39話 待ってました!やっぱり来るよねギルドテンプレ
2018.6.27 一部修正。信仰の都合上、ギルド嬢に追加で三十個ほど売った点を修正しました。
冒険者と言ったらギルド。ギルドと言ったらテンプレでしょ!!!
と言う事でギルドテンプレ!です!
本編、勢いよく始まっていきまっしょう!!!
「かかってきなよ、オッサンたち」
「面白れぇな!最ッ高に面白れぇよお前!!」
「ひはははははァ!」
「俺たち先輩が冒険者の厳しさを教えてやるよォ!」
「コイツラ、捕まえて奴隷商にでも売っちまうかぁ!?」
くっ、なんだこいつらはっ!この、そこが知れない力はッ!どこまでそこが知れないんだ。どうやったら、ここまで、モブっぽい発言ができるんだ!?人は、ここまでモブっぽく振舞う事が出来たのか......!?人じゃなくて魔族だけど!
「オジサンたち、ケガしても恨まないでよねっ!」
「バカが!練習用の木剣なんで、ただの自殺行為なだけだ!」
「ひゃはァ!ひはははははァ!」
「俺たちを甘く見過ぎだぜ、小娘ェ!」
「あまり、顔を傷つけさせないでくれよォ!?売値が下がっちまったら困るからなァ!」
そう、明らかにモブっぽくて弱そうな人たちだけど、この人もDランク冒険者だ。Dランク冒険者からオークションへの参加権利があることから、Dランクにもなればそれなりの実力と資金があるという事の裏付けにもなっている。つまり、弱いわけがない......だけど。
「身のこなしが甘い」
「んだァ!?」
レベルとステータスに頼り切った、力任せで乱雑な動き。リーナと副教官に鍛えられた私の動きは、その程度でとらえられるものじゃない!左右に分かれて斬りかかってきた下っ端たち。見た感じ、連携はそこそこみたいだな。だけど甘い。
「【スラッシュ】!まず、下っぱ一号」
同時に斬りかかってるようで、右側の人が遅れてる。なら、少し早い方の剣のはらを足でけり飛ばし、遅い右の下っ端を木剣で殴り倒す。【スラッシュ】などと言った攻撃系スキルも、刃が潰れていればただの打撃攻撃。当たっても死ぬことはないだろう。
「てめぇ!」
剣を足で払われた下っ端二号が怒りに任せて斬りかかってくる。しかし、怒りで回りが見えていない。下っぱ二号の脛を引っかけるように蹴り飛ばし、前へバランスを崩させる。すると、前へ倒れ掛かってくるわけで......そこで、下っ端二号の腹を膝で受け止め、左手で頭を下に押し込み、浮いた足を右手で掬い上げる。膝を支点にくるんと半回転した下っ端は、勢いよく地面へとたたきつけられた。しばらくもぞもぞ動いてるので、そのままごつんと木剣で頭を殴る。
「ぐはぁっ!!」
「てめぇっ!」
お前らはワンパターンか。またもや怒りに任せて斬りかかってくる下っ端三号。同じ技でこかすのも面白くないので、勢いよくお腹側に潜り込んで......腕をしっかりとつかみ、勢いを利用して......
ズダァァァン!
