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48話 他人を騙して、自分を騙して、涙を流して。

今回のサブタイセンス良いでしょ。ない?ない、か



本編参りましょう





「ほ、本当ですか!?」

「は、はい。訓練生だからまだルーン文字は習ってませんけど、少し勉強すれば」

「ああ、これからはあのクソ長い行列に悩まなくて済むんですね......!でも、ルーン文字はかなり難しいんですけど......大丈夫ですか?」

「え‶」

「まさか、ナツキ簡単だと思ってたの......?」


だって、ゲームとかだと簡単にやってるじゃん!アニメとか漫画とか小説とかだと、もっと簡単に、新しいルーンの発見とかしちゃってるじゃん!思っちゃうでしょ、簡単そうだって!


「ま、まぁ、私にかかればその位なんのそのですよ!」

「本当に任せても大丈夫なんだろうな......?」

「任せてください!鑑定スキルもちを舐めないでください」

「......ナツキ、鑑定スキル持ってたんだ」

「二か月間ずっと狙ってたんだけど、つい先週ようやく手に入れたの」


実は、この鑑定スキル、先週から寝てる時以外ずっと使いっぱなしだったりする。でも、手に入れてからは結構早くスキルポイントが上がったね。レベルも、もう二十になる。


「そうか。それなら、安心できるかもな。で、いいのか?」

「ええ。水晶は余ってるものがあるから、すぐに用意できると思うわ」

「有難うございます!」

「良いんですよ。私は、ギルドマスターですからね」

「ギルドマスター!急に執務室を出て行って!何処に行くつもりですか」

「げっ、副ギルマス!説得して持っていくから、五の刻にまた来て!」

「ちょ、クリス!」

「五の刻には用意しとくから~!」


ガーツィさんの呼びかけに、言葉だけで応じて執務室に引きずられていくクリスさん。本当に、大丈夫なのかな?


「......はぁ、クリスの奴め」

「......あと三時間ほど空いてますけど、どうしますか?」

「そう、だなぁ......」

「......ギルシェさんとは、まだ会わないんですか」

「俺も執務系の仕事だから解るんだが、そういう役職なら今は書類整理をしてる時間のはずだ。今邪魔をするわけには行かんさ」

「ガーツィさん......」


ずっと、会えなかったんだ。ずっと、パーティーの離散以来、ずっと。ガーツィさん......。なんで、今まで会わなかったの?


「この町、俺が前来た五か月前とはすっかり変わってるからな。あの喫茶店も、知らなかったしな。だから、もう少し町をしっかり見てみたいんだ。また、ここに来るのも結構先になりそうだしな」

「そうですね。じゃあ、あえて私たちは案内しません。その方が、新鮮味と驚きが感じられるでしょう」

「おお、良いなそれ。前回来た時見れなかった場所もあるから、楽しみだ」

「因みに、前回は何処を回ったんです?」


ミルアの意見に、賛成するガーツィさん。だけど、五か月前何処を見て回ったのか知らないと、被ってしまう場合があるからね。そこだけは、ちゃんとアドバイスするよ?


「そうだな......たしか、王城と東生活区、南生活区。そこは、全て見て回ったな」

「なるほど。そこは確か、元あった店が改装されただけですね。鍛冶店と、魔導具屋とポーション屋くらいですね」

「じゃ、そこは今回はいい。やはり、商店街だろう。どうせ、商店街が一番移り変わりが激しいんだろ?」

「前一年と半年ほど前にスラムを見ていないなら、商店街ですね」

「スラム?見ていないが、何かあったのか?」

「実は、そのころにスラム街が一気に小さくなったんです。就職先の支援や、孤児院の拡大化によって、スラム民が減ったんです。人が減れば、場所は狭くなる。代わりに居住区が大きくなったので、移り変わりの激しさで言ったら、スラムが一番ですね」

「もしかしたら、その職の斡旋先と言うのが魔石研究の研究職だったのかもな。人手が足りなかったから研究に没頭できなかったが、人手が補充されたことによって、研究スピードが増した」

「ああ、そうかもしれないですね」

「さすがのナツキも、今回は気づかなかったのね」


何でミルアが自慢気なの?まぁ、いい。その考えに至らなかったのも、事実だしね。大体、スラム街と魔石研究の話を同時にしないと、このことには気づけそうにないんだけど。気付かないのが普通だから。私、一般人だから。


