40話 旅は道連れ世は情け
書き溜めで疲労も溜まり、更新ができない状態が続いてしまって、申し訳ございませんでした!
書き溜めたものをすべて一気にとはいきませんが、明日、三話一度に更新します!
「よぉ」
「うっ。でかい」
「なんだお前。人を山のように言いやがって」
そこには、見上げるほどの銀髪の大男が立っていた。瞳も銀、髪も銀。眉も、まつげも銀、尻尾も、頭についた耳も銀だ。その色も目立つけど、何より目立つのがその身長。軽く見積もって195cm......いや、2mはあるんじゃないだろうか。その上イケメンだから、目立たないはずがない。
「まぁいい。お前、さっきギルド前でもめていただろう」
「あ、はい」
どうやら、さっきの先輩冒険者とのじゃれあいを目撃されていたみたいだ。見られて困るものでもないけど、見られていたらみられて板でなんか恥ずかしいな。
「それ自体は、あっちの過激な発言が元のため問題ないんだが、お前らは何者だ。まだ新人だろう?それに、不明瞭ではあるが会話の一部にハイドという名前が聞こえた。もしや、B、Aランク冒険者複合パーティーのあのハイドの事か?」
「そんなに一度に言われても......そうですね、私たちは、見習い騎士です。訓練所にて教官と副教官に鍛えて頂いています。昨日、ハイドさん達にクエストで危ない所を助けていただきました。イザグドさんと、レジーナさん、モイナさんという方もいました」
「間違いない、か」
ボソッとつぶやく大男。あ、やべ。勝手に他の冒険者についてペラペラ喋っちゃったけど、これ大丈夫だったのかな?まぁ、テンプレから行くとこの人は間違いなくああいう人だろう。受付嬢の顔も、すっごい驚いてたし。
「ナツキ、勝手に喋っちゃってもいいの?」
「大丈夫大丈夫。こういう人は、大抵が口の堅い人か、口が堅くてはいけない職業の人なんだよ」
「どういう意味よ」
「おっと。そう言えば、まだ互いに名乗っていなかったな。俺の名前はガーツィ。この町のギルドで、ギルドマスターという職についている。」
「私はナツキ。数奇な運命にて騎士見習いをしているわ。正確には、訓練生だけどね」
「わ、私はミルアと言います。同じく、訓練生です」
おどおどした様子で自己紹介するミルア。おかしい。ミルアは、それほど人見知りってわけじゃなさそうなんだけど。王都のギルドでも普通にクエスト受けてたし。
「ミルア、大丈夫?」
「大丈夫なわけないでしょ!この人、ギルドマスターなのよ?ギルマスよギルマス!」
そうか。転生物の小説やらなんやらを見過ぎて忘れてたけど、ギルドマスターってそれなりの立場にいる人なんだよね。街の中では権力も高い方だし、色々なところに顔が利く。そう考えると、中々に緊張してきたな。
「ナツキ、か。お前の自己紹介どうなってるんだ。何だ数奇な運命にてって」
おかしそうにくくくっと笑うギルマス。
「いや、やっぱり自己紹介って印象付けるのが大事かなって思いまして。ところで、呼び止めた理由はもう済みましたか」
「いや、まだだ。この時期に始める若い冒険者は、訓練生がおおい。だから、もしかしたらと思って呼び止めた。バッチリ予想が的中したわけだが......」
「もしかして、訓練生だったらまずいこととかあります?」
「いや、ない。済まないが、私的なことなんだ。」
「私的な......?」
「ああ。そっちの指導員にギルシェという男は居ないか?たしか、いまではそれなりな役職についていると思うんだが」
「ギルシェ......ギルシェ?」
どこかで聞いたことがあるような気がする。何処だったか。えと、アレは確か......だめだ。全く思い出せない。記憶の隅に情報だけあるんだけど、全く思い出せない。
「ナツキ!副教官の事でしょ!」
「あ、あー!そう言えば、そんな名前してたね」
普段から副教官としか呼ばないからすっかり忘れていた。そう言えば、ギルシェって名前だったなぁ、あの人。
「ナツキ......」
「いや、ちょっと忘れてただけだよ?ちゃんとおぼえてたよ?ちょっと忘れてたけど?」
「ナツキ......」
「で、ギルマス。その副教官がどうしたんですか?」
「あ、ああ。古い俺の知り合いなんだが、今どうしているか気になってな」