一本背負い投げの完成だ。元の世界ではかけかたなんてもちろん知らなかったけど、この世界にも柔術は存在する。訓練所ではまだ教わっていないが、休み時間に無理を言って副教官に教えてもらった。さっそく、役に立ちました。有難うございます、副教官殿。さて。
「さて。あとは、あなただけだけど、リーダーさん?」
「テメェ......ただもんじゃねぇな」
「そんな。ただの冒険者見習いですよ」
「ふざけんなよ......?」
「ただの、騎士見習いでもありますけどね」
「......もと一級冒険者の副教官に教えてもらってるって言うアレか」
「驚いた。あなたのような人たちは、そういう事に興味がないと思ってたんだけど」
「冒険者は様々な情報が流れてくっからな」
「まぁ、そう言うワケだから。見習い冒険者狩りのテンプレモブはさっさと倒れちゃってくださいってことだね」
「小娘が......調子に乗りやがって!俺ら低ランクを倒したごときで天狗になってたら、あっと言う間に上級に潰されるぜ!」
「そんなの知ってるよ?あなた達は殺れそうだったからやってみただけだし」
殺れそう。殺せる。そう、特になんとも思ってないような表情で少女に告げられる。ただ、口だけなら虚勢だの戯言だの言えただろう。しかし、目の前に転がる三人の仲間。それが、虚勢ではなく、真実だと物語っていた。
「第一、あなたと一級冒険者とじゃ比べ物にならないわよ。私たちが一瞬で殺されかけた魔物を、いとも簡単に、塵さえ服につかず倒して見せたんだから。ハイドさん達、どうしてるかなぁ」
「ハイド......!?まさか、Aランク冒険者イザグド率いるあの......?」
「そんなのはどうでもいいんだよ。で?やるの?」
「いや、遠慮しておく。これ以上、傷を負っても何の利益も生まない」
「賢明な判断ね」
もう、パーティーメンバーが三人もやられているのだ。コイツまで気絶したりしたら、誰が運んでいくのってこともあるし、下っ端だけしかやられてないなら、自分はやめとけって言ったてきなこともいう事が出来る。
「調子に乗って自らの身を持ち崩さないよう気を付けるんだな」
「ええ。今日のあなた達を見て、学んだわ」
「......ちっ」
小さく舌打ちをして、私の横を通り抜けていくリーダー。三人抱えても普通に歩けているところから、やはりステータスと実力は相当なものなのだろう。
「ナツキ!」
「おっとっと。どうしたの、ミルア」
「ばか!ナツキ、死んでたかもしれないんだよ!?相手は、本気でナツキに斬りかかってた。もしかしたら、あの剣がナツキのあたまをまっぷたつにしてたかもしれないんだよ!?」
「ミルアも、同じことをしたんだよ」
私の言葉を聞いて、硬直するミルア。そう。わが身を犠牲にして他人を助けることは、美しい。だけど、同時に危うい行動でもあるのだ。私の言葉で、昨日のクモとの一戦をおもいだしたミルアは、顔をうつむける。
「でも、大丈夫。アレくらいのやつらならパパっとやっつけられるから!」
ニコッと笑って腕を曲げ、筋肉を見せる。
「......ナツキのバカ」
私の筋肉が利いたのか、少し笑ってバカと言うミルア。その目には、涙が浮かんでいた。それは、バカにされたときの悔し涙の名残なのか、それとも、私を心配した時に流した涙なのか。それはもう定かではないけれど、涙目で笑うミルアはとても美しかった。
「あ、受付嬢さん。クエスト報告をしたいんですけど」
「はい。では、ギルドカードを」
「お願いします」
ギルドカードを受け取った受付嬢さんは、水晶のようなものにカードをかざす。
「確認しました。受注したクエストは、クリスタルピールの収集のみですね。クリアは、そちらで間違いないんですよね?」
「そうです。あの、それでアイテムの引き渡しなんですけど......」
「こちらで預かっておきます。
「お願いできますか?」
「アイテムは保管庫に保管されますし、ギルドカードを読み取った際に情報は登録されています。記録が残るので、アイテムなどが消えてしまった場合も、ナツキ様方が疑われることはございませんので、ご安心ください」
おお。そんな便利アイテムが。カードを差し出されたので、手に取ってよく見てみる.....素晴らしい!良く分からないけど素晴らしい!この機能、現世で言う監視カメラのようなものなのかな?証拠になりえるようなもの。
「へぇ」
「へぇって、ナツキ何も知らなかったの!?」
「え、ま、まぁ」
「はぁ。そんなんで冒険者を名乗ろうとしてたの?」
だって、仕方ないじゃん。もとから冒険者に何てなるつもりなかったのに、半ば強引にミルアに連れてかれたんだから。そんな基本なんて知るわけないじゃないですか!
「別に、なりたくてなったわけじゃないし。今からでもやめても良いですし」
「あっ、あっ、あ~っ。これから二人で少しずつ勉強していこうねー」
「あの~。まずは、クエスト達成をカードに記録したいのですが」
あ。差し出されたからもう終えたのかと思ってた。
「すみません......」
「いえいえ。では、クエスト達成を登録しておきますねー......はい、これで達成になりますね。では、これがクエスト報酬の十万アルディアです。この依頼主は、あるだけ買い取ると言っているのでまだあるのでしたらお願いします」
「あ、大丈夫です。」
「分かりました。では、またのクエスト受注、お待ちしています」
報酬をもらって、さっさとギルドを後にする。これ以上ここに居たら、何か面倒なことが起こりそうだ。私の勘がそう言っている。
「ちょっと待て!そこのちっさい二人!」
「はぁ」
また面倒くさいコバエか。コバエを打ち払うにも結構な体力を使うんだけどなぁ。そんなことを思いつつ後ろを振り向くと。
「よぉ」
そこには見上げるほどの大男が立っていた。