「スラム街は遠慮しておく。せっかくだが、前回見ていないんじゃ変わりように驚くことも出来ん」

「ですよね。じゃあ、適当に商店街を見て回りますか」

「ああ。」


結局お店を見て回ることになりそうだ。しかも、助言しないって言ってたのに、思いっきり助言してしまった。でも、何も助言せず危ないことになったら一大事だし、少しくらいの助言はね。なにせ、ギルシェさんの久しぶりの客らしいからね。





「そういえば、ナツキは鑑定スキルを持ってるって言ったよな?」

「はい。まだ、レベル二十ですが」

「二十?たしか、鑑定スキルを手に入れたのは先週じゃなかったか?」

「はい。寝てる時以外、ずっとつけっぱなんで早く上がったんだと」

「ずっとつけっぱなし!?ナツキ、大丈夫なの?」

「実は、結構な頭痛がずっと」

「それ、まずくねぇか?」

「でも、軽い頭痛なので大丈夫です」


意識した時ちょっと痛いだけだ。あの、アレだ。モニタを見過ぎて軽く頭が痛いなーって言う程度の痛みだ。だから、全然大丈夫。だと、思うんだけど......地球の常識が通じない分、怖いな。


「鑑定スキル......実はな、今確認されてる最高レベルは十二なんだ。これ以上は、どんなに使用しても上がらないとか何とか」

「じゃあ、どういう事なんですか?」

「一部の鑑定スキルもちが隠してたことがあるってことだろ。自分を鑑定してみろ」

「【鑑定】......これは」


          ナツキ ダークエルフ Lv35


             【体力】382

             【魔力】82

             【筋力】328

             【防御】121

             【俊敏】226

              【運】22


スキル 【鑑定ⅡLv20】【装飾Lv38】【錬金術Lv12】

    【弓Lv25】  【剣Lv14】 【変身Lv-】


 魔法 【水属性魔法Lv1】【火属性魔法Lv1】【風属性魔法Lv1】

    【雷属性魔法Lv1】【聖属性魔法Lv1】【闇属性魔法Lv1】


 概要 不慮の事故によって、この世界に飛ばされた哀れな少女。

    チートも何も持っていない。しかし、変身の特殊さゆえか

    魔法を全属性扱える。威力や効果は通常より落ちる。


「へぇ」

「何か、書かれてたか」

「はい。思いの外、詳しく情報が」

「ああ。レベルが上がると、鑑定で読み取れる情報量が増えるんだが......気付かなかったか?ずっと、発動しっぱなしだったんだろう」

「いや、それどころじゃなかったですから。本当に、死に目に会いましたし」


苦笑いしながら、冗談気味に言ってみる。

       

「......冒険者なんてそんなもんだ。いつ仲間が死ぬかわからない。俺なんて、運が良かっただけだ」

「責任を感じているんですか?自分のせいで、パーティーが解散したと?」

「責任を全く感じない方がどうかしている。だろ?」


さっきの私の発言を真似してか、冗談気味に返してくるガーツィさん。なかなか、ユニークな人のようだ。だけど、それは違う。


「いや、あなたは全て自分のせいだと思っている。パーティーが解散したのも、ミルルシアさんが失踪してしまったのも、全て自分のせい」

「ナツキ?」

「それは」

「だから、ギルシェさんにいつまでも会わないんですか」

「......」

「今までギルシェさんの場所を知らなかったなんて、嘘だ。ただ、自分から逃げてただけ。嘘をついて、傷ついて。ガーツィさんは何がしたいんですか」

「............」

「外の私たちの争いが聞こえなかったって言うのも嘘。私たちの声が聞こえて、例の訓練所の生徒だって知って、近づいてきた。ギルシェさんには顔も合わせられないけど、代わりに何か、贖罪になるんじゃないかって」

「......ちがう」

「本当は、何もかも知ってた。無意味にギルシェさんと会う時間を引き延ばすのも、何を言われるか怖かったから。ただ、怖い。何を言われるか、今度こそ、引導を渡されるんじゃないか。『二度と俺に近づくな』そう言われるんじゃないか」

「......っ!」


二度と、俺に近づくな。私がそう言った瞬間、ビクッと体を震わせるガーツィさん。顔は引きつり、呼気は荒くなる。


「あなたが長い間一緒に戦ってきた仲間の、ガーツィさん。そのお人よしは、精神のどん底にいる人をさらに踏みにじるんですか?」

「人は変わる。裏切った元仲間の事なんて、憎んでるに決まってる」

「後悔しても、知らないですよ」

「俺は......」


自分から逃げてちゃダメなんだ。自分から逃げてたら、いつか必ず報いを受ける。自分と向き合って、自分で答えを導き出す。そうしないと、いつか必ず後悔することになる。





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