「もしかして、ギルドマスターも冒険者だったんですか」
「ああ。俺は昔、ギルシェとパーティーを組んでいた。それなりに実力と名声、稼ぎもあるパーティーだったんだ。だが、俺がケガをしてしまってな。すぐに治るものではなく、後遺症が残ってしまったんだ。それが元でパーティーを解散することに......」
ああ~......膝に矢を受けてしまってなパターンか。何てくだらないことを考えつつ、ガーツィさん......ギルマスの話に耳を傾ける。
「だから、ずっと気になっていたんだ。今まで、ギルシェの居場所も知らなくてな。だが、ある日風のうわさに聞いた。もと一級冒険者が指導している騎士養成所があると。しかも、一時的な顧問なわけではなく、重要な役職についているとも聞く。確信したよ。冒険者を上がって騎士になるなんてもの好き、ヤツしかいないってな」
「なるほど」
そう言えば、副教官は騎士にしては崩れた態度と言うか、柔らかい態度ではある。柔軟な発想と言うか、硬くとらわれ過ぎていないけど、ちゃんとしてるみたいな。元冒険者と言う事は知っていたが、それを抜きにしても結構な変わり者なのかもしれない。
「で、なんだがな」
「はい」
「俺を......アルカディアに連れて行ってくれないか」
「いや、ここはアルカディアでしょ?」
「そうじゃなく、王都に俺を連れて行ってくれないか、と言っているんだ」
「あ、そういうこと」
この魔国アルカディア。実は、国自体の名前もアルカディアなのだが、王都の名前......つまりは、首都ともいえる都市の名前も、アルカディア。同じ名前なのだ。ややこしいと思うかもしれないけど、これには、大きな原因があるらしい。詳しくは知らないけど、この国の成り立ちに大きく関係するらしい。
「相変わらず、ややこしいな」
「言っちゃいますか」
わざわざ言わんといたのに。
「ややこしいもんはややこしいだろう」
「確かに、最近ではそういう意見も多くなっているらしいですしね」
「へぇ」
知らなかった。って言うか、逆に何でミルアはそういう事に詳しいんですかね?
「三年ほど前に、国の重鎮たちの間で大きな議論があったらしいです。国自体の名前を変えるべきだとか」
「そんなことが。だが、国の名前を変えると言っても簡単なことではないだろう」
「そうなんです。その時は、一時保留になったそうですが......」
「保留......か」
保留ってことは、いったん置いておくって事。つまりはもう一度、置いた議論を取って交わす時が来るかもしれない......いや、間違いなく来るであろうってことだ。時期的にも、今年か来年だろう。って。
「そんなことはどうでもいいんだよ!」
「きゃっ!?」
「急に大声を出すな。ナツキ」
「今、ギルマスが王都に連れて言って欲しいとか言わなかった!?」
「そうだが」
「そうだが。じゃないですよ!このギルドはどうするんです?ギルドの運営は?ギルマスにしか決定できない書類もあるでしょ」
「副ギルマスがいる」
そんな、誇らしげに胸を張らなくても。あなた、仕事を全部『副ギルマスに任せる!』って、言ってるんですよ?全然胸を張れないですよ、それ。
「そういうのなら、大丈夫なんでしょうけど」
「じゃあ、連れて行ってくれるのか」
「ええ、まぁ。断ったら後が怖いですし」
「あのなぁ」
「ナツキ!」
そういう、職権を乱用するような人じゃないことは、少し話をしてみたら、解る。だけど、この世界の人って簡単に信用しちゃいけないような気がするんだよなぁ。なんか、騙し騙され見たいなとこあるじゃん?わかんないけど。
「冗談です。純粋に、気になります。久しぶりに会った男二人が、一体どんな会話をするのか!いわば、旧友ですよね?すごく気になります!」
「なんだ、冗談か」
もちろん、半分冗談で半分本気だ。あまり、言葉を真に受けちゃいけないような気もするから、警戒はしとくし、純粋に、旧友に会った時の反応と言うのも気になる。今後の参考にもしてみたいし。と、言う事で。なんだか良く分からないけど、ギルドマスターをギルシェさんの元へ案内することになった。なんだか良く分からない展開だけど、旅は道連れ世は情けと考えることにしよう。




