「ばか。言ったろ?お前は無二の親友だ。単純に幸せになってほしいんだよ」

「ナヅギぃ......」

「泣くなよ。この程度、親友なら当然のことだろ?」

「ナツキぃ......お前のこと今まで周りに迷惑しかふりまかないふざけた女装野郎だと思ってたけど、それは間違いだったよ!お前は最高の親友だ!」


お前、今までそんな風に思ってやがったのか......と、言いたいところだけど。せっかく泣いて喜んでいるんだし、ここは黙っておきましょう。......あとで泣くまでボコシテ殺る。リーナに協力してもらって、もう一度性格調整教室を開いてもらおうかな。今度は、飛び降りじゃなく、自爆のケースなんていいかもしれないかも。


「やるからには全力だよ。相当つらいものになると思うけど、音を上げないでね?」

「当たり前だ!協力してもらうんだから、文句は言わねえ!どんなに辛いことでもやってやるぜ!」

「と、言うことで依頼料を......」

「え」

「依頼料を......」

「お金取るの?」

「依頼料を......」

「くっそぉ......」

「依頼(以下略」

「解ったよ払えばいいんだろ払えばぁ!!!」






「と、言うことで」

「と、言うことで。じゃねー!ふざけやがって!」

「少しのお金で一生の幸せが買えるんだよ?どこに不満があるっていうの」

「そうだぞ。ゼルド、お前最近たるんでるぞ。訓練も、適当に流すし」


気温も暑くなってきたからねーと、どうでもいいことを考えながら、リーナの話を聞き流す。


「ナツキの一か月分の食費だっけ?変身の効果なのか、お前めちゃくちゃメシ食うじゃん!フザケンナよ!食費だけでとんでもなく金がかかるんだよ!っていうかなんでさりげなく教官とミルアさんまで付いてきてんスか!しかも全額俺持ち!?おかしくね!?ミルアーデさんはともかく、教官は普通に払えるでしょって言うかはした金でしょ!」


「仕方ないでしょ。変身って、体力を使うんだよ。それで、体力回復をするためか知んないんだけど、めちゃめちゃお腹すくんだよ。それに、二人を連れてきたのは、女性視点での意見がもう少し欲しいなーって思ったからだから。ってなワケ」


ミルアに聞こえないように、耳打ちでコソコソと話をする、俺たち。確かに、食費の高さには俺も参ってる。だけど、体組織を遺伝子から作り直すわけだから、体力を結構使う。だから、栄養が必要。その分食費がかさんで、今お金がないってワケ。だからこの機会にゼルドにたか......報酬をいただく。うん。決して、私腹を肥やすわけではなく、タダで教えてもらうというゼルドの後ろめたさを軽減するために、その......そういうわけだね。うん。


「あ、ゴチになります~」

「くるしゅうない。力を抜いても良いぞ」

「ミルアーデさんはともかく、なんで教官はそんな偉そうなの!?」


ミルアとリーナの分の飛空船代は申し訳ないとは思う。私も連れて行くつもりはなかったんだけど......『え、ゼルドとそんな面白そうなこと考えてるの?私も行きたい!』『訓練中に何を面白そうな話をしている?......わたしも、もちろん行って構わないよな?構わないよな?な?』とか言われたら、連れて行かざるを得ないでしょ!


「ってなわけ。じゃ、ねーんだよ!もうお金ないの!四人分も出せないの!」

「うるさいなー。契約内容を確認しなかったゼルドが悪い」

「契約内容ってなんだよ!んなこと一言も言われてねーだろうが!」

「『相当つらいものになるけど、音を上げないでね?』」

「金銭的な意味だったの!?めちゃくちゃじゃねーか!っつーか帰りどうするんだよ!?行きの魔導飛空艇で金使い果たしたぞ!?」

「ナツキも鬼畜なことするわね」


思わず冷や汗を流すミルア。そんな、鬼畜だなんて人聞きの悪い。こっちはただの親切心で行ってることですから。へっへっへ。


「だいじょーぶだいじょーぶ。適当に地面の下から鉱石取り出して売ってあげればお金になるでしょ。それに、これはゼルドのことを思ってしてることだから。全然鬼畜じゃない」

「もう!鬼畜じゃないなら何だってんだよ!」

「う~ん、親切(ボランティア)?」

「考え方が鬼畜だ!......だいたい、むやみやたらに鉱山資源を荒らしまくっても平気なのか?ここら一体での採掘権とか持ってないんだろ?」

「それは仕方ないでしょ。大丈夫。人が手を付けてない場所をごっそり持ってくから。大体、この世界の鉱物に対する常識って言うのがねぇ......間違ってるんだよね」


くっくっく。と、声を立てて笑う私。この世界の住人は、鉱山にしか資源がないと思っているらしい。くっくっく。甘いんだよ。資源は、鉱山だけでなく、地面の下にも、海底の下にも、川の下だってあらゆる場所から取得することができる。


「おおう......悪役っぽい笑い方だな。そっくり似合ってるぜ」

「そういうこと言わないでよ!」


まぁでも、悪役といっても間違いではないか。この常識を共有するではなくて独占しようとしてるんだからね。私が生きている間はこの事実は発見されるべきじゃないだろうなぁ。自然と常識になっていくようじゃないと、急に表に出てきた事実について行ける体制が整わないと。


「ふふ。これからもっとあくどいことするんだからねェ......げへへへ」

「お前って本当に悪役が似合ってるよなぁ」

「ゼルドの方こそいたずらを考えてるときの顔、めちゃめちゃ悪人面だよ?」

「それは否定できない」

「否定しないの......まぁ、そんなことはどうでもいい。今は前を見て進む時!みなさい、目の前に広がる景色を!この大海原を!」

「急だな......」

「次ここに来るときは、慰安旅行の時!つまり、作戦当日と言うワケだ!作戦当日、失敗しないためにも!ここで様々な予定や作戦を練り、完璧なものへと仕上げなくてはならない!」

「せっかく高い食費を払うっつーんだ!こうなったらとことんやってやんぜ!」


「「「「おおー!」」」」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